感服かんぷく)” の例文
そしてまず大広間へお通りになって、金の銀とのかべと、宝石をかざりつけたまどとをごらんになって、大へんご感服かんぷくなさいました。そして
かねて聞いてはいましたが、そなたのびわには、こころから感服かんぷくしました。ご主君しゅくんも、ことのほかおよろこびになりました。
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
「なるほど。さすがは首領だよ。えらい眼力がんりきだよ。感服かんぷくしたよ。たしかにわたしはメダルの両面を撮影してきたよ」
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
が、わたくしとしては天狗てんぐさんの力量りきりょうおどろくよりも、しろそのくまで天真爛漫てんしんらんまん無邪気むじゃきさに感服かんぷくしてしまいました。
權勢家けんせいかなにがしといふが居てこの靈妙れいめうつたき、一けんもとめた、雲飛うんぴ大得意だいとくいでこれをとほして石を見せると、なにがしも大に感服かんぷくしてながめて居たがきふぼくめいじて石をかつがせ
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
そうして人格というものはどうかというと、余り感服かんぷく出来ない人が沢山ありましょう。それが紳士だと思ってはいけません。けれどもそういう者が紳士として通用している。
模倣と独立 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その小説の描写が、しからぬくらいに直截ちょくせつである場合、人は感服かんぷくと共に、一種不快な疑惑を抱くものであります。うま過ぎる。淫する。神を冒す。いろいろの言葉があります。
女の決闘 (新字新仮名) / 太宰治(著)
わたくしこれにはすこぶ閉口へいこうしたが、どつこひてよ、と踏止ふみとゞまつて命掛いのちがけに揉合もみあこと半時はんときばかり、やうやくこと片膝かたひざかしてやつたので、この評判へうばんたちま船中せんちゆうひろまつて、感服かんぷくする老人らうじんもある
開会中ルート氏が座長ざちょうとなって人波ひとなみなだめた手腕はすさまじいもので、当時の記事を読んで僕がつくづく感服かんぷくしたのは、かねがね聞いているアングロサクソン人種の秩序ちつじょ的なる一点である。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
きみはあれから奥州あうしう塩竈しほがままでつたか、相変あひかはらず心にけられて書面しよめんおくられて誠にかたじけない、丁度ちやうど宴会えんくわいをりきみ書状しよじやうとゞいたから、ひらおそしと開封かいふうして読上よみあげた所が、みんな感服かんぷくをしたよ
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
そして最後さいごにつくづく感服かんぷくしたらしくつけくはへました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
我輩わがはい感服かんぷくすることあたわざるところのものなり。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「なるほどな。」と、いと感服かんぷくしました。
風船球の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
私が最大級の讃辞さんじを博士にささげていると、ロッセ氏は、そうかそうかと、ペルシャねこのようにんだひとみをくるくるうごかして、しきりに感服かんぷく面持おももちだった。
成程なるほどそんなものかもれないな」と小六ころくすこ感服かんぷくしたやうだつたが、やがて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
なんとならば月給とかその他の物質的形而下けいじか事柄ことがらについては不足をあまんずるのがむしろ理想ある人のすることである。ゆえに俸給ほうきゅうが上がって喜ぶはよいが、それだけのために喜ぶのは感服かんぷくできぬ。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
こゝろひそかに感服かんぷくするのである。