論語ろんご)” の例文
木彫きぼりのあの、和蘭陀靴オランダぐつは、スポンとうらせて引顛返ひつくりかへる。……あふりをくつて、論語ろんごは、ばら/\と暖爐だんろうつつて、くわつしゆそゝぎながら、ペエジひらく。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
また論語ろんごにしがみついたりしましたが——ふと、国学にはいって、この皇国みくにの真髄を明示されてから、断然、髪をたくわえて、江戸にのぼりました。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さりながら論語ろんごきて梅暦むめごよみ六韜三略りくとうさんりやくとする当世たうせい若檀那わかだんな気質かたぎれとは反対うらはらにて愈々いよ/\たのもしからず。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
〔譯〕論語ろんごかうず、是れ慈父じふの子を教ふる意思いし孟子まうしを講ず、是れ伯兄のをしふる意思いし大學だいがくを講ず、あみかうに在る如し。中庸ちゆうようを講ず、くもしうを出づる如し。
そのとき和邇わには、十かん論語ろんごという本と、千字文せんじもんという一巻の本とを持って来て献上しました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
「そうです。ナカナカ頭がいい。この心得がなければいけません。当節の家庭教師には論語ろんご読まずの論語知らずが多いから困る。つぎに、きみ君たらずともしん臣たらざるべからず」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
そのあひだ主人しゆじん昨夕ゆうべつた料理屋れうりやつたとかつてめう藝者げいしやはなしをした。この藝者げいしやはポツケツト論語ろんごきで、汽車きしやつたりあそびにつたりするときは、何時いつでもそれをふところにしてるさうであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そこには、論語ろんご中庸ちゅうよう、史記、貞観政要じょうがんせいよう六韜りくとうなどの漢書やら、延喜式えんぎしき吾妻鏡あずまかがみなどの和書もあった。中でも、愛読の書は、論語と中庸の二書であり、和書では、吾妻鏡だった。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
書棚しよだなのぞいておくて、抽出ぬきだ論語ろんご第一卷だいいつくわん——やしきは、置場所おきばしよのあるところとさへへば、廊下らうか通口かよひぐち二階にかい上下うへしたも、ぎつしりと東西とうざいしよもつのそろつた、硝子戸がらすど突當つきあたつてそれからまが
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「どうですか? おひまなら論語ろんごの講義でもいたしましょうか?」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
論語ろんごなにかあつて」と御米およねかへしたら、宗助そうすけ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
家康は、いまし方、とばりのうちで、信雄とはなしこんでいたが、信雄が自陣へ帰ったあと、きょうもバチバチ遠くでする銃声を、そら耳に聞きながら、よろいびつの上の、論語ろんごをとって、黙読していた。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
りすれどもあみせず、論語ろんごのことばですよ」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
今夜こんやひさぶり論語ろんごんだ」とつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)