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趨勢
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すうせい
ふりがな文庫
“
趨勢
(
すうせい
)” の例文
それで、各地方でこういう風の日々変化の習性に通じていれば、その変化の異常から天気の
趨勢
(
すうせい
)
を知る手がかりが得られるわけである。
海陸風と夕なぎ
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
されば
苟
(
いやしく
)
も社会の表面に立ちて活動せんと欲するものは、政治家であれ、実業家であれ、教育家であれ、絶えず時代の
趨勢
(
すうせい
)
に着目して
我輩の智識吸収法
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
生贄の是認せらるべき
趨勢
(
すうせい
)
は有りもしようが、
觳觫
(
こくそく
)
たる畜類の歩みなどを見ては、人の善良な側の感情から見て、神に献げるとは云え
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そしてしだいに世論の
趨勢
(
すうせい
)
を一定さして、故国の名誉たる大芸術家に故国の門を開いてやるべき勅令を、皇帝から得させようとつとめた。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
この
趨勢
(
すうせい
)
の間に伍して、閑却せられた民藝の価値を私は語ろうとするのです。なぜ語るに足りるか、語るべきであるか、語らねばならぬか。
民芸とは何か
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
▼ もっと見る
私は一人の婦人教育家をも加えない教育会議というものは全く世界の
趨勢
(
すうせい
)
を透察せず、日本の女子を
蔑視
(
べっし
)
した不親切
極
(
きわま
)
る組織だと考えます。
三面一体の生活へ
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
酒の個人的または家長専制的なるに反して、菓子の流布には共和制の
趨勢
(
すうせい
)
といおうか、少なくとも男女同等の主張が仄見える。
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
止むを得ない、社会の
趨勢
(
すうせい
)
で、青年がドウしても海軍に行きたがるようになった時には、これを押え附けることは出来ない。
教育の目的
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
山名時氏のごときは、きのうまで尊氏の下にいたのに、この
趨勢
(
すうせい
)
を見ると、尊氏を離れ、一夜、とつぜん直義方の
八幡
(
やわた
)
の陣へ投じてしまった。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかるにその
後
(
のち
)
の
趨勢
(
すうせい
)
は
頓
(
とみ
)
に一変して貿易市場における信用全く地に落ち、輸出高
益〻
(
ますます
)
減退するの悲況を呈するに至れり。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
禁裡
(
きんり
)
守衛総督
摂海防禦
(
せっかいぼうぎょ
)
指揮の重職にあって、公武一和を念とし、時代の
趨勢
(
すうせい
)
をも見る目を持ったこの人は、何事にも江戸を主にするほど
偏頗
(
へんぱ
)
でない。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
現今の露西亜
文壇
(
ぶんだん
)
の
趨勢
(
すうせい
)
の断えず変っている有様やら、知名の文学者の名やら(その名はたくさんあったが、みんな余の知らないものばかりであった)
長谷川君と余
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
つらつら琉球史の
趨勢
(
すうせい
)
を見るに、向象賢や蔡温や宜湾朝保の案内するがままに、歩一歩安全なる世界の大勢という潮流に向って進んだのでございます。
琉球史の趨勢
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
内潰
(
ないかい
)
外逼
(
がいひつ
)
の
趨勢
(
すうせい
)
は、遂に徳川幕府において、天保の改革を喚起せしめたり。天保の改革は則ち水野忠邦の改革なり。彼は
何人
(
なんぴと
)
ぞ、彼は何事を
做
(
な
)
せしぞ。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
「だけど運命の
趨勢
(
すうせい
)
はそうはさせませんね。僕は世の中は大たい妥当に出来上っていると思うんです」
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
然れども大正年間に及びていはゆる新傾向の称道を見るに至り俳諧も遂に本来の
面目
(
めんもく
)
体裁
(
ていさい
)
を破却せられ漸く有名無実のものとならんとす。これ現代俳句界の
趨勢
(
すうせい
)
なり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
必要があればいつでも同盟し、必要がなくなればいつでも同盟をやめる。過去の歴史これを証明し、現在の事実これを明示し、将来の
趨勢
(
すうせい
)
もまたそのとおりであろうと思う。
人類の生存競争
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
米國經濟界
(
べいこくけいざいかい
)
全般
(
