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甘露
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かんろ
ふりがな文庫
“
甘露
(
かんろ
)” の例文
またこれより以上の、夢を追ふ馬鹿者が、口當りのいゝ
嘘
(
うそ
)
を
滿喫
(
まんきつ
)
し、毒をまるで
甘露
(
かんろ
)
かなんぞのやうに
嚥
(
の
)
んだりした例はない、と。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「人間の涙は塩っ辛いが、勧進元の細工なら味があるわけはねえ、本当に仏像の涙なら
甘露
(
かんろ
)
の味がするかも解らないじゃないか」
銭形平次捕物控:028 歎きの菩薩
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
からからになったのを
甘露
(
かんろ
)
煮にするのだが、番茶でゆでこぼす人もあり、鍋の下にコブを敷く人もあり、こげつかないように竹の皮を敷く人もある。
江戸前の釣り
(新字新仮名)
/
三遊亭金馬
(著)
と、
甘露
(
かんろ
)
にしては少し熱いが、ほんとうに熱い甘露であったと、兵馬は、つづいて二口三口と飲んで息をつきました。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そうして十日ほどたてば、何の人工も加えないで自然に皮の中が半流動体になり、
甘露
(
かんろ
)
のような
甘
(
あま
)
みを持つ。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
「古いいい草だが
甘露
(
かんろ
)
甘露で。これさえ飲んでおりますれば、不平も
自棄
(
やけ
)
も起こりませぬて。……では今度は次郎冠者殿へ、お相伴を願うでござりましょう」
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その膝に覚ゆる一団の微温の為に
溶
(
とろか
)
されて、彼は
唯妙
(
ただたへ
)
に
香
(
かうばし
)
き
甘露
(
かんろ
)
の夢に
酔
(
ゑ
)
ひて前後をも知らざるなりけり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
岡は
上手
(
じょうず
)
に入れられた
甘露
(
かんろ
)
をすすり終わった
茶
(
ちゃ
)
わんを手の先に
据
(
す
)
えて綿密にその作りを
賞翫
(
しょうがん
)
していた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
また
其
(
そ
)
の
手
(
て
)
で、
硝子杯
(
コツプ
)
の
白雪
(
しらゆき
)
に、
鷄卵
(
たまご
)
の
蛋黄
(
きみ
)
を
溶
(
と
)
かしたのを、
甘露
(
かんろ
)
を
灌
(
そゝ
)
ぐやうに
飮
(
の
)
まされました。
雪霊記事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
何の
肴
(
さかな
)
がなくッたって、
甘露
(
かんろ
)
、
醍醐味
(
だいごみ
)
、まるッきりうまさが、違わあな——そりゃあ、俺だって、何も、あいつをどうこうしようッていうんじゃあねえ、酌をさせるだけなら
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
弟子の勧めるまま、半蔵は格子越しにそれをうけて、ほんの一、二
献
(
こん
)
しか盃を重ねなかったが、しかし彼はさもうまそうにそのわずかな冷酒を飲みほした。
甘露
(
かんろ
)
、甘露というふうに。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
極楽世界の
甘露
(
かんろ
)
も及ばなかったです。一盃は快く飲みましたが二盃は飲めない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
待
(
ま
)
てば
甘露
(
かんろ
)
といふけれど
己
(
お
)
れなんぞは
一日々々
(
いちにち/\
)
厭
(
いや
)
な
事
(
こと
)
ばかり
降
(
ふ
)
つて
來
(
き
)
やがる、
一昨日
(
をとゝひ
)
半次
(
はんじ
)
の
奴
(
やつ
)
と
大喧嘩
(
おほげんくわ
)
をやつて、お
京
(
きやう
)
さんばかりは
人
(
ひと
)
の
妾
(
めかけ
)
に
出
(
で
)
るやうな
腸
(
はらわた
)
の
腐
(
くさ
)
つたのではないと
威張
(
ゐば
)
つたに
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
唐、天竺は愚か、
羅馬
(
ろおま
)
、
以譜利亜
(
いげりや
)
にも見られぬ図ぢや。桜に善う似た
麗
(
うるは
)
しい花の
樹
(
こ
)
の間に、はれ白象が並んでおぢやるわ。若い女子等が青い瓶から
甘露
(
かんろ
)
を
酌
(
く
)
んでおぢやるわ。赤い
坊様
(
ぼんさま
)
ぢや。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
甘露
(
かんろ
)
のような雨はその夜のふけるまで降り通したので、天の恵みをよろこぶ声ごえは洛中洛外に溢れた。彼らは天の恵みを感謝すると共に、玉藻の徳の宏大無量を讃美した。彼らばかりではない。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「人間の涙は鹽つ辛いが、勸進元の細工なら味があるわけはねえ、本當に佛像の涙なら
甘露
(
かんろ
)
の味がするかも解らないぢやないか」
銭形平次捕物控:028 歎きの菩薩
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
涸
(
か
)
れ果てた泉に
甘露
(
かんろ
)
が湧く。竜之助も前にはお浜をこうして見て、心を
戦
(
おのの
)
かしたこともあった。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
待てば
甘露
(
かんろ
)
といふけれど己れなんぞは一日一日嫌やな事ばかり降つて来やがる、一昨日半次の奴と大喧嘩をやつて、お京さんばかりは人の妾に出るやうな
腸
(
はらわた
)
の腐つたのでは無いと威張つたに
わかれ道
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
尚
(
な
)
ほ
恁
(
か
)
くの通りの
旱魃
(
かんばつ
)
、市内は
素
(
もと
)
より
近郷
(
きんごう
)
隣国
(
りんごく
)
、
唯
(
ただ
)
炎の中に
悶
(
もだ
)
えまする時、
希有
(
けう
)
の
大魚
(
たいぎょ
)
の
躍
(
おど
)
りましたは、
甘露
(
かんろ
)
、
法雨
(
ほうう
)
やがて、
禽獣
(
きんじゅう
)
草木
(
そうもく
)
に到るまでも、雨に
蘇生
(
よみがえ
)
りまする
前表
(
ぜんぴょう
)
かとも存じまする。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
取
(
と
)
りて
前
(
まへ
)
の
世
(
よ
)
では
何
(
なん
)
でありしやら
兄弟
(
きようだい
)
にもなき
親切
(
しんせつ
)
この
後
(
のち
)
とも
頼
(
たの
)
むぞや
是
(
これ
)
よりは
別
(
べつ
)
しての
事
(
こと
)
何
(
なに
)
ごとも
汝
(
そなた
)
の
異見
(
いけん
)
に
隨
(
した
)
がはん
最早
(
もう
)
今
(
いま
)
のやうな
事
(
こと
)
云
(
い
)
ふまじければ
免
(
ゆる
)
してよと
詫
(
わび
)
らるゝも
勿体
(
もつたい
)
なく
待
(
ま
)
てば
甘露
(
かんろ
)
と申ますぞやと
輕
(
か
)
るげに
云
(
い
)
へど
義理
(
ぎり
)
は
重
(
おも
)
し
袖
(
そで
)
に
晴
(
は
)
れ
間
(
ま
)
は
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
“甘露”の意味
《名詞》
甘露(かんろ)
古代中国で仁政を行えば天が降らすとされる甘い液体。
ヴェーダでゾーマの汁のこと。
美味しいこと。また、そのようなさま。
(出典:Wiktionary)
甘
常用漢字
中学
部首:⽢
5画
露
常用漢字
中学
部首:⾬
21画
“甘露”で始まる語句
甘露煮
甘露味
甘露梅
甘露寺
甘露木
甘露蜜
甘露寺明子