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ただ
ふりがな文庫
“
訊
(
ただ
)” の例文
父がここへ来たのは
丁度
(
ちょうど
)
幸いである。市郎は
彼
(
か
)
の𤢖に
就
(
つい
)
て父の意見を
訊
(
ただ
)
すべく待ち構えていた。が、父の話は
其
(
そ
)
んな問題で無かった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
家中のものの誰れ彼れが彼を随意につかまえて、彼らの云い分を
喋
(
しゃべ
)
りちらし、あれこれと問い
訊
(
ただ
)
す。それを避けようとはしなかった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
して彼らの理由を
訊
(
ただ
)
せば、人間が世の中にいる以上は、
優勝劣敗
(
ゆうしょうれっぱい
)
の原則にしたがい競争するを要するがゆえ、かくすると弁解する。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
素直に
止
(
よ
)
してくれたのは仕合せでしたが、その代り、どんなに問い
訊
(
ただ
)
しても、「どうして死ぬ気になったか」一言も漏しません。
悪人の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
掛け、作者は語り、読者は聞き、評者は、或いは作者の話に
相槌
(
あいづち
)
を打ち、或いは不審を
訊
(
ただ
)
し、或いは読者に代って、そのストップを乞う。
如是我聞
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
何だか無垢の人を
傷
(
あや
)
めた気持で、どんな事情なのか、それは本当なのか問い
訊
(
ただ
)
す余地もないほど、乞食の老人の言った安宅先生退職の話は
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
履歴を
訊
(
ただ
)
せば、藩の学問所の学頭をした人の
嗣
(
あと
)
で、県政の布かれてからは長らく漢学の私塾を開いてゐたとかいふ事である。
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
紋三は三千子の家出の
顛末
(
てんまつ
)
を聞き
訊
(
ただ
)
し、山野夫人の方では明智小五郎の
為人
(
ひととなり
)
を尋ねたりした。そして結局明智の宿を訪ねることに話が極った。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
細君は女の事だからまだ
判然
(
はっきり
)
覚えているだろうが、今の彼にはそんな事を改めて彼女に問い
訊
(
ただ
)
して見る気も起らなかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
云う事がイクラカ筋立って来た頃を
見計
(
みはから
)
って、なだめつ
賺
(
す
)
かしつしながら色々と事情を聞き
訊
(
ただ
)
してみますと……色情倒錯どころの騒ぎではない。
キチガイ地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「だが、そもじの罪障は消えたとて、二人を
殺
(
あや
)
めた下郎の
業
(
ごう
)
は
永劫
(
えいごう
)
じゃ、私は、今日これから、そなたの前で、そやつを
訊
(
ただ
)
し上げてみせますぞ」
紅毛傾城
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
サンドオがバルザツクに会つた時、この数字の意味を問ひ
訊
(
ただ
)
すと、それは著者が十万部売切れた場合、著者の手に渡るべき印税の額だつたと云ふ。
点心
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と、馳走した上、
音物
(
いんもつ
)
を贈って、さまざま
君前
(
くんぜん
)
を申しなだめて貰いもし、また、営中の形勢をも
問
(
と
)
い
訊
(
ただ
)
そうとしたのだが、飛騨守は、
袂
(
たもと
)
を払って
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
僕は今日こそ父に向い、断然
此方
(
こっち
)
から言い出して秘密の
有無
(
うむ
)
を
訊
(
ただ
)
そうと決心し、学校から日の暮方に帰って夜食を済ますや、父の居間にゆきました。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
一通りの白状ぶりを聞いても、そんなに大した
悪戯
(
いたずら
)
をする悪少年とも見えません。けれども甚三郎は、この少年を問い
訊
(
ただ
)
すことに興味を失わないで
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
訊
(
ただ
)
したところで白状なんかするやつじゃない。だから僕は一回だとてそんなはずかしい質問をしたことはないよ。
黄昏の告白
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
それ故私たちは現在の日本が伝統に
基
(
もとづ
)
いてどんな仕事を続けているか。またかかるものにどんな価値を見出し得るかを、まず
訊
(
ただ
)
しておかねばなりません。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
その低い声を聞いて、フラテは彼の細く尖つた顔を上げて、その意味を
訊
(
ただ
)
すかのやうに彼の顔を見上げた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
しかし当夜口論した事実もあるから一応は
訊
(
ただ
)
すべきだろう、というので使をやると、南部の邸は空だ。
だだら団兵衛
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「道々、炭焼の者などにも問い
訊
(
ただ
)
したなれど、大宮の宿へ出た様子もないとの事、そこでもう一応、尋ねたいと存じますが、誰ぞ山案内をしてくれる者はござるまいか」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
母は、窩人の
長
(
おさ
)
の杉右衛門の娘、山吹であったということだ。父は里の者で、多四郎という若者だそうだ……そのうち窩人と逢うこともあろう、よく聞き
訊
(
ただ
)
してご覧なされ。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
文覚は、血相変えて寺にとびこんできた女房に、始めは驚いたが、事の次第を問い
訊
(
ただ
)
すと
現代語訳 平家物語:12 第十二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
もう一人の友達もこれには
至極
(
しごく
)
同感で、実はその白い物が自分の目にも見えて、どうも気分が
勝
(
すぐ
)
れないと言った。そこで
早速
(
さっそく
)
下宿の主人を呼んで、この旨を聞き
訊
(
ただ
)
すところまで話が進む。
白い光と上野の鐘
(新字新仮名)
/
沼田一雅
(著)
内儀に
訊
(
ただ
)
すと
果
(
はた
)
せるかな、僕が前日憲兵隊に
引留
(
ひきと
)
められている間、数名の将校が僕の室を占領し、昨夜は一同眠りもやらず徹夜し、今朝がたになってやっと引上げて行ったとの事でした。
壊れたバリコン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