ぜんぱん
)
には
何等
(
なんら
)
懸念
(
けねん
)
すべき
状態
(
じやうたい
)
を
認
(
みと
)
めざるも、
人氣
(
にんき
)
の
中心
(
ちうしん
)
たる
證劵市場
(
しようけんしぢやう
)
が
大變動
(
だいへんどう
)
を
來
(
きた
)
したことであるから
勢
(
いきほ
)
ひ
生糸相場
(
きいとさうば
)
にも
波及
(
はきふ
)
して十
月
(
ぐわつ
)
初旬
(
しよじゆん
)
より
低下
(
ていか
)
の
趨勢
(
すうせい
)
となり
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
世の中の進歩
趨勢
(
すうせい
)
はその停止する所を知らずという有様で、
従
(
したが
)
ってすべての思想界にも、
頻々
(
ひんぴん
)
新主義を産出してくる今日であるのに、ことに文学美術の上に写実主義の大潮流は
竹乃里人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
こうした発達の
趨勢
(
すうせい
)
は無限に存在しているのであって、従って、只、同様に長石類を研究することに依って、より以上に廉価なる材料が発見されようとしてさえいる現状である。
大衆文芸作法
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
思想簡単なる時代には美術文学に対する
嗜好
(
しこう
)
も簡単を尚ぶは自然の
趨勢
(
すうせい
)
なり。わが
邦
(
くに
)
千余年間の和歌のいかに簡単なるかを見ば、人の思想の長く発達せざりし有様も見え透く心地す。
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
従って、将来とてもこの
趨勢
(
すうせい
)
は更に加速度的に続くものと見なして差支えなかろうと思う。そこで今日の問題について語るに先だって、過去の状態をざっと顧みることにすると——。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
これは明治維新以来の欧化
趨勢
(
すうせい
)
の一般的な時潮の中にあったものであり、自覚的には、思想的・文化的水準の低かった日本の学者や、思想家としてはやむをえない状態でもあったのである。
学生と読書:――いかに書を読むべきか――
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
現今科学の
趨勢
(
すうせい
)
はできるだけ客観的ならんことをつとめている。それで心理現象は生理的に、生理現象は化学的に、化学現象は物理的に、物理現象は機械的に説明せねばならぬこととなる。
善の研究
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
誠に我らが
希望
(
のぞみ
)
とは
悉
(
ことごと
)
く反対の有様じゃ。これがいまの
日本
(
ひのもと
)
の
趨勢
(
すうせい
)
でござるよ。——そこでこの私は考えたのじゃ。せめて我らのご主君たる脇屋殿と神保様とを是非とも和睦させねばならぬ。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
こういう
趨勢
(
すうせい
)
の
由
(
よ
)
って来たるところは、電子の粒子性の実験結果に誘導されて、いつの間にか、誰もが電子を、野球のボールを極端に小さくしたものというふうに、思い込んでいたからである。
比較科学論
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
また当時の美術界に重きを
為
(
な
)
せる人々の所説をも聞き、明治十三年以降その当時に及んでいる
斯界
(
しかい
)
の
趨勢
(
すうせい
)
の大略をも知ることが出来、また、その現在の有様をも了解することが出来たようなわけで
幕末維新懐古談:45 竜池会の起ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
熟
(
とく
)
と観察するに、壺中の石の配置や光線が網眼に映る工合、蠅を飛び下す小孔の位地から蠅を持ち行きやる人の手の左右など、雑多の事情に応じて、蠅が孔より飛び入る方角
趨勢
(
すうせい
)
がほぼ定まりある。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
自然の
趨勢
(
すうせい
)
は逆ふこと能はず、吾は彼の一種の攘夷論者と共に言を大にし語を壮にして、東洋の危機を隠蔽せんとするにあらず、もし
詳
(
つまびら
)
かに吾が宗教、吾が政治、吾が思想、吾が学術を究察する時は
一種の攘夷思想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
もし俳句の
趨勢
(
すうせい
)
がいよいよ進んで
俳句とはどんなものか
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
愉快に感じると同時に自分も知らず知らずその
趨勢
(
すうせい
)
に刺激されて、つい
柄
(
がら
)
にない方面にまで空想の翼を延ばしたくなったようなわけである。
日本楽器の名称
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
後者が圧迫のために
蒙昧
(
もうまい
)
なる山人の状態に退歩して行った
趨勢
(
すうせい
)
も、このわずかなる共通の言語から想像し得らるるのである。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
彼は、書簡のうちに、天下の
趨勢
(
すうせい
)
やら、利害やらこまごま書いて、公私の両面から、説破を筆に尽したが、なお念のために
