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暇乞
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いとまごい
ふりがな文庫
“
暇乞
(
いとまごい
)” の例文
二十年の学校生活に
暇乞
(
いとまごい
)
をしてから以来、何かの機会に『老子』というものも一遍は
覗
(
のぞ
)
いてみたいと思い立ったことは何度もあった。
変った話
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
逡巡
(
しゅんじゅん
)
していたが、けさ末造が千葉へ立つと云って
暇乞
(
いとまごい
)
に来てから、
追手
(
おいて
)
を帆に
孕
(
はら
)
ませた舟のように、志す岸に向って走る気になった。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
暫くして三人は
暇乞
(
いとまごい
)
して帰りかけたので余は病床に寐て居ながら何となく気がいらつて来て、どうとも仕方のないやうになつたので
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
成程こいつはもっともだ、と思ったから、しかもお宅が焼けた晩でさ、そら、もうしばらく参りませんッて、お
暇乞
(
いとまごい
)
に行ったでしょう。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「何十年の間大事にしてきた、三十六の瓢箪を、自分と一緒にこの世から
暇乞
(
いとまごい
)
をさせたかったのさ。酒好きの考えそうな事だよ」
銭形平次捕物控:085 瓢箪供養
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
其の
容体
(
ようだい
)
が
頗
(
すこぶ
)
る
大柄
(
おおへい
)
ですから、長二は
此様
(
こん
)
な人に話でもしかけられては面倒だ、此の間に帰ろうと思いまして
暇乞
(
いとまごい
)
を致しますと
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お母様のお部屋では
取止
(
とりと
)
めもないことを
語合
(
かたりあ
)
って、つい笑い声も立てました。
暇乞
(
いとまごい
)
をすると、用がないからと、いつも送って下さいます。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
愈
(
いよい
)
よ
今夕
(
こんせき
)
、侯の
御出立
(
ごしゅったつ
)
と
定
(
き
)
まり、私共はその原書を
撫
(
なで
)
くり
廻
(
まわ
)
し誠に親に
暇乞
(
いとまごい
)
をするように
別
(
わかれ
)
を
惜
(
おし
)
んで
還
(
かえ
)
したことがございました。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
暇乞
(
いとまごい
)
もいたさせたいのですが——何をいっても昨日今日台湾に着いたばかり、それがほかと違って軍艦に乗っているのでございますから——
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
気を替へしほしほして「おつかさん、私が今晩参りましたのは、御無心では御座りませぬ、お
暇乞
(
いとまごい
)
に参りました」といふ。
いがみの権太:(明治二十九年一月、明治座)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
やはり艇長の役を引うけた蜂谷学士はミドリ嬢と窓に顔をならべて、
荒涼
(
こうりょう
)
たる山岳地帯のうちつづく月世界に
暇乞
(
いとまごい
)
をした。
月世界探険記
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「畜生!喧しい、も少し静かにしろ。ところでボートルレ君にもお
暇乞
(
いとまごい
)
をしよう。君はなかなか偉い、とうとうここまで発見したんだからね……」
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
最後に
暇乞
(
いとまごい
)
をしようとした時、名所記類を一山授けた。ポルジイは頭痛に病みながら、これを調べたのであった。
世界漫遊
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ユリウス・ダビット
(著)
その相談は
速
(
すぐ
)
に成立って、清吉は六月の某日青葉の薫る頃に故郷に
暇乞
(
いとまごい
)
をして、一人の四十格好の男に
伴
(
つ
)
れられて、西東も知らない都の空へ旅立をした。
蝋人形
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
十二日には、主人の出社を待って、
暇乞
(
いとまごい
)
して店を出で、麻布の伯父の家を
訪
(
と
)
うて二階に上り、一時間半程
眠
(
ねむ
)
った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
今に君に見せて
遣
(
や
)
る。僕はこう見えても、笑いを含んでこの世に
暇乞
(
いとまごい
)
