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覇気
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はき
ふりがな文庫
“
覇気
(
はき
)” の例文
『浮雲』著作当時の二葉亭は
覇気
(
はき
)
欝勃
(
うつぼつ
)
として、
僅
(
わずか
)
に春廼舎を友とする外は眼中人なく、文学を以てしては殆んど天下無敵の概があった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
正季初め、単純な若人ばらの
覇気
(
はき
)
にせよ、功名心だけでもない
誉
(
ほま
)
れと死の意味も、一面の気概となっていることは見のがされない。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
メンゲルベルクがコンセルトヘボウを指揮したレコード(コロムビアJ八一五四—七)の愛情と
覇気
(
はき
)
を忘れ難いものと思っている。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
英泉は
一筆庵可候
(
いっぴつあんかこう
)
と称して
戯作
(
げざく
)
の才あり。その性行
放縦無頼
(
ほうしょうぶらい
)
なりし事より推察するに画工としてもまた
頗
(
すこぶ
)
る
覇気
(
はき
)
ありしなるべし。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
かつ満身の
覇気
(
はき
)
でもって世人を
籠絡
(
ろうらく
)
し全国に
夥
(
おびただ
)
しき門派の末流をもって居たところなども善く似て居るかと存候。
歌よみに与ふる書
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
▼ もっと見る
あのころのあなたのあの鉄のような意志と、
鷲
(
わし
)
のような
覇気
(
はき
)
とを。われわれは皆あなたにいちばん信頼していた。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
まず、書の巧拙や、筆法の吟味は論外として、その
覇気
(
はき
)
遊逸
(
ゆういつ
)
して、筆端竜蛇を走らす
体
(
てい
)
の勢いに、さすがの白雲が、すっかり気を呑まれてしまった形です。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
謀叛僧
文覚
(
もんがく
)
が
荒行
(
あらぎょう
)
をやった
那智
(
なち
)
の
大瀑
(
おおだき
)
が
永久
(
えいきゅう
)
に
漲
(
みなぎ
)
り落つ処、
雄才
(
ゆうさい
)
覇気
(
はき
)
まかり違えば
宗家
(
そうか
)
の天下を
一
(
ひと
)
もぎにしかねまじい
南竜公
(
なんりゅうこう
)
紀州
(
きしゅう
)
頼宣
(
よりのぶ
)
が虫を抑えて居た処
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
貞子の家での集りで、珍らしく
覇気
(
はき
)
にみちた野村の声をきき、珍らしく湧き上るような笑顔をみたからである。そしてあとに残ったミネは貞子にそれをいった。
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
この
覇気
(
はき
)
が、現世の勢力争いに敗れた俊成のどこから出て来るのかとおどろかれるばかりである。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
全てが一家族のような小さな村にも
路頭
(
ろとう
)
に迷って死を求める人がある、都会の自殺には
覇気
(
はき
)
がありむしろ弾力もある生命力が感じられるが、この山奥の自殺者の無力さ加減
禅僧
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
敗北——おそらくは自殺——への先天的傾向が彼のうちにはあった。
覇気
(
はき
)
をいだき幸福であるようにと姉が彼に望まなかったら、彼はその傾向に引きずり込まれたかもしれない。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
××というのは、思い出せなかったが、
覇気
(
はき
)
に富んだ開墾家で知られているある宗門の僧侶——そんな見当だった。また○○の木というのは、気根を出す
榕樹
(
たこのき
)
に
連想
(
れんそう
)
を持っていた。
雪後
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
鷹洲は此事を頭から受取らないが、鷹洲で無くても、警部長になれなかつたから
謀反
(
むほん
)
をするに至つたなどといふのは、如何に関東武士の
覇気
(
はき
)
勃〻
(
ぼつ/\
)
たるにせよ、信じ難いことである。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
この
女
(
ひと
)
は
覇気
(
はき
)
あるために長く宮中におられず、宮内を出ると民権自由を絶叫し、自由党にはいって女政治家となり、盛んに各地を
遊説
(
ゆうぜい
)
し、チャーミングな姿体と、熱烈な男女同権
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
兄上と呼ばれた青年の武士は、このようにいくらかたしなめるようにいったが、憎く思っていったのではなくて、弟に
