維新いしん)” の例文
〔評〕死を決するは、さつの長ずる所なり。公義を説くは、土のぞくなり。維新いしんの初め、一公卿あり、南洲の所に往いて復古ふくこの事を説く。
丁度お前達の方のご維新いしん前ね、日詰ひづめの近くに源五沼という沼があったんだ。そのすぐとなりの草はらで、僕等は五人でサイクルホールをやった。
風野又三郎 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
かかる大切たいせつの場合にのぞんでは兵禍へいかは恐るるにらず、天下後世国を立てて外に交わらんとする者は、努〻ゆめゆめわが維新いしん挙動きょどうを学んで権道けんどうくべからず
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ちょうど維新いしん前後の変動に遭遇そうぐうしているのだから、母が身売りをした新町九軒の粉川と云う家も、輿入こしいれの前に一時せきを入れていた今橋の浦門と云う養家も
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「此処は直接東京の影響を受けますから、割合に田舎らしくないです。東京へ出て成功している連中の多いことは維新いしん以来芋蔓いもづるの関係で此処が一番ですからね」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
維新いしんへんれは靜岡しづをかのおとも、これは東臺とうだい五月雨さみだれにながす血汐ちしほあかこヽろ首尾しゆびよくあらはしてつゆとやえし、みづさかづきしてわかれしりのつま形見かたみ此美人このびじんなり
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
が、大体を明かにすれば、伝吉は維新いしん後材木商を営み、失敗に失敗を重ねた揚句あげく、とうとう精神に異状を来した。死んだのは明治めいじ十年の秋、行年ぎょうねんはちょうど五十三である。
伝吉の敵打ち (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
むかし苗字めうじ武士階級ぶしかいきふ以上いじやうかぎられたが、維新いしん以來いらいしやう町人ちやうにんすべ苗字めうじゆるされたので、種々雜多しゆ/″\ざつた苗字めうじ出現しゆつげんし、苗字めうじうぢともせいともことになつて今日こんにちにいたつたのである。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
ですが明治の維新いしんは古い江戸を新しい東京に変えました。大きな歴史がこの時からこの都に始まりました。皇居がここにうつされてから、もとより政治や学藝の中心地になりました。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
明治維新いしんごろまでは乞食こじき部落とまでいわれた山間の小部落が、今では近代的な組合の組織を完成し、堂々たる事務所や倉庫や産業道路などをもつに至ったその過去は、塾生たちにとって
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
その恐れ入ってる先生が真面目に幽霊談をするとなると、余もこの問題に対する態度を義理にも改めたくなる。実を云うと幽霊と雲助くもすけ維新いしん以来永久廃業した者とのみ信じていたのである。
琴のそら音 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
僕は子供心こどもごころに、維新いしんのころ世に名高き遊女ゆうじょはなしを敬服して聞いたことがある。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
明治維新いしんのとき、徳川幕府のご用金をこの山の中にかくしたという、いいつたえがあり、そのかくし場所をおしえる暗号文を手にいれた人が、ばくだいな費用をかけて、こんなあなを、ほったのです。
仮面の恐怖王 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
この事情にしたがっ維新いしんの際に至り、ますます下士族の権力をたくましうすることあらば、或は人物を黜陟ちゅっちょくし或は禄制ろくせいを変革し、なおはなはだしきは所謂いわゆる要路の因循吏いんじゅんりを殺して
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
薩人黒田・大山諸氏長に至り、長人木戸・品川諸氏薩にき、而て後成り、維新いしん鴻業こうげふいたせり。
維新いしんの頃より今日に至るまで、諸藩の有様は現に今人こんじん目撃もくげきするところにして、これをしるすはほとんど無益むえきなるにたれども、光陰こういん矢のごとく、今より五十年を過ぎ
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
〔評〕南洲かつて東湖に從うて學ぶ。當時たうじ書する所、今猶民間にそんす。曰ふ、「一寸いつすん英心えいしん萬夫ばんぷてきす」と。けだ復古ふくこげふを以て擔當たんたうすることを爲す。維新いしん征東のこう實に此にしんす。
これを要するに維新いしんの際、脱走だっそう一挙いっきょ失敗しっぱいしたるは、氏が政治上の死にして、たといその肉体の身は死せざるも最早もはや政治上に再生さいせいすべからざるものと観念してただ一身をつつし
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
これまたその功名のあたいを損ずるところのものにして、要するに二氏の富貴こそその身の功名をむなしうするの媒介ばいかいなれば、今なおおそからず、二氏共に断然だんぜん世をのがれて維新いしん以来の非をあらた
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)