自覚じかく)” の例文
旧字:自覺
で、自然しぜん私達わたくしたち対話はなしんでからのち事柄ことがらかぎられることになりました。わたくし真先まっさきにいたのは良人おっと死後しご自覚じかく模様もようでした。——
勇蔵ゆうぞうも、近所きんじょひとたちも、同情どうじょうをしてくれたけれど、きるみちは、畢竟ひっきょう自分じぶんはたらくよりもほかにないということをかれ自覚じかくしたのです。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれが行動こうどう確信かくしんあるがごとくにして、その確信かくしんそこがぬけているところ、かれが変人たるゆえんではあるが、しかしながらかれは確信かくしんという自覚じかくがあるかどうか
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
四人の少年はぼうぜんとして甲板かんぱんに立った。かれらはいよいよ絶望ぜつぼうの期がせまったと自覚じかくした。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
もっと緩慢かんまんなる麻痺性のものでないといけぬ。わしの作った神経瓦斯は、全然当人に自覚じかくがないような性質のものだ。臭気しゅうきはない、色もなくて透明だ、もちろん味もない、刺戟しげきもない。
脳髄のうずいや、視官しかん言語げんご自覚じかく天才てんさいなどは、ついにはみな土中どちゅうはいってしまって、やがて地殻ちかくとも冷却れいきゃくし、何百万年なんびゃくまんねんながあいだ地球ちきゅうと一しょ意味いみもなく、目的もくてきまわくようになるとなれば
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
正吉しょうきちは、選挙せんきょに一ぴょうとうじてから、社会人しゃかいじんになれたという、つよ自覚じかくをもつと同時どうじに、自然しぜん観察かんさつから、また仕事しごとのうえにもだいなる自信じしんました。
心の芽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
自覚じかく頭脳あたま内部なかではっきりすると同時どうじに、わたくし次第しだいはげしい昂奮こうふん暴風雨あらしなかにまきまれてきました。わたくしなによりつらくかんじたのは、あとのこした、いたる両親りょうしんのことでした。
それで男も女も恋愛れんあいかんする趣味しゅみにはなんらの自覚じかくもなかった。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
天職てんしょく自覚じかくせず、また、それにたいする責任せきにんかんぜず、うえのものは、したのものに好悪こうお感情かんじょう露骨ろこつにあらわして平気へいきだった、いまよりは、もっとくらかった時代じだいはなしであります。
天女とお化け (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたくし良人おっと素朴そぼく物語ものがたりたいへんな興味きょうみもってききました。ことわたくし生存中せいぞんちゅうこころばかりの祈願きがんが、首尾しゅびよく幽明ゆうめいさかいえて良人おっと自覚じかくのよすがとなったというのが、にもうれしいことかぎりでした。