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襞襀
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ひだ
ふりがな文庫
“
襞襀
(
ひだ
)” の例文
と山の
襞襀
(
ひだ
)
を霧の包むやうに
枯蘆
(
かれあし
)
にぬつと立つ、此の
大
(
だい
)
なる
魔神
(
ましん
)
の
裾
(
すそ
)
に、小さくなつて、屑屋は頭から
領伏
(
ひれふ
)
して手を合せて拝んだ。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
盤台面
(
ばんだいづら
)
の汚い歯の大きな男で、
朴歯
(
ほうば
)
の下駄を
穿
(
は
)
き、
脊割羽織
(
せわりばおり
)
を着て、
襞襀
(
ひだ
)
の崩れた
馬乗袴
(
うまのりばかま
)
をはき、
無反
(
むぞり
)
の大刀を差して遣って参り
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
是故にわが筆
跳越
(
をどりこ
)
えてこれを
録
(
しる
)
さじ、われらの想像は、
况
(
まし
)
て言葉は、かゝる
襞襀
(
ひだ
)
にとりて色
明
(
あかる
)
きに過ればなり 二五—二七
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
いままで空間を
空撫
(
からな
)
でしていたヘッド・ライトの
光芒
(
ひかり
)
が、谷間の闇を越して向うの山の
襞襀
(
ひだ
)
へぼやけたスポット・ライトを二つダブらせながらサッと当って
白妖
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
蟻が塔を造るやうな遅〻たる行動を生真面目に取つて来たのであるから、浮世の応酬に疲れた皺をもう額に畳んで、心の中にも他の学生にはまだ出来て居らぬ細かい
襞襀
(
ひだ
)
が出来てゐるのであつた。
観画談
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
それは見台をわきにした
座像
(
ざぞう
)
で、
三蓋菱
(
さんがいびし
)
の
羽織
(
はおり
)
の紋や、簡素な線があらわした着物の
襞襀
(
ひだ
)
にも特色があったが、ことに、その左の手を
寛
(
くつろ
)
いだ形に置き、右の手で白扇をついた
膝
(
ひざ
)
こそは先師のものだ
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
鬚深
(
ひげふか
)
き
横面
(
よこづら
)
に
貼薬
(
はりくすり
)
したる
荒尾譲介
(
あらおじようすけ
)
は既に
蒼
(
あを
)
く
酔醒
(
ゑひさ
)
めて、
煌々
(
こうこう
)
たる空気ラムプの前に
襞襀
(
ひだ
)
もあらぬ
袴
(
はかま
)
の
膝
(
ひざ
)
を
丈六
(
じようろく
)
に組みて、
接待莨
(
せつたいたばこ
)
の葉巻を
燻
(
くゆ
)
しつつ意気
粛
(
おごそか
)
に、
打萎
(
うちしを
)
れたる宮と熊の敷皮を
斜
(
ななめ
)
に差向ひたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
まだお膳も並ばぬうち、
譬喩
(
たとえ
)
にもしろ
憚
(
はばか
)
るべきだが、
密
(
そっ
)
と
謂
(
い
)
おう。——
繻子
(
しゅす
)
の袴の
襞襀
(
ひだ
)
とるよりも——とさえいうのである。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
向うの山鼻で、ヘッド・ライトがキラッと光ったかと思うと、こちらの木蔭で警笛がなると、重苦しい爆音を残して再びスーッと光の尾が
襞襀
(
ひだ
)
の向うへ走り去る。
白妖
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
蟻
(
あり
)
が
塔
(
とう
)
を造るような遅〻たる行動を
生真面目
(
きまじめ
)
に取って来たのであるから、浮世の
応酬
(
おうしゅう
)
に疲れた
皺
(
しわ
)
をもう
額
(
ひたい
)
に畳んで、心の中にも他の学生にはまだ出来ておらぬ細かい
襞襀
(
ひだ
)
が出来ているのであった。
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
月の光が行通れば、
晃々
(
きらきら
)
と
裳
(
もすそ
)
が揺れて、両の足の
爪先
(
つまさき
)
に、
美
(
うつくし
)
い
綾
(
あや
)
が立ち、月が
小波
(
ささなみ
)
を渡るように、
滑
(
なめら
)
かに
襞襀
(
ひだ
)
を打った。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、その
襞襀
(
ひだ
)
の中腹にこの
道路
(
みち
)
の延長があるのか、一台の華奢なクリーム色の
二人乗自動車
(
クーペ
)
が、一足先を矢のようにつッ走って、見る見る急角度に
暗
(
やみ
)
の中へ折曲ってしまった。
白妖
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
山が自然の作用によつて條をなして崩れて
襞襀
(
ひだ
)
のやうなものを造り出すのを、ゾレといふ國もありナギといふ國もあるが、男體山は頂上まで滿山樹木が茂つてゐるので、そのいはゆるナギの少いのは
華厳滝
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
ひらひらと銅像の
襞襀
(
ひだ
)
を踏んで、手がその肩に
掛
(
かか
)
った時、前髪のもみじが、
薄
(
すすき
)
の
簪
(
かんざし
)
を誘って、中空に
飜
(
ひるがえ
)
るにつれて、はじめて、台座に揃えて脱いだ草履が山へ落ちた。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あとの
二人
(
ふたり
)
とも、
此
(
こ
)
の
時
(
とき
)
言合
(
いひあ
)
はせた
體
(
てい
)
に、
上
(
うへ
)
と
下
(
した
)
で、
衣
(
き
)
ものの
襞襀
(
ひだ
)
まで、
頷
(
うなづ
)
いたのが
朧
(
おぼろ
)
に
分
(
わか
)
つた。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
で、木彫の、小さな、
護謨細工
(
ゴムざいく
)
のやうに柔かに
襞襀
(
ひだ
)
の入つた、靴をも取つて籠の前に
差置
(
さしお
)
いて
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
で、
木彫
(
きぼり
)
の、
小
(
ちひ
)
さな、
護謨細工
(
ゴムざいく
)
のやうに
柔
(
やはら
)
かに
襞襀
(
ひだ
)
の
入
(
はひ
)
つた、
靴
(
くつ
)
をも
取
(
と
)
つて
籠
(
かご
)
の
前
(
まへ
)
に
差置
(
さしお
)
いて
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ごほんと、
乾咳
(
からぜき
)
を
咳
(
せ
)
いて、
掻巻
(
かいまき
)
の襟を
引張
(
ひっぱ
)
ると、暗がりの中に、その袖が
一波
(
ひとなみ
)
打って
煽
(
あお
)
るに連れて、白い
蔽
(
おおい
)
に、
襞襀
(
ひだ
)
が入って、何だか、
呼吸
(
いき
)
をするように、ぶるぶると動き出す。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
燻
(
くすぶ
)
った、その癖、師走空に
澄透
(
すみとお
)
って、
蒼白
(
あおじろ
)
い陰気な
灯
(
あかり
)
の前を、ちらりちらりと冷たい魂が
徜徉
(
さまよ
)
う姿で、
耄碌頭布
(
もうろくずきん
)
の
皺
(
しわ
)
から、
押立
(
おった
)
てた古服の
襟許
(
えりもと
)
から、汚れた襟巻の
襞襀
(
ひだ
)
の中から、
朦朧
(
もうろう
)
と
顕
(
あらわ
)
れて
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
襞
漢検1級
部首:⾐
19画
襀
部首:⾐
16画
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襞襀捩