をして見せるよ。おい、ミイツ。泣くな。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
夫としていた男に
別
(
わかれ
)
を告げる手紙も無く、子供等に
暇乞
(
いとまごい
)
をする手紙も無かった。唯一度檻房へ来た事のある牧師に当てて、書き掛けた短い手紙が一通あった。
女の決闘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
夫としていた男に別を告げる手紙もなく、子供等に
暇乞
(
いとまごい
)
をする手紙もなかった。ただ一度檻房へ来た事のある牧師に当てて、書き掛けた短い手紙が一通あった。
女の決闘
(新字新仮名)
/
ヘルベルト・オイレンベルク
(著)
あの荒れの真最中に御夫婦連れの方がお見えになって「小田切の親類の者だが、今日
故郷
(
くに
)
へ帰るについて
暇乞
(
いとまごい
)
かたがた参詣に来た、是非納骨堂に案内して欲しい」
情鬼
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
そのなじみのある昔の奉公人のしみじみと主人に
暇乞
(
いとまごい
)
をして出て行くのを見ていると、まだ凡ての情の十分に発達していない稚いものでもさすがにあわれを覚える
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
お雪は別れの茶を
汲
(
く
)
んで来た。豊世は直樹の家へも
暇乞
(
いとまごい
)
に寄ったことを話した。種々な人の噂が出た。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
レリヤは皆と別荘を離れて停車場にいって、初めてクサカに
暇乞
(
いとまごい
)
をしなかったことを思い出した。
犬
(新字新仮名)
/
レオニード・ニコラーエヴィチ・アンドレーエフ
(著)
「
情合
(
じょうあい
)
のない事
夥
(
おびた
)
だしいものだ。そんなら立つ前にもう一遍こっちから
暇乞
(
いとまごい
)
に行くよ、いいかい」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
予は
凱旋
(
がいせん
)
の将の如く
得々
(
とくとく
)
として伯父より譲られたる銀側の時計をかけ革提を持ち、「皆様御健勝で」と言うまでは勇気ありしが、この
暇乞
(
いとまごい
)
の語を出し終りたる後は胸一杯
良夜
(新字新仮名)
/
饗庭篁村
(著)
お
暇乞
(
いとまごい
)
に参上いたしますと、ただでさえいつも神々しいような御所でしたが、その折は又
円融院
(
えんゆういん
)
の御世からお仕えしているとか云う、いかにも神さびた老女が居合わせて
姨捨
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
その
暇乞
(
いとまごい
)
かたがた根岸の親類をたずねた帰りみち悪車夫に誘拐されて上野の山の寂しいところへ連れこまれたところを、蝮の次郎吉がゆくりなくそこを通りかかって助ける。
上野界隈
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
法然の前に合掌礼拝して
罷
(
まか
)
りかえったが、その翌日法蓮房信空の処へ行って
暇乞
(
いとまごい
)
をした時、昨日上人から教えられたことを述べて、お蔭様でこんどの往生は少しも疑いがないといって
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
(画家
呆
(
あき
)
れて相手の顔を見おり、さてついに
己
(
おの
)
れも笑い
出
(
いだ
)
す。令嬢また笑う。)それ御覧なさいましな。(間。)まあ、お互にこういたして笑っていられます間に、お
暇乞
(
いとまごい
)
をいたしましょう。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
拙者
(
わし
)
は
此度
(
このたび
)
九国への遍歴を思い立ち、
素
(
もと
)
より絵かきの気楽な境涯も
早
(
はや
)
親兄への
暇乞
(
いとまごい
)
も済まし、其方と今宵語り明して、明朝直ちに
発足
(
ほっそく
)
なそうと、御覧ぜられえ、此の通り旅の姿をいたして居る。
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「イヤ
私
(
わし
)
も
最早
(
もう
)
今度はお
暇乞
(
いとまごい
)
じゃろう」
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
純一は著作の邪魔なぞをしてはならないと思ったので、そこそこに
暇乞
(
いとまごい
)
をして、富坂上の下宿屋を出た。そして帰り道に考えた。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
瀧「あの誠になにだがお
暇乞
(
いとまごい
)
をしなければ成りませんけれども、少し用が有ると云って早アく帰りました、又四五日内に来ると云いましたよ」
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
今晩も実は
一言
(
ひとこと
)
申上げて、お
暇乞
(
いとまごい
)
をしましょうと、その事で上りましたが、いつに変らず愛吉々々とおっしゃるので、つい言い出しかねておりました。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