覇気
(
はき
)
を持たせようとして、むしろ慈愛的にいったようであった。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
だが、武州公を動かしたものは恐らくこう云う
覇気
(
はき
)
ばかりではなかったであろう。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
師匠の団十郎もそれがために往々
傲慢
(
ごうまん
)
の誤解をまねいたが、彼もやはりその
轍
(
てつ
)
を踏んでいたのであろう。そうして一面には
頗
(
すこぶ
)
る
覇気
(
はき
)
に富んでいたらしく、一種
精悍
(
せいかん
)
の気がその風貌に
漲
(
みなぎ
)
っていた。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
もっと
覇気
(
はき
)
をだすようにすすめたらどうか、そんなことも云いだした。
日本婦道記:風鈴
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
然
(
しか
)
りといえども
乃祖
(
だいそ
)
元就
(
もとなり
)
、
寡兵
(
かへい
)
を
提
(
ひっさ
)
げ、
陶賊
(
とうぞく
)
を
厳島
(
いつくしま
)
に
鏖
(
みなごろし
)
にしたる、当年の
覇気
(
はき
)
豈
(
あ
)
に
悉
(
ことごと
)
く消沈し去らんや。天下一朝動乱の機あれば、先ず徳川幕府に向って楯を突くものは、長にあらざれば必らず薩。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
これ
覇気
(
はき
)
ある東北人士のおりおり用いたもう一拶である。はいはい、これには一言もないようなものだが、実はこの沢この野山に、雪の積もって寒ういくらいは、想像の及ばぬほどの
別乾坤
(
べつけんこん
)
でもない。
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
みんな、いやだ。眼が、どろんと濁っている。
覇気
(
はき
)
が無い。
女生徒
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「あの男も実に好人物だ、
郷里
(
くに
)
の小学校にいた時分からの友達で、鉄道に勤めるようになってからもう二十年にもなるだろう、もう少し
覇気
(
はき
)
があったなら相当な地位も得られたろうに、今辞職しちゃ細君もさぞ困るだろう」
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
ザウアーはもはや八十歳の老人であるが、依然楽壇の尊崇を集めている様子で、瑰麗な表現には青年らしい
覇気
(
はき
)
と光沢とがある。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
もし帯刀とその小姓をのぞけば、この近傍の
庄屋
(
しょうや
)
とも変りはない。それほどに
覇気
(
はき
)
や
衒気
(
げんき
)
のみじんも見えない人がらであった。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かつ満身の
覇気
(
はき
)
でもつて世人を
籠絡
(
ろうらく
)
し、全国に
夥
(
おびただ
)
しき門派の末流をもつてゐた処なども善く似てをるかと存候。
歌よみに与ふる書
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
白皙
(
はくせき
)
、黒髪、長身で、おとなしやかな坊ちゃん育ちも、彼の
覇気
(
はき
)
は、かなり自由に伸びて、雑誌『
都
(
みやこ
)
の花』主幹として、日本橋区本町の
金港堂
(
きんこうどう
)
書店から十分な月給をとっていたうえに
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
実は
衒気
(
げんき
)
五分市気三分の
覇気
(
はき
)
満々たる男で、風流気は
僅
(
わずか
)
に二分ほどしかなかった。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
覇気
(
はき
)
に富んだ彼としては恐らく堪えがたい苦痛であったろうと察せられるが、実際かれはそれほどに衰弱してしまったのである。それから病臥一年あまりで、かれは三十年の七月に世を去った。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
燃ゆるが如き
覇気
(
はき
)
と野心とが
充
(
み
)
ち満ちていたように思われる。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「よし、その
覇気
(
はき
)
で一生を貫け」
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
戦陣に出しても、彼は、信雄よりもはるかに大将らしくもあるし、平常の言動にも
覇気
(
はき
)
を示し、何よりはまた、信雄のようにひっこみ思案でない。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
前者は吹込みは古いが温雅な演奏で、後者の若さと
覇気
(
はき
)
に対照して捨て難いものである。しかし一般収集家は常識として録音の新しい後者を選ぶのが本当であろう。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
