群青ぐんじやう)” の例文
なかいたやうな……藤紫ふじむらさきに、浅黄あさぎ群青ぐんじやうで、小菊こぎく撫子なでしこやさしくめた友染いうぜんふくろいて、ぎんなべを、そのはきら/\とつてた。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すると、雲もなくみがきあげられたやうな群青ぐんじやうの空から、まつ白な雪が、さぎの毛のやうに、いちめんに落ちてきました。
水仙月の四日 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
カンカラカラと笑ひ飛ばすと、きざみの深い物凄い顏のひもゆるんで、群青ぐんじやうで描いたやうな青髯あをひげの跡までが愛嬌になります。
普通なみの絵具は生徒が買合せの安物の水絵具で辛抱してゐたが、緑青と群青ぐんじやうとだけは、自分のうちから懐中ふところぢ込んで来てそれを生徒に売つてゐた。
然しここの生活だけは乳金、代赭たいしや群青ぐんじやうの外にエメロオド、ロオズマツダア等を納れ得るのである。あの布を干す二三人の群を目の粗いカンヷスに取つたらさぞ愉快の事だらう。
京阪聞見録 (旧字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
僕はこの女連中をんなれんぢゆうの化粧する所を興味をもつて観て居るが、いろんな白粉おしろいを顔から胸や背中へ掛けて塗り、目の上下うへしたにはパステルの絵具のやうな形をした紫、黒、群青ぐんじやうさまざまの顔料を塗るのは
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
象の背の菩薩の如く群青ぐんじやうと白の絵の具の古び行く秋
註釈与謝野寛全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
群青ぐんじやうの雲の亂れと相鬩あひせめ
山果集 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
暮るるまがき群青ぐんじやう
山羊の歌 (新字旧仮名) / 中原中也(著)
が、かげすと、なかうもれたわたし身體からだは、ぱつと紫陽花あぢさゐつゝまれたやうに、あをく、あゐに、群青ぐんじやうりました。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そのときはもう、あかがねづくりのお日さまが、南の山裾やますそ群青ぐんじやういろをしたとこに落ちて、野はらはへんにさびしくなり、白樺しらかばの幹などもなにか粉を噴いてゐるやうでした。
かしはばやしの夜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
葉は地中海の桔梗色ききやういろ群青ぐんじやうとを盛り重ね
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
藍だ、群青ぐんじやうだ、深緑ふかみどりだ、紫だ。
南洋館 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
みねたにかゝおもひくれなゐこずゑ汽車きしやさへ、とゞろきさへ、おとなきけむりの、ゆきなすたきをさかのぼつて、かる群青ぐんじやうくもひゞく、かすかなる、微妙びめうなる音樂おんがくであつた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あの間から群青ぐんじやう
巴里の旅窓より (旧字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
あの間から群青ぐんじやう
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
したがけに、山鳥やまどりいた蜃氣樓しんきろうごと白壁造しらかべづくり屋根やねいしさへ群青ぐんじやういは斷片かけららす。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あのあひだから群青ぐんじやう
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
が、さつと、みどりに、あゐかさね、群青ぐんじやうめて、むらさきつて、つい、掛行燈かけあんどんまへけた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
島の沖なる群青ぐんじやう
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)