鐵砲てつぱう)” の例文
新字:鉄砲
「それで一日いちんち幾何いくらすといてれるんです」と小六ころくいた。「鐵砲てつぱうでもかついでつて、れふでもしたら面白おもしろからう」ともつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
どうかすると蘇生いきかへつたはちはれてされたといふひとはなしきました。さうなると鐵砲てつぱうをかついでけものちにくもおなじやうなものです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
人殺ひとごろしをして、やまげて、大木たいぼくこずゑぢて、えだからえだへ、千仭せんじんたにつたはるところを、捕吏とりて役人やくにん鐵砲てつぱうられたひとだよ。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
沖釣に行つて捨てゝ來るもあり、家の中でかまどの下か風呂場の鐵砲てつぱうはふり込むもある
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
致せ湯責ゆぜめ責水責鐵砲てつぱう海老えび熊手くまで背割せわり木馬もくばしほから火のたま四十八の責に掛るぞヤイ/\責よ/\との聲諸とも獄卒ごくそつ共ハツと云樣無慘むざんなるかな九助を眞裸まつぱだかにして階子はしごの上に仰向あふむけに寢かし槌の枕を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
中姉樣ちうねえさま何時いつもお留守居るすゐのみしたまへば、ぼく我長おほきくならば中姉樣ちうねえさまばかり方々はう/″\れてきて、ぱのらまやなにかヾせたきなり、れは色々いろ/\いきたるやうきてありて、鐵砲てつぱうなにかも本當ほんたうやうにて
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
片手かたてづまみの大皿おほざらすしは、鐵砲てつぱう銃口すぐちそろへ、めざすてきの、山葵わさびのきいたあかいのはとくのむかし討取うちとられて、遠慮ゑんりよをした海鰻あなごあまいのがあめのやうに少々せう/\とろけて、はまぐりがはがれてる。
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
指された猪之松は、鐵砲てつぱうで打ち拔かれたやうに飛び上がりました。が、四方あたりをキヨトキヨト見まはしたところで、入口を八五郎に固められて、咄嗟とつさの間に逃げ出す隙もありません。
かちつたる秀吉ひでよし一騎驅いつきがけにうませると、こしよりさいいだし、さらりとつて、れは筑前守ちくぜんのかみぞや、又左またざ又左またざ鐵砲てつぱうつなと、大手おほて城門じやうもんひらかせた、大閤たいかふ大得意だいとくい場所ばしよだが
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)