つひえ)” の例文
恰も好しフランチエスカの君は、臨時のつひえもあるべく又日ごろのつかれをも忘れしめんとて、百「スクヂイ」の爲換かはせを送り給ひぬ。
讀者よ、彼等の形をしるさんとて我またさらに韻語を散らさじ、そは他のつひえへられてこの費を惜しまざること能はざればなり 九七—九九
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
四一野伏等のぶしらはここかしこにさいをかまへ、火を放ちてたからを奪ふ。四二八州はつしうすべて安き所もなく、浅ましき世のつひえなりけり。
夫婦は心をあはせて貫一の災難をかなしみ、何程のつひえをもをしまず手宛てあての限を加へて、少小すこしきずをものこさざらんと祈るなりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
水西荘の地は借地である。しかしそこに建ててある家は頼氏の所有である。里恵にはつひえを節して此家に住み、専ら幼女陽の保育に任じてもらひたい。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
阿加川あかがはを所にてはあが川といふ)さて此打切を作るは幾ばくのつひえある事ゆゑ、漁師れふしどもかたらひあひてする事也。
創業費にしようが何にしようが結局つひえたる事には變りはないのであるが成るべく此月の支出を少くして帳面上利益を見るやうにし度いと苦心したのであつた。
致さんと心能承知なしければ長兵衞は大いに悦喜よろこび夫では私しも大いに安堵あんどしたり夫なら斯仕樣御前が行てくれるとあとは女一人なれば世帶せたいつひえるからとてもの事に世帶を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さすれば無用むようつひえせつせむ、なんぢ一人いちにん奉公ほうこうにて萬人ばんにんのためになりたるは、おほ得難えがた忠義ちうぎぞかし、つみなんぢはづかしめつ、さぞ心外しんぐわいおもひつらむが、見棄みすてずば堪忍かんにんして、また此後このごたのむぞよ
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いろ普通ふつうくろであるが、手加減てかげん次第しだいあかにもあをにもなるから色刷いろずりなど場合ばあひには、かわかす時間じかんはぶけるだけでも大變たいへん重寶ちようはうで、これ新聞しんぶん應用おうようすれば、印氣インキ印氣インキロールのつひえ節約せつやくするうへ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
是故に己が價値ねうちによりていと重くいかなる天秤はかりをも引下ひきさぐる物にありては、他のつひえをもてつぐなふことをえざるなり 六一—六三
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
る処には人数にんずを略してゑがけり)右は大家たいかの事をいふ、小家のまづしきは掘夫ほりてをやとふべきもつひえあれば男女をいはず一家雪をほる。吾里にかぎらず雪ふかき処はみなしかなり。
太郎、いかでさる宝をくるる人此のあたりにあるべき。一三五あなむつかしの唐言からこと書きたる物を買ひたむるさへ、一三六世のつひえなりと思へど、父のだまりておはすれば、今までもいはざるなり。
此日は飜訳のしろに、旅費さへ添へてたまはりしを持て帰りて、飜訳の代をばエリスに預けつ。これにて魯西亜より帰り来んまでのつひえをば支へつべし。彼は医者に見せしに常ならぬ身なりといふ。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
一とせの間のつひえをば、われいかにともすべし。此館にありし間の我等の待遇には、おん身は或はあきたらざりしならん。されど又世間に出でゝは、誠の心もておん身を待つ人少きことを忘れ給ふな。
此時いまひとりの癩を病める者かくいふをきゝてわが言に答へて曰ひけるは、つひえを愼しむすべしれるストリッカ 一二四—
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
この日は飜譯のしろに、旅費さへ添へて賜はりしを持て歸りて、飜譯の代をばエリスに預けつ。これにて魯西亞より歸り來んまでのつひえをば支へつべし。彼は醫者に見せしに常ならぬ身なりといふ。
舞姫 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
其供廻のつひえは阿部家が供給したさうである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)