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私はこれ等の
趨勢
(
すうせい
)
が、時代の要求として成し遂げた大きな働きについて疑うものではありません。幾多の個人的天才が立派な仕事を残しました。
民芸の性質
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
新刊書なり新聞雑誌なり、時代の
趨勢
(
すうせい
)
を知るものを備えて、業務の暇に新智識の吸収に努めたならどんなものであろうか。
我輩の智識吸収法
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
あれは時代の
趨勢
(
すうせい
)
に着眼して幕政改革の意見を
抱
(
いだ
)
いた諸国の大名や識者なぞの間に早くから考えられて来たことだ。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
君は九州のいなかから出たばかりだから、中央文壇の
趨勢
(
すうせい
)
を知らないために、そんなのん気なことをいうのだろう。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
英国の富豪モーズレーは、世界の
趨勢
(
すうせい
)
を
鑑
(
かんがみ
)
るに、独逸と亜米利加とは国運勃興の徴候が見えている。然るに独逸は国土に限りがあるが、亜米利加はトント限りがない。
教育の目的
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
藤田は佐久間に比すれば芸術
粗
(
そ
)
なり、横井に比すれば眼界小なり、
然
(
しか
)
れども国家経綸の大綱を提げ、社会動乱の
趨勢
(
すうせい
)
を握るの
辣快
(
らっかい
)
雄敏なるにおいては、
自
(
おのず
)
から独歩の地なくんばあらず。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
我邦
(
わがくに
)
現代における西洋文明模倣の状況を
窺
(
うかが
)
ひ見るに、都市の改築を始めとして家屋
什器
(
じゅうき
)
庭園衣服に
到
(
いた
)
るまで時代の趣味一般の
趨勢
(
すうせい
)
に徴して、
転
(
うた
)
た余をして日本文華の末路を悲しましむるものあり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
必然な時代の
趨勢
(
すうせい
)
と、無用の死は、真の勇者のとる道でない
所以
(
ゆえん
)
を説いて、城の一門を、戦わずに、解かせたのであった。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この
趨勢
(
すうせい
)
が世界を支配している故、敢えて「民藝」の声を強めるのである。もしこの
輿論
(
よろん
)
が起らなかったら、工藝はその正しい歴史を閉じるであろう。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
苫田
(
とまた
)
郡が四つ、勝田郡が二つというように小さく分れていたが、荘郷分合の
趨勢
(
すうせい
)
もすべてこれと同様であってその命名法のごときもきわめて自然である。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
だからして世界
向後
(
こうご
)
の
趨勢
(
すうせい
)
は自殺者が増加して、その自殺者が皆独創的な方法をもってこの世を去るに違ない
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
松平春嶽、山内容堂、この
二人
(
ふたり
)
はそれぞれの立場にあり、領地の事情をも異にしていたが、時代の
趨勢
(
すうせい
)
に着眼して早くから幕政改革の意見を
抱
(
いだ
)
いたことは似ていた。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
環境の
趨勢
(
すうせい
)
や民心の流露を無視したのでは、到底その機関の円滑な運転は望まれないらしい。
「手首」の問題
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「この現状を、一山の大衆はなんと見らるるか。この
趨勢
(
すうせい
)
のまま、
抛
(
ほ
)
っておいてよいものか。しからずんば一山皆吉水へ
降
(
くだ
)
って、
袈裟
(
けさ
)
を脱ぐか」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
現在の組織と機械と労働とは、誠実な器物を産むには適しないのです。今の
趨勢
(
すうせい
)
を見ると、誠実な品は、愚鈍な品であると
嘲
(
あざけ
)
られるようにさえ見えます。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
人間としてこの性質を帯びている以上は作物の上にも早晩この性質を発揮するのが天下の
趨勢
(
すうせい
)
である。
文壇の趨勢
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
間接には数千年来の国内植民の
趨勢
(
すうせい
)
も明らかになることであるが、不幸なることにはわが邦にはこの種の書籍もなく、しかもたびたびの混乱を経た今日となっては
名字の話
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
“趨勢”の意味
《名詞》
趨 勢(すうせい、趨はおもむく、はしるの意。勢は勢い、自然の流れ)
物事の流れ、なりゆき。
勢い。
権力者におもねること。迎合。
(出典:Wiktionary)
趨
漢検準1級
部首:⾛
17画
勢
常用漢字
小5
部首:⼒
13画
“趨勢”で始まる語句
趨勢上