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狡猾
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ずる
ふりがな文庫
“
狡猾
(
ずる
)” の例文
してみると君が試験に
狡猾
(
ずる
)
をしたのは、親孝行のためにしたというのか、「そうでござります」という。こういうことは
間々
(
まま
)
ある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
だから、誰でも直ぐ
眩惑
(
げんわく
)
されて、敬愛するようになるが、よく観察すると、内面的には小心で、中々意地の悪い所があり、且つ
狡猾
(
ずる
)
い所がある。
血液型殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
「では、云い当てて見ましょうか」と
狡猾
(
ずる
)
そうに眼を細めて云ったが、しかし、何故か法水は、胸を高く波打たせていて
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
何と言ったらいいか、この手の
婦
(
おんな
)
特有な
狡猾
(
ずる
)
い顔付で、眼をきょろきょろさせている。
眼顔
(
めがお
)
で火鉢を指したり、そらしたり、兄の顔を盗み見たりする。
城のある町にて
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
見兼ねたと云う
容子
(
ようす
)
で、
花房
(
はなぶさ
)
と
藤沢
(
ふじさわ
)
とが、同時に
柔
(
やさ
)
しい声を出した。と、大井は
狡猾
(
ずる
)
そうな眼で、まっ青になった近藤の顔をじろじろ覗きこみながら
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
「そうお前のように、私にばかり言わせて……お前も
少許
(
ちったあ
)
言わなくちゃ
狡猾
(
ずる
)
いよ。あの方をお前はどう思うの」
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
六
号室
(
ごうしつ
)
の
第
(
だい
)
五
番目
(
ばんめ
)
は、
元来
(
もと
)
郵便局
(
ゆうびんきょく
)
とやらに
勤
(
つと
)
めた
男
(
おとこ
)
で、
気
(
き
)
の
善
(
い
)
いような、
少
(
すこ
)
し
狡猾
(
ずる
)
いような、
脊
(
せ
)
の
低
(
ひく
)
い、
瘠
(
や
)
せたブロンジンの、
利発
(
りこう
)
らしい
瞭然
(
はっきり
)
とした
愉快
(
ゆかい
)
な
眼付
(
めつき
)
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
誰も褒めて呉れないといつてべそをかいたり、友達に無意味な意地惡をして見たり、
狡猾
(
ずる
)
をしようとしてつかまつたり、みんな子供の言葉に飜譯できる事ばかりだ。
かめれおん日記
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
老按摩はそれをすなおに受取って懐にしまい、立ちぎわに、又もや
狡猾
(
ずる
)
そうな笑いを浮べて言った。
按摩
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
打明けずにさえおけば、いつでも兄とした約束を
真実
(
ほんとう
)
にすることができるというゆとりがある。
不埓
(
ふらち
)
でも、
狡猾
(
ずる
)
いのでもない、俺はただそのゆとりが欲しかったのだ。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
子供は幹太郎を見てぎょっとし、逃げ腰になりながら、
狡猾
(
ずる
)
そうな眼ですばやく彼を観察した。
花も刀も
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
唯
(
たゞ
)
、
狡猾
(
ずる
)
い
猿
(
さる
)
だけは、こうして
毎日
(
まいにち
)
何
(
なん
)
の
仕事
(
しごと
)
もなく、ごろごろと
惰
(
なま
)
けてゐても、それでお
腹
(
なか
)
も
空
(
す
)
かさないでゆかれるので、
暢氣
(
のんき
)
な
顏
(
かほ
)
をして、
人間
(
にんげん
)
の子どもらの
玩弄品
(
おもちや
)
になつて
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
使用人の芸者にも金の観念はなかったが、主人にも算盤を弾くことをいやがるのがあり、春よしのお神の、勘定をきちきちしないのも、あながち
狡猾
(
ずる
)
いとばかりも言えなかった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
人にしても、
辞令
(
じれい
)
に
巧
(
たくみ
)
な
智識
(
ちしき
)
階級の
狡猾
(
ずる
)
さはとりませんが、
小供
(
こども
)
や、
無智
(
むち
)
な者などに
露骨
(
ろこつ
)
なワイルドな
強欲
(
ごうよく
)
や
姦計
(
かんけい
)
を
見出
(
みいだ
)
す時、それこそ氏の、漫画的興味は
活躍
(
かつやく
)
する様に見えます。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そうして一方では
狡猾
(
ずる
)
い私を
怒
(
いか
)
ると共に、一方では二十五銭で売った先方を怒った。どうしてこの二つの怒りを同時に
和
(
やわ
)
らげたものだろう。私は
苦
(
にが
)
い顔をしてしばらく黙っていた。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
