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蹂躙
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ふみにじ
ふりがな文庫
“
蹂躙
(
ふみにじ
)” の例文
見よ、心なき消火夫か泥草鞋もて
蹂躙
(
ふみにじ
)
りつゝ行く方三尺の淡彩図を。嗚呼、是れシラギントワイトの『西蔵探険記』の挿図に非ず哉。
灰燼十万巻:(丸善炎上の記)
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
深雪は、こう云うと共に、
眩暈
(
めまい
)
したような気持になった。自分の言葉で、自分を泥の中へ、
蹂躙
(
ふみにじ
)
ったように感じた。涙が出てきた。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
避けようとすればするほど、余計に巻込まれ、
蹂躙
(
ふみにじ
)
られて行くような気もした。彼は最早、苦痛なしに姪の眼を見ることが出来なかった。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
婦人
(
をんな
)
を
蹂躙
(
ふみにじ
)
つたり、置いてきぼりにしたりして、それで
後
(
あと
)
から後から
恋女
(
こひをんな
)
の出来るなぞも、多分こんな
理由
(
わけ
)
からかも知れない。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
世上貫一の
外
(
ほか
)
に愛する者無かりし宮は、その貫一と奔るを
諾
(
うべな
)
はずして、
僅
(
わづか
)
に一
瞥
(
べつ
)
の富の前に、百年の契を
蹂躙
(
ふみにじ
)
りて
吝
(
をし
)
まざりき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
自分の真心のありったけを尽して愛情を送っても、美しい若い男は次から次へと女をこしらえては、彼女の心を
蹂躙
(
ふみにじ
)
っていたものと見えます。
むかでの跫音
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
傍なる一人の男、その紙何の用にか立つべきとつぶやきしに、媼目を見張りて、
蛆
(
うぢ
)
のもの言はんとするにや、大いなる足の
蹂躙
(
ふみにじ
)
らんを避けよといふ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
彼
(
かれ
)
めに
影
(
かげ
)
を
吸
(
す
)
はるれば、
人間
(
にんげん
)
は
形
(
かたち
)
痩
(
や
)
せ、
嘗
(
な
)
めらるれば
氣
(
き
)
衰
(
おとろ
)
へ、
蹂躙
(
ふみにじ
)
らるれば
身
(
み
)
を
惱
(
なや
)
み、
吹消
(
ふきけ
)
さるゝと
命
(
いのち
)
が
失
(
う
)
せる。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
どうすることもできない、このうえにたって御免と云えば、こんどは南部八郎太の名を
蹂躙
(
ふみにじ
)
ることになるから
だだら団兵衛
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
脅喝、詐僞、姦通、強姦、喰逃……二十も三十も一時に喊聲をあげて頭腦を
蹂躙
(
ふみにじ
)
る。見まい、聞くまい、思出すまいと、渠は矢庭に机の上の『創世乃卷』に突伏した。
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
親鳥が雛をはぐくむように胸に育てていた其
楽
(
たのし
)
みの萌芽も、この一条の鋼索と雪の上に印された無数の足跡とに依って、未だ二葉ならざるにむざと
蹂躙
(
ふみにじ
)
られてしまった。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
雨の中で
打合
(
うちあい
)
が始まり、大の男が女を
捕
(
とら
)
えて
蹂躙
(
ふみにじ
)
ります様子が烈しいゆえ、見兼て丹治殿が
突然
(
いきなり
)
女を連れて逃げようとする仁助の
横鬢
(
よこびん
)
を
打
(
ぶ
)
つ、
打
(
ぶ
)
たれて仁助は
踉
(
よろ
)
ける途端
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
すでに
曾無一善
(
ぞうむいちぜん
)
の裸の身と申しながら、またも一枚の着物を惜しみ……一面の琵琶を惜しむ、浅ましい心、それが無惨に
蹂躙
(
ふみにじ
)
られたのは、もとよりそのところでございます。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「うウむ、飽くまで
穢
(
きたな
)
き彼の振舞、
蹂躙
(
ふみにじ
)
ってくれたけれど、重蔵も定めし疲れたであろう、と云って不承知を申せば、飽くまで今日の勝利は我にありと彼等が言い張るに相違ない」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
