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へた
ふりがな文庫
“
拙
(
へた
)” の例文
紫玉は我知らず
衣紋
(
えもん
)
が
締
(
しま
)
った。……
称
(
とな
)
えかたは
相応
(
そぐ
)
わぬにもせよ、
拙
(
へた
)
な山水画の
裡
(
なか
)
の隠者めいた老人までが、確か自分を知っている。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
イヤ、思はず識らずウツケ千萬な、ヌカリ切つて
拙
(
へた
)
た石を下しさうな事では有るまいか。數學の問題が解決出來ぬどころでは無い。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
しかし
近頃
(
ちかごろ
)
ではもうそんな
拙
(
へた
)
な
真似
(
まね
)
はいたしません。
天狗
(
てんぐ
)
がどんな
立派
(
りっぱ
)
な
姿
(
すがた
)
に
化
(
ば
)
けていても、すぐその
正体
(
しょうたい
)
を
看破
(
かんぱ
)
して
了
(
しま
)
います。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
油断をすると
此方
(
こっち
)
の方が
危
(
あぶな
)
いぞ、馬鹿な
奴
(
やつ
)
だあれを知らぬかなどゝ、
宜
(
い
)
い加減に
饒舌
(
しゃべ
)
れば、書生の
素人
(
しろうと
)
の
拙
(
へた
)
囲碁
(
ご
)
で、
助言
(
じょげん
)
は
固
(
もと
)
より勝手次第で
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
ジプシイの女は
紙片
(
かみきれ
)
を取り出して、
拙
(
へた
)
な文字でその年の一八四九年へその数字をそれ/″\書き加へた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
またもとの
俗骨
(
ぞくこつ
)
にかへり、
我
(
われ
)
も詩を作る
事
(
こと
)
を知りたるならば、
拙
(
へた
)
ながらも
和韻
(
わゐん
)
と出かけて、先生を
驚
(
おどろ
)
かしたらんものをと
負
(
まけ
)
じ
魂
(
だましひ
)
、人
羨
(
うらや
)
み、
出来
(
でき
)
ぬ
事
(
こと
)
をコヂつけたがる
持前
(
もちまへ
)
の
道楽
(
だうらく
)
発
(
おこ
)
りて
隅田の春
(新字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
その内状を
発
(
あば
)
きにかかるべく、いかなる手段を取ろうかと考えたが、これは
拙
(
へた
)
なことをするよりは、いきなり南条にぶっつかって、その
度胆
(
どぎも
)
を抜いてやるのが面白かろうと、結局、こうして今日
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
足許の地面から拾い上げた巻紙の
片
(
きれ
)
に、
拙
(
へた
)
な薄墨の字が野路の
村雨
(
むらさめ
)
のように横に走っているのを、こう
低声
(
こごえ
)
に読み終った八丁堀藤吉部屋の岡っ引
葬式
(
とむらい
)
彦兵衛は、鶏のようにちょっと小首を傾げた後
釘抜藤吉捕物覚書:06 巷説蒲鉾供養
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
もっとも今の羽左衛門が
家橘
(
かきつ
)
といった頃は
拙
(
へた
)
さ加※はお話になったものでなく、私は到底今のようになろうとは思わなかった、私が明治三十五年頃、歌舞伎座へ『
柿木金助
(
かきのききんすけ
)
』という新作物を書いた
当今の劇壇をこのままに
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「ところが、僕は女を口説くが
拙
(
へた
)
なのだ」
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
紫玉は
我知
(
われし
)
らず
衣紋
(
えもん
)
が
締
(
しま
)
つた。……
称
(
とな
)
へかたは
相応
(
そぐ
)
はぬにもせよ、
拙
(
へた
)
な山水画の
裡
(
なか
)
の隠者めいた老人までが、確か自分を知つて居る。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
他
(
た
)
にも
気
(
き
)
づいた
点
(
てん
)
がまだないではありませぬが、
拙
(
へた
)
な
言葉
(
ことば
)
でとても
言
(
い
)
い
尽
(
つく
)
せぬように
思
(
おも
)
われますので、
母
(
はは
)
の
臨終
(
りんじゅう
)
の
物語
(
ものがたり
)
は、
一
(
ひ
)
と
先
(
ま
)
ずこれ
位
(
くらい
)
にして
置
(
お
)
きましょう。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
音楽は耳を慰める外に、
拙
(
へた
)
ながら自分でも演奏者となる事が出来るからである。最後は文学だが、
富豪
(
かねもち
)
でゐてほんとうに文学を愛するといふ者は滅多に見た事がない。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
拙
(
へた
)
な細工で世に出ぬは恥もかえって少ないが、遺したものを弟子めらに笑わる日には馬鹿
親父
(
おやじ
)
が息子に異見さるると同じく、親に異見を食う子より何段増して恥かしかろ
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
拙
(
へた
)
なことをやってくれると、おたがいの為めにならねえんだからね
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
いいえ、いきものをね、分って?……取るのは、うまれつき
拙
(
へた
)
なんですって。ですから松露を捜す気もなかった処へ、火事だって騒ぎでしょう。煙が見えたわ。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
二人が
舎利
(
しやり
)
も
魂魄
(
たましひ
)
も粉灰にされて消し飛ばさるゝは、
拙
(
へた
)
な細工で世に出ぬは恥も却つて少ないが、遺したものを弟子め等に笑はる日には馬鹿親父が息子に異見さるゝと同じく
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
私
(
わたくし
)
は
自分
(
じぶん
)
ながら
拙
(
へた
)
なことを
訊
(
き
)
いたとすぐ
後悔
(
こうかい
)
しましたが、しかしこれで
妖精
(
ようせい
)
とすらすら
談話
(
はなし
)
のできることが
判
(
わか
)
って、
嬉
(
うれ
)
しくてなりませんでした。
私
(
わたくし
)
はつづいて、いろいろ
話
(
はな
)
しかけました。——
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「お酌は
拙
(
へた
)
ですよ。旦那が気が利かないから、
下戸
(
げこ
)
の処へ、おまけにただ
匁
(
もんめ
)
の
妓
(
こ
)
なんですから。」
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
きっと
命中
(
あた
)
る! 私も世界を廻るうちに、魔の睫毛一毫の秒に、
拙
(
へた
)
な
基督
(
キリスト
)
の像の目を三度射た、(ほほほ、)と笑って、(腹切、浅野、
内蔵之助
(
くらのすけ
)
——
仇討
(
かたきうち
)
は……おお
可厭
(
いや
)
だけれど、 ...
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“拙”の意味
《名詞・形容動詞》
(セツ)得意でない事、苦手。
《代名詞》
(セツ・セチ:古風、しばしば滑稽。明治期以降は職人・芸人・幇間の自称や遊里における用語)自称に用いる。
(出典:Wiktionary)
拙
常用漢字
中学
部首:⼿
8画
“拙”を含む語句
拙者
拙劣
拙僧
気拙
巧拙
下拙
拙者方
拙作
拙宅
古拙
拙老
稚拙
迂拙
拙堂
拙陋
穉拙
拙夫
稚拙味
拙筆
氣拙
...