娘の癖に
狡猾
(
ずる
)
い事を考え、来る時の足の遅さとは反対に、飛ぶ様に家に帰って来た。
黄金の腕環:流星奇談
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
短かくなった葉巻を灰落しの
達磨
(
だるま
)
の口へ突込んで、背中を丸めて、
卓子
(
テーブル
)
に頬杖を突いたが、その時にジロリと私を見た
狡猾
(
ずる
)
そうな眼付と、鼻の横に浮かんだ小さな冷笑と、一文字に結んだ唇の奥に
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
狡猾
(
ずる
)
い奴ぢや。こんなものは、貰うてやるに限る。
石川五右衛門の生立
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「おやおや、こいつ
狡猾
(
ずる
)
い奴だ」
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
僕はたびたび耳にすることであるが、学校で試験のとき、
狡猾
(
ずる
)
をやる学生がある。それを呼び出して聞くと、なかなか相当の理屈がある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
北川は四十男の
狡猾
(
ずる
)
さで彼女に対した。彼は
剽軽
(
ひょうきん
)
な態度で他の社員には無関心に彼女とふざけ、悪口を取り交わした。内心では代償なしならいつでも喜んで彼女を抱擁するのだった。
五階の窓:04 合作の四
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
勝野君はまた勝野君で、どうも
彼組
(
あのくみ
)
の生徒は
狡猾
(
ずる
)
くて
不可
(
いかん
)
、斯ういふことが度々重ると学校の威信に
関
(
かゝは
)
る、生徒として規則を守らないやうなものは休校させろ——まあ斯う言ふのさ。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「あの岡本って
奴
(
やつ
)
、そりゃ
狡猾
(
ずる
)
いんだよ。靴を三足も買ってもらってるんだもの」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
大井
(
おおい
)
は
狼狽
(
ろうばい
)
したと云うよりも、むしろ決断に迷ったような眼つきをして、
狡猾
(
ずる
)
そうにちらりと
俊助
(
しゅんすけ
)
の顔を
窺
(
うかが
)
った。が、その眼が俊助の冷やかな視線に
刎返
(
はねかえ
)
されると、彼は急に悪びれない態度で
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
のみならず、伸子の云うがごとくに、はたして右の方へ倒れたとすれば、当然廻転椅子に現われた疑問が、さらに深められるものと云わねばならない。熊城は、
狡猾
(
ずる
)
そうに眼を細めながら訊ねた。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
六
號室
(
がうしつ
)
の
第
(
だい
)
五
番目
(
ばんめ
)
は、
元來
(
もと
)
郵便局
(
いうびんきよく
)
とやらに
勤
(
つと
)
めた
男
(
をとこ
)
で、
氣
(
き
)
の
善
(
い
)
いやうな、
少
(
すこ
)
し
狡猾
(
ずる
)
いやうな、
脊
(
せ
)
の
低
(
ひく
)
い、
瘠
(
や
)
せたブロンヂンの、
利發
(
りかう
)
らしい
瞭然
(
はつきり
)
とした
愉快
(
ゆくわい
)
な
眼付
(
めつき
)
、
些
(
ちよつ
)
と
見
(
み
)
ると
恰
(
まる
)
で
正氣
(
しやうき
)
のやうである。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「
此奴
(
こやつ
)
、
狡猾
(
ずる
)
い奴だ」と、
兵站
(
へいたん
)
係の
衣水
(
いすい
)
子、眼玉を剥き出し
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
と、彼は
狡猾
(
ずる
)
そうな笑いを浮べて言った。
按摩
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
「みんな
狡猾
(
ずる
)
いなあ」と云つて笑つてゐる。尤も当人も
一寸
(
ちよいと
)
太陽を
開
(
あ
)
けて見た。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
先
(
もと
)
の
郵便局員
(
いうびんきよくゐん
)
は、さも
狡猾
(
ずる
)
さうに
眼
(
め
)
を
細
(
ほそ
)
めて
云
(
い
)
ふ。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
浅田は
狡猾
(
ずる
)
そうな表情を浮べながら
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
先
(
もと
)
の
郵便局員
(
ゆうびんきょくいん
)
は、さも
狡猾
(
ずる
)
そうに
眼
(
め
)
を
細
(
ほそ
)
めて
云
(
い
)
う。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「
狡猾
(
ずる
)
いわ」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
狡
漢検1級
部首:⽝
9画
猾
漢検1級
部首:⽝
13画
“狡猾”で始まる語句
狡猾者
狡猾婆
狡猾性
狡猾相
狡猾世界
狡猾怜悧
狡猾無比