きよく)” の例文
さびしきまゝにこと取出とりいだひとこのみのきよくかなでるに、れと調てうあはれにりて、いかにするともくにえず、なみだふりこぼしておしやりぬ。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
如何いかに遊びの身とは申せ、千里の山河もいとはいで、この沙漠までまかり下つたを、さりとはきよくもない御方かな。」と申した。
きりしとほろ上人伝 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
二人共に何れ劣らぬ優美の姿、適怨清和、きよくに隨つて一絲も亂れぬ歩武の節、首尾能く青海波せいがいはをぞ舞ひ納めける。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
かの長生殿裡ちやうせいでんり日月じつげつのおそきところ、ともに𢌞風くわいふうきよくしやうするにあたりてや、庭前ていぜんさつかぜおこり、はなひら/\とひるがへること、あたか霏々ひゝとしてゆきるがごとくなりしとぞ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
きよくの無い話だと思うが、事實だから仕方が無い。私は「書齋の徒」だ。
肌の匂い (旧字新仮名) / 三好十郎(著)
禿頭はげあたま佛蘭西フランス老紳士らうしんし昔日むかし腕前うでまへせてれんとバイオリンをつてくかかぬにうたきよくをハツタとわすれて、あたまで/\罷退まかりさがるなど隨分ずゐぶん滑※的こつけいてきこともあるが、大概たいがいうでおぼえの歐米人をうべいじんこととて
売りし琴にむつびのきよくをのせしひびき逢魔あふまがどきの黒百合折れぬ
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
などいたむ、あな薄暮くれがたきよくの色、——光の沈黙しじま
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
薄暮くれがたきよく シャルル・ボドレエル
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
いづれも得意とくいきよく調しらべてはたがひ天狗てんぐはなたかめてる。
なまめけるわがをみなきぬ夏の日のきよく
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
薄暮くれがたきよく
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
あはれ、いまあらびゆく接吻くちつけよ、ししむらきよく。……
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
シヤラ/\と琵琶びはきよくこゑ張上はりあげて
くるほしきせいきよく……ゆめ合奏がつさう……
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
調しらべいでぬる管絃楽オオケストラせいきよく——
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)