親に
暇乞
(
いとまごい
)
もし、いろいろ仕度も整えたいから——という口実で、お菊は
漸
(
ようや
)
く
一
(
ひ
)
と晩だけ許されて帰りました。
奇談クラブ〔戦後版〕:10 暴君の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかしそれは形式上のことだそうで、十六日に今度は
千駄木
(
せんだぎ
)
の宅の方へ
暇乞
(
いとまごい
)
に寄りましたら、もう出立したとのことでした。誰にも時間は知らせないのでしょう。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
「ホホホホそうですか。あれは
私
(
わたく
)
しの
従弟
(
いとこ
)
ですが、今度戦地へ行くので、
暇乞
(
いとまごい
)
に来たのです」
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私は日本を出るとき閣老にお
暇乞
(
いとまごい
)
をして出て来た者である、早く云えば御老中から
云付
(
いいつ
)
けられて来たのだ。お前さんが帰れと云ても私は帰らないとリキンダのは、私の方が無法であろう。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
八重桜も散り方になり、武蔵野の雑木林が
薄緑
(
うすみどり
)
に煙る頃、葛城は渡米の
暇乞
(
いとまごい
)
に来た。一夜泊って明くる日、村はずれで別れたが、中数日を置いて更に葛城を見送る可く彼は横浜に往った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
夜が
更
(
ふ
)
けて熱がさめたので
暇乞
(
いとまごい
)
して帰途に就いた。空には星が輝いて居る。
車上の春光
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
ある日ドリスが
失踪
(
しっそう
)
した。
暇乞
(
いとまごい
)
もせずに、こっそりいなくなった。焼餅喧嘩に
懲
(
こ
)
りたのである。ポルジイは独り残って、二つの学科を修行した。
溜息
(
ためいき
)
の音楽を奏して、日を数える算術をしたのである。
世界漫遊
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ユリウス・ダビット
(著)
ただお
暇乞
(
いとまごい
)
を致そうと存じまして。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
「実は君には逢わずに国へ立ってしまおうと思ったのだ。ところが、
親父
(
おやじ
)
に
暇乞
(
いとまごい
)
に来て聞けば、君がいるというので、つい逢いたくなって遣って来た」
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
というと、お隅も母も残念がって歎きますけれども
致方
(
いたしかた
)
がない。
翌月
(
よくげつ
)
の十月の声を聞くと、花車は江戸へ参らなければならぬから、花車重吉が
暇乞
(
いとまごい
)
に来て
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
(
私
(
わし
)
はちっと思い立つことがあって
行脚
(
あんぎゃ
)
に出ます。しばらく逢わぬでお
暇乞
(
いとまごい
)
じゃ。そして言っておくが、皆の衆決して
私
(
わし
)
が留守へ行って、戸をあけることはなりませぬぞ。)
清心庵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
三千代を連れて国へ帰る時は、娘とともに二人の下宿を別々に訪ねて、
暇乞
(
いとまごい
)
旁
(
かたがた
)
礼を述べた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
天岸医学士長州へ赴任のため
暇乞
(
いとまごい
)
に来る。ついでに余の脈を見る。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
ソレガ怖いから
唯
(
ただ
)
母の病気とばかり云て
暇乞
(
いとまごい
)
をしました。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「お
暇乞
(
いとまごい
)
にまいりました」といいます。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
切角
(
せっかく
)
道純を
識
(
し
)
っていた人に会ったのに、子孫のいるかいないかもわからず、墓所を問うたつきをも得ぬのを遺憾に思って、わたくしは
暇乞
(
いとまごい
)
をしようとした。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
と長二は斯様な人と応対をするのが嫌いでございますから、話の途切れたのを
機
(
しお
)
に
暇乞
(
いとまごい
)
をして帰りました。
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
暇
常用漢字
中学
部首:⽇
13画
乞
常用漢字
中学
部首:⼄
3画
“暇”で始まる語句
暇
暇潰
暇取
暇々
暇人
暇出
暇日
暇状
暇請
暇具合