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本分
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ほんぶん
「
貴樣達はあの
時の
中根の
行爲を
笑つたかも
知れん。
然し、
中根は
正しく
軍人の、
歩兵の
本分を
守つたものだ。
豪い、
豪い‥‥」
「すでに
伊那丸君がごさいごとわかった
以上は、いさぎよくお
供をして、
臣下の
本分をまっとういたしとうござります」
と、
此噂は
早くも
軍艦「
日の
出」の
全體に
傳つたが、
誰れも
其本分を
忘れて「どれ、どんな
男だ」などゝ、
我等の
側に
飛んで
來る
樣な
不規律な
事は
少しも
無く。
編者未だ
識別すること
能ざれど
設果して
信ならしめば
吉宗ぬしが
賢明なるは
言計りもなく
僞を
僞として其の
惡を
訐き
奸を
鋤賊を
滅するは之奉行職の
本分なれば
僞者の天一坊を
さればとて
香爐峯の
雪に
簾をまくの
才女めきたる
行ひはいさゝかも
無く
深窓の
春深くこもりて
針仕事に
女性の
本分を
盡す
心懸け
誠に
殊勝なりき、
家に
居て
孝順なるは
出て
必らず
貞節なりとか
榎本氏が主戦論をとりて
脱走し、
遂に力
尽きて
降りたるまでは、
幕臣の
本分に
背かず、忠勇の功名
美なりといえども、
降参放免の
後に更に青雲の志を発して新政府の
朝に
富貴を求め得たるは
つくせや
男児の
本分を、
赤心を