状袋じやうぶくろ)” の例文
おもはず……をとこ驚駭おどろきみはつた。……とおびはさんで、胸先むなさきちゝをおさへた美女たをやめしべかとえる……下〆したじめのほのめくなかに、状袋じやうぶくろはしえた、手紙てがみが一つう
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まいつゞきにしたつて封書ふうしよおなことで三せんだ。たまに三まいつゞきにすることもあるが、状袋じやうぶくろれたり、切手きつてつたりする面倒めんだうがないだけでも、一せんりん値打ねうちはあるからな。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
役所やくしよからかへつて、筒袖つゝそで仕事着しごとぎを、窮屈きゆうくつさうにへて、火鉢ひばちまへすわるやいなや、抽出ひきだしから一すんほどわざとあましてんであつた状袋じやうぶくろいたので、御米およねんで番茶ばんちや一口ひとくちんだまゝ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
内部なかから掛金かきがねをかけてひらいて見ると、大阪の知り合ひが、「御馳走さま」と東京語に大きく書いた包み紙の中から、いつもの西洋風の状袋じやうぶくろに、ペンで素直に「お光さま」と書いてあるのも床しかつた。
兵隊の宿 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
しな受取うけとつて、あを状袋じやうぶくろ上書うはがきをじつとながら、片手かたてれて前垂まへだれのさきをつまむでげつゝ、素足すあし穿いた黒緒くろを下駄げたそろへてつてたが、一寸ちよつとかへして、うらむと、かほいろうごいて
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
一寸ちよつとその状袋じやうぶくろを」とをつとほうした。宗助そうすけ自分じぶん火鉢ひばちあひだはさまつてゐるあを封筒ふうとうつて細君さいくんわたした。御米およねはそれをふつといて、なかふくらまして手紙てがみをさめた。さうして臺所だいどころつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)