なげ)” の例文
サア、夏のことだ、前口上まえこうじょうなげえと、芸が腐らあ。ハッ、お美夜太夫! お美夜ちゃん! とくらア。ヘッ、のんきなしょうべえだネ
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「なア、東作、夜はなげえ、まず御輿みこしを据えて飲むがいい。——そのうちにはお富も、一と晩経てば、一と晩だけ年を取るというものだ」
仙「己は通りがゝりのものだが、弱い町人をつかめえて嚇しやアがッて、なげえのを振り廻わし、斬るのるのッて、ヤイ此のさむれえなぐり付けるぞ」
「これあ盛り場かららってんだ。別荘町だらなげえのが落ちてるッテッケンド、おら、行ったコタネエ」
老巡査 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「どうのこうのと、はなせばなげ訳合わけあいだが、取早とりばやくいやァ、おいらァかね入用いりようなんだ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
今の話のようなすげえところをこさえといて、その物欲しそうなつらの外国の金持ちを集めてしこたまふんだくって一晩引っ張り廻そう——てのが、つまり、これあわたしの、なげえあいだの、ま
……そんではい、夜さり、夜ばいものが、寝床をのぞくと、いつでもへい、白蛇しろへびなげいのが、嬢様のめぐり廻って、のたくるちッて、現に、はい、目のくり球廻らかいて火を吹いたやつさえあっけえ。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「小仏越えの道はなげえ……」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なげエ肩掛
「橋がかりはなげえやな、バッタリバッタリ呂律ろれつの廻らねえような足取りで歩くのは、江戸中捜したって、八五郎の外にはねえ」
新「なんだ、エヽなげえ夢を見るもんだ、迷子札は、お、有る/\、なんだなア、え、おい若衆わかいしゅ/\、咽喉はなんともねえか」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
なげエ鼻をヨ
子供を連れて年寄が敵討かたきぶちに行くだから、一角の行方が知んなえば何時いつけえって来るか知んなえ、なげえ旅で死ななえともいわれなえ、是ア己が形見だから
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
婆アさまは何処どこまで烟草をえに往ったんだろう尤もらないのだ、人払ひとばれえの為に買えに遣ったんだがあんまなげえなア
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
安「そう旨く逃げられりゃア好いが、昨夜ゆうべおべえが有りやす、びっくりして、どんと腰が抜けちまッて、あのなげ永代橋ええてえを這い続けに這って逃げたくれえだからね」
はい、それに相違ございません、どうも眼ばかり出して、なげえ物を突差つッさしまして、あの檜木山の間から出て来た……、怪しい奴と思えやして見ているうち、犬を
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
なげえ間すけに行ってるが、喧嘩どころか大きい声をして呼んだ事もねえ……おれを可愛がって、近所の人が本当の兄弟きょうでえでもアは出来ねえと感心しているくれえだのに
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
仙台河岸へ船をもやって一服ってると、船の中へザブリと水が跳ね込んだから、何だと思って苫をねて向うを見ると、頭巾を冠った侍がなげえのを引抜ひっこぬいて立って
揚物あげものわかるか、揚物あげものてえと素人しらうと天麩羅てんぷらだと思ふだらうが、なげえのを漸々だん/″\めたのを揚物あげものてえのだ、それから早く掛物かけものを出して見せなよ、やぶきアしねえからお見せなせえ
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
奥の六畳へ通して長々と昔噺が始まったんだ、鳶頭お前がまだ年のかねえ時分から当家うち出入でいりをするねと仰しゃるから、左様でござえます、なげえ間色々お世話になりますんで
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
話しゃアなげえことですが、一昨年の秋中あきじゅう、旦那が越後へお出でなすったと聞きやして、あとしたってめえりやして、散々此処こゝらあたりを捜しましたが、さっぱり行方が分りませんので
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
清「さ云えよ、云わねえといてえめをさせるぞ、誰か太っけえ棒を持って来い、かどのそれ六角に削った棒があったっけ、なになげえ…切ってう……うむし…さ野郎、これでつが何うだ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
亥「えゝもう此処こゝよろしゅうござります、御新造ごしんぞ様永々お世話になりましたが、明日あしたわっちやア遠方へまいります、またなげえことお目にかゝれません、へえ、ご、ご御機嫌よう、左様なら……」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
わし毎日々々炭車すみイくるまに積んで青山へきやんすが、押原横町おしはらよこちょうのお組屋敷へは車を曳込ひきこむ事が出来やしねえから、横町へ車を待たして置いて、彼所あすこから七八町のなげい間すみイ担いできやんすのだが
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ちいさい時分に両親ふたおやなくなってしまい、知る人に連れられて此の美作国みまさかのくにめえって、何処どこと云って身も定まりやしねえで居ましたが、縁有って五年あと当家こゝへ奉公にめえりまして、なげえ間お世話になり
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
猟「それがわれが名けえ、馬鹿になげえ名だなア」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)