が、同時に政治家型の
辺幅
(
へんぷく
)
や
衒気
(
げんき
)
や
倨傲
(
きょごう
)
やニコポンは薬にしたくもなかった。君子とすると
覇気
(
はき
)
があり過ぎた。豪傑とすると神経過敏であった。実際家とするには理想が勝ち過ぎていた。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
かれに今一段の
覇気
(
はき
)
とか活気とかいうものがあったならば、かの七代目団蔵の末年とおなじように、古典劇の名手として一部の賞讃を博し得たであろうが、彼はすべてにおいて余りに無欲
恬淡
(
てんたん
)
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
顔もよい、揃って
覇気
(
はき
)
のある、若い役者の大役を演じるところだった。
旧聞日本橋:24 鬼眼鏡と鉄屑ぶとり(続旧聞日本橋・その三)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
その眼と体験から見れば、石舟斎の何らの
覇気
(
はき
)
も
衒気
(
げんき
)
もない、淡々たる
朴醇
(
ぼくじゅん
)
な風は、これが上泉伊勢守なき後の宇内の名人かと疑われるほどであった。
剣の四君子:02 柳生石舟斎
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それを、あの僧の如きは、持って生れた
痼疾
(
こしつ
)
のように、時を選ばず、所をきらわず、
猛々
(
たけだけ
)
しいことのみ吠えておる。——
覇気
(
はき
)
がありすぎて好きになれぬ
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
頭
(
つむり
)
をまろめ、
染衣
(
せんい
)
をまとい、さしも数年にわたって、北陸の山野を
震
(
ふる
)
わしていた猛虎も、いまは
手頸
(
てくび
)
にかけた一聯の
数珠
(
じゅず
)
に、自分で自分の
覇気
(
はき
)
を
縛
(
いまし
)
めていた。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
などと同僚にも放言していたくらいな男だが、その
覇気
(
はき
)
と自負が過ぎるので、孔明は一時彼の官職を取り上げ、
汶山
(
ぶんざん
)
という僻地へ追って謹慎を命じておいた。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
善鬼は、いよいよ壮年期の逞しいさかりへかかって、その実力も、鍛えを加え、また諸国の剣客やその
道床
(
どうしょう
)
に人中の場数をふんで、
覇気
(
はき
)
満々たるものがあった。
剣の四君子:05 小野忠明
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
城主の佐々木四郎高綱は、兄の
盛綱
(
もりつな
)
よりも武者としては勇武があった、髪もまだ白くはない、骨ぶしもまだ
強弓
(
つよゆみ
)
を引くに耐える、それだけに満ち
溢
(
あふ
)
るる
覇気
(
はき
)
もあった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
経巻なので、もちろん、慎んでは書いたのだろうが、文字ごとの筆切れに、
左流
(
ひだりなが
)
れのクセがあったりして、らくな気持もうかがわれながら、
覇気
(
はき
)
らしい点が少しもない。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
三七信孝の方は、もっと
覇気
(
はき
)
があるだけに、秀吉の横顔を、上座から凝視するの風を示していた。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
むしろ
埋
(
うず
)
め
火
(
び
)
となった
覇気
(
はき
)
一ぱいな、ご健康ぶりでさえあったが、都万の漁村からこっちは、妃たちとも侍者とも船をべつにされ、海上は後醍醐おひとりであったからだ。
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その分なら目にもの見せてくれるぞ——との
覇気
(
はき
)
に満々たらざるを得なかったのである。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
諸将の面上には、かつてのこの国には見られなかった
覇気
(
はき
)
闘志がみなぎっている。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、にわかに、
覇気
(
はき
)
を、盛りかえし、望むところの、
焦点
(
しょうてん
)
をつかみ得たように
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
殊に、
覇気
(
はき
)
満々な伝七郎の前では、なおさらである。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“覇気”の意味
《名詞》
何かを征服して覇者になろうという意気。進んで何かをやろうという意気。
野望。野心。
(出典:Wiktionary)
覇
常用漢字
中学
部首:⾑
19画
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
“覇気”で始まる語句
覇気叛骨
覇気横溢
覇気満々
覇気満溢
覇気熱情