もぐ)” の例文
新字:
「俵屋にしても、これだけの小判が天井裏に隱してあるのは容易ぢやない、もう一度天井裏にもぐつて搜して見ろ、俺は主人に逢つて訊いて見る」
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
で、はて亭主ていしゆが、のみけるためののみつて、棕櫚しゆろ全身ぜんしんまとつて、素裸すつぱだかで、寢室しんしつえんしたもぐもぐり、一夏ひとなつのうちに狂死くるひじにをした。——
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
人をおこりつけるやうな事は絶えてしなかつたが、彼れは何處にも他人をもぐりこませるやうなすきを持つてゐなかつた。
実験室 (旧字旧仮名) / 有島武郎(著)
文吾はぞつと身慄ひをして、母の寢息の籠つた紙帳しちやうの中へもぐり込んだ。寺で蚊に食はれた痕が、急にかゆくなつて來た。
石川五右衛門の生立 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
かれへやすみたゝんであつた薄汚うすぎたない蒲團ふとんいて、其中そのなかもぐんだ。すると先刻さつきからのつかれで、なにかんがへるひまもないうちに、ふかねむりにちて仕舞しまつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
大切と思ふ志しは知られたり然らばねまらんと蒲團にもぐり今日道々の景色に
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
おやすまして、石のしたもぐつてく。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
こそりこそりともぐりこむ。
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
そのあひだ宗助そうすけ懷手ふところでをしてそばつてゐた。さうしてとこけるやいなや、そこ/\に着物きものてゝ、すぐ其中そのなかもぐんだ。御米およね枕元まくらもとはななかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
……うか、とうもかへつておそろしくさむかつたので、いきなりちや六疊ろくでふはひつて、祖母そぼ行火あんくわすそはひつて、しりまでもぐると、祖母おばあさんが、むく/\ときて
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「裏の四疊半——これは私の部屋だ。其處へもぐつて、早寢をして居りましたよ」
御米およねびにたうとするのを、ようはないからいとめたまゝ宗助そうすけ炬燵蒲團こたつぶとんなかもぐんで、すぐよこになつた。一方口いつぱうぐちがけひかえてゐる座敷ざしきには、もう暮方くれがたいろきざしてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「まだ、七つ殘つてゐる筈です、私も天井裏へもぐつて見ませう」
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
つた、おさんは、あとじさりに蚊帳かやもぐつた。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
成程なるほどねずみでもなかもぐつてるのでせう。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
やがて、六七ちやうもぐつてました。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
御免々々ごめん/\。」とまたもぐる。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)