武蔵野は筑波
颪
(
おろし
)
のからッ風、秋の暮から冬三月を吹いてふいて吹きとおして、なお且つ花さく日にも吹きやまず、とかくして三春の行楽をも
蹂躙
(
ふみにじ
)
ろうとすること必ずしも稀らしくはない。
残されたる江戸
(新字新仮名)
/
柴田流星
(著)
英国へ何の異心を企図していたわけでもないのです。しかもこの無抵抗な私たちさえも、こうして集まって来さえすれば暴動の前提として、理も非もなく英国兵は馬蹄に掛けて
蹂躙
(
ふみにじ
)
ってしまうのです。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
夜は
太
(
いた
)
く
更
(
ふ
)
けにければ、さらでだに音を
絶
(
た
)
てる
寂静
(
しづかさ
)
はここに
澄徹
(
すみわた
)
りて、深くも物を思入る苦しさに直道が
蹂躙
(
ふみにじ
)
る靴の下に、瓦の
脆
(
もろ
)
く
割
(
わ
)
るるが鋭く響きぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
這奴
(
しゃつ
)
等が群り居た、土間の雨に、
引挘
(
ひきむし
)
られた
衣
(
きぬ
)
の
綾
(
あや
)
を、
驚破
(
すわ
)
や、
蹂躙
(
ふみにじ
)
られた美しい
女
(
ひと
)
かと見ると、帯ばかり、
扱帯
(
しごき
)
ばかり、
花片
(
はなびら
)
ばかり、葉ばかりぞ乱れたる。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
蹂躙
(
ふみにじ
)
られるような目付をして、三吉も種夫の方を見た。その時、夫婦は顔を見合せた。「ひょッとかすると、この児も?」この無言の恐怖が互の胸に伝わった。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
脅喝、詐偽、姦通、強姦、喰逃……二十も三十も一時に喊声をあげて
頭脳
(
あたま
)
を
蹂躙
(
ふみにじ
)
る。見まい、聞くまい、思出すまいと、渠は矢庭に机の上の『創世乃巻』に突伏した。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
若い門弟は
身体
(
からだ
)
ぢゆうが痺れたやうな気味で、そつと足を引つ込めようとした。返礼はすぐに来た。猫のやうな柔かい足は、素晴しい勢ひで門弟の足の甲を
蹂躙
(
ふみにじ
)
つた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
人に
苛
(
さいな
)
まれようとも、
蹂躙
(
ふみにじ
)
られようとも、かまわないと思召すなら、わたしを突き出してもようござんすけれど、あなたは、そんな
惨酷
(
ざんこく
)
なお方じゃなかろうと、わたしは安心していますのよ
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
蹂躙
(
ふみにじ
)
らるるとの自白だ
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
凡
(
およ
)
そ、
月
(
つき
)
と
日
(
ひ
)
とともに、
影法師
(
かげぼふし
)
のある
所
(
ところ
)
、
件
(
くだん
)
の
魔
(
ま
)
もの
附絡
(
つきまと
)
はずと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
なうて、
且
(
か
)
つ
吸
(
す
)
ひ、
且
(
か
)
つ
嘗
(
な
)
め、
蹂躙
(
ふみにじ
)
る。が、いづれ
其
(
そ
)
の
人
(
ひと
)
の
生命
(
いのち
)
に
及
(
およ
)
ぶには
間
(
ま
)
があらう。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
あるものは黄いろい蘂の粉が地べたに染みこむまで力強く
蹂躙
(
ふみにじ
)
られた。
飛鳥寺
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
右
(
みぎ
)
の
其
(
そ
)
の
盲人
(
めくら
)
は、
例
(
れい
)
の
魔
(
ま
)
ものは、
其
(
そ
)
の
婦
(
をんな
)
の
影
(
かげ
)
を、
嘗
(
な
)
めう、
吸
(
す
)
はう、
捉
(
とら
)
へよう、
蹂躙
(
ふみにじ
)
らう、
取啖
(
とりくら
)
はうとつけ
𢌞
(
まは
)
す——
此
(
こ
)
の
儀
(
ぎ
)
を
汝
(
こなた
)
から
託
(
ことづ
)
けて、
氣
(
き
)
を
注
(
つ
)
けるやう
言
(
い
)
ひなさい、と
申
(
まを
)
したのを、よくも
聞
(
き
)
かずに
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
“蹂躙”の意味
《名詞》
蹂躙(じゅうりん)
踏みにじること。踏みつけること。
暴力や暴威などにより、他人の権利や社会の秩序などを侵害すること。
(出典:Wiktionary)
蹂
漢検1級
部首:⾜
16画
躙
漢検1級
部首:⾜
23画
“蹂躙”で始まる語句
蹂躙下
蹂躙隊