フォー一家についてお尋ねのことは兄に聞き
訊
(
ただ
)
してみました。兄は常に善良な王党の人でありますので、御承知のとおりいろいろなことを知っており、いろいろな事を記憶しております。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そう思って庭師にその事を
訊
(
ただ
)
してみたが、庭師は夢にも知らぬといった。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
「来馬にも
訊
(
ただ
)
し山田にも聞かぬ上は軽々しく信じられぬ。」
新訂雲母阪
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
さはれ今行き、めづる子に逢ひて
訊
(
ただ
)
さむ、戰鬪の
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
一度問い
訊
(
ただ
)
して見なければ気がすまなかった。
性に眼覚める頃
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
驚いて
其
(
その
)
仔細を
訊
(
ただ
)
したが、
彼女
(
かれ
)
は何にも答えなかった。赤児は恐らく重蔵の
胤
(
たね
)
であろうと思われるが、男の
生死
(
しょうし
)
は一切不明であった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「明朝までに御墨付が返らなければ、生きてお前に逢うのもこれ限りだ、——その娘とやらを拷問にかけても、御墨付の
在処
(
ありか
)
を
訊
(
ただ
)
してくれ」
銭形平次捕物控:003 大盗懺悔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ハムレットの、心の底の、いつわりの無いところも、よく聞き
訊
(
ただ
)
してみて下さい。決して悪いようには、しないつもりです。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
養策はすぐに女中に命じて乞食青年を呼び返させて、勝手口にまわして茶を与えて、自身に親しく身の上を問い
訊
(
ただ
)
した。
黒白ストーリー
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
以上の三
眼
(
がん
)
も更に
訊
(
ただ
)
せば、また三眼にして一眼なのである。一眼にして三眼なのである。この意味に於て三眼それ自身が「融即」の眼なのである。
阿難と呪術師の娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
一てえ、あいつの宿はどこなんだろう? あしたは、芝居町の方へ出かけて行ってくわしく
訊
(
ただ
)
してやらざあならねえ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
直ちに郵便局を検べ集配人を
訊
(
ただ
)
したが、何の
得
(
う
)
る所もなかった。その翌日は、外出から帰った長男一郎の
折鞄
(
おりかばん
)
の中から、2と記したカードが現われた。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
内実
(
ないじつ
)
は暫く不問に置かれる、但し、右の古金、新金の
在所
(
ありか
)
はこの場で
訊
(
ただ
)
して帰らねば、身共役目が立ち申さぬ
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しかし市の有志家が何名か打ち
揃
(
そろ
)
って上京した時に、有名な政治家のある
伯爵
(
はくしゃく
)
に会って、父の適不適を問い
訊
(
ただ
)
したら、その伯爵がどうも
不向
(
ふむき
)
だろうと答えたので
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と
訊
(
ただ
)
したら、お茶をひいて
仲間
(
なかま
)
に笑われることだと答えたそうであるが、彼らは日々の飯さえ遠慮して食い、終夜一
睡
(
すい
)
もせぬことしばしばなるに、
身体
(
からだ
)
の苦しきよりは
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
実に、それが紛糾混乱の始まりとなって、ついに問題は礼拝堂を離れてしまった。法水も、
本開閉器
(
メインスイッチ
)
の所在を津多子に
訊
(
ただ
)
す前に、なにより彼の早断を詫びなければならなかった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
今日難波屋が巨万の富を擁するにいたりましたも、
原
(
もと
)
を
訊
(
ただ
)
せば御当家の御恩顧。
入婿十万両
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そう考えると、彼は星尾に会って
問
(
と
)
い
訊
(
ただ
)
したいと思った。仕度をすると、直ぐに留置場へ行き星尾に、何か
陳
(
の
)
べわすれているものはないか、特に電車の中あたりで何か無かったかと尋ねてみた。
麻雀殺人事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
雇人に
訊
(
ただ
)
しても、ホテル到着の時間は確かに七時前だったのです。
死者の権利
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
「面目もありません。軍律に照して、敗戦の罪をお
訊
(
ただ
)
し下さい」
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私は車を飛び出すと、玄関へかけつけ、そこにいた女中を捕えて、いきなりこんなことを聞き
訊
(
ただ
)
すのであった。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そこで真赤になって苦笑している妻の松子に耳打ちして、病院に彼女と一緒に寝起きしている看護婦を大至急で呼び寄せて、ユリ子に関する或る秘密を問い
訊
(
ただ
)
してみた。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と、一体の人数、往来の人に足取りを
訊
(
ただ
)
し乍ら、目黒の方へ揉みに揉んで馳け付けました。
新奇談クラブ:05 第五夜 悪魔の反魂香
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ただ、米友の場合、困るのは、拾い主には拾い主としての義務がある、責任もあるというその心配なので、まず第一に、自分の住所氏名から
訊
(
ただ
)
される、これが苦手であること。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
譬えていえば少女が男子に
近
(
ちかづ
)
くことを怖れる、その理由を
訊
(
ただ
)
せば知らない。
「死」の問題に対して
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
私も妙に存じまして、一度よく
訊
(
ただ
)
して見ようと考えています内に今度の出来事でございましょう。
黒手組
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
訊
漢検準1級
部首:⾔
10画
“訊”を含む語句
訊問
問訊
御訊
訊糺
訊問者
訊尋
聞訊
訊入
訊返
訊斷
訊問室
訊合
訊出
不審訊問
神訊
相訊
旅客訊問
御訊問
対質訊問
十字火訊問