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惹起
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じゃっき
ふりがな文庫
“
惹起
(
じゃっき
)” の例文
西半日本の神経系統と循環系統に相当ひどい故障が起こって有機体としての一国の生活機能に著しい
麻痺症状
(
まひしょうじょう
)
を
惹起
(
じゃっき
)
する恐れがある。
天災と国防
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
お艶はかゝる事件を
惹起
(
じゃっき
)
し、それを
凌
(
しの
)
いで掌裡に収めるまでには何度でも毎回新なる情熱を湧かし、一本気でいのちがけの行動をした。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
よしそうした劣情が、実際的に
惹起
(
じゃっき
)
されるまでに至らなくとも、兎に角人々の道徳的均衡が覆されて居るのは、
甚
(
はなは
)
だ危険である。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
実際そこに
惹起
(
じゃっき
)
された運動といい、音響といい、ある悪魔的な痛快さを持っていた。破壊ということに対して人間の抱いている奇怪な興味。
卑怯者
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
この種の痛ましい風説は、たいてい内乱に伴うものであって、後にトランスノナン街の惨劇を
惹起
(
じゃっき
)
さしたのは、かかる誤報のゆえであった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
▼ もっと見る
彼らがその芸術や思想にたいして疑惑的な敵意を
惹起
(
じゃっき
)
させられる苦悩の時代の、もっとも重立った代表者の一人で彼はあった。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
若し露子に呑ませて殺し得ないにしても、恐らく致命的な現象を
惹起
(
じゃっき
)
するに違いない。そして呑ませる方法は至極簡単です。
悪魔の弟子
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
人間というものは甘みとか、苦しみとか臭さ、そういう性情が生活に適応して、そこに
味
(
あじわ
)
いとか臭とか、或いは他の感覚が
惹起
(
じゃっき
)
するものなのです。
孟買挿話
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
漠々たる黄土の大陸と十六の少女のように可憐な大和の山水と、その相違は何らか気分の転換を
惹起
(
じゃっき
)
しないであろうか。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
だがこの櫃を選ぶにつれて私に異常な注意を
惹起
(
じゃっき
)
せしめるものは、その背後に流れる時代の美である。社会相である。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
そしてフィルム作者が、見物の哄笑を
惹起
(
じゃっき
)
するために、考え出した場面が、屍体を中心として、実人生の間に皮肉に再現されているのに過ぎなかった。
死者を嗤う
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
就中
(
なかんずく
)
儂の、最も感情を
惹起
(
じゃっき
)
せしは、新聞、集会、言論の条例を設け、
天賦
(
てんぷ
)
の三大自由権を
剥奪
(
はくだつ
)
し、
剰
(
あまつさ
)
え
儂
(
のう
)
らの
生来
(
せいらい
)
かつて聞かざる諸税を課せし事なり。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
後段に至ってこの事件最後の悲劇を
惹起
(
じゃっき
)
しようなどとは、てんで思いも及ばなかったことだろうし、また、法水が押鐘津多子を犯人に擬したことにも
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
しかれども、予や元来、夢想に感じ、空想を
惹起
(
じゃっき
)
するがごとき情感なく、ことに夢境は某川
暴漲
(
ぼうちょう
)
せりと覚ゆれども、あたかも天晴朗、降雨の兆しもなし。
妖怪報告
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
単に男というときは、ただちに男らしいとかあるいは
剛毅
(
ごうき
)
とか、あるいは
大胆不敵
(
だいたんふてき
)
、あるいは
果断
(
かだん
)
勇猛
(
ゆうもう
)
、あるいは
任侠
(
にんきょう
)
というような一種の
印象
(
いんしょう
)
を
惹起
(
じゃっき
)
す。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
が、昨夜民弥の後をつけて、鵜の丸兵庫の住居へ行き、あんな事件を
惹起
(
じゃっき
)
させ、そうして彼らの秘密を知った。
猫の蚤とり武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
しかも、大坂の秀吉は、自己の思いどおりな形が、ここに描き出されたものとして、いつ家康の足もとから大規模な次の事態が、
惹起
(
じゃっき
)
されないものでもない。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
例えば某研究所から二百グラムという
夥
(
おびただ
)
しいラジウムが盗難に遭い目下重大問題を
惹起
(
じゃっき
)
していまして、本課は全力をあげて約四十日間
捜索
(
そうさく
)
を継続していますが
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
これからT君と妹との結婚の事で、万一むずかしい場合が
惹起
(
じゃっき
)
したところで、私は世間体などに構わぬ無法者だ、必ず二人の最後の力になってやれると思った。
東京八景:(苦難の或人に贈る)
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
その頃は既に
鹿鳴館
(
ろくめいかん
)
の欧化時代を過ぎていたが、欧化の余波は当時の新らしい女の運動を
惹起
(
じゃっき
)
した。
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
惹起
(
じゃっき
)
する任務は普通の学究にては出来にくかるべしと思へばこそ貴兄へ懇請仕候ひしかと存候小生は本月末か来月早々上京のつもりに候故その時
篤
(
とく
)
と御話申上ぐべく候
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
更にその意志を最も印象的に無産党の進出に於て表示したる後
僅
(
わず
)
かに数日にして起こった二・二六事件は、重要の地位にある数名の人物を襲撃し、遂に政変を
惹起
(
じゃっき
)
するに至った。
二・二六事件に就て
(新字新仮名)
/
河合栄治郎
(著)
その後彼は故郷の
伊太利
(
イタリー
)
においてとかくいろんな問題を
惹起
(
じゃっき
)
し、利かぬ気と強情が
禍
(
わざわい
)
して、イタリーに安住することが出来なくなり、アメリカにまたイギリスに赴いたりしていた。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
本能的動物は悪魔に
囚
(
とら
)
われるということはない。直観とは、我々の行為を
惹起
(
じゃっき
)
するもの、我々の魂の底までも
唆
(
そその
)
かすものである。然るに人は唯心像とか夢想の如くにしか考えていない。
絶対矛盾的自己同一
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
確かにネパール政府をして戒心せしめかつ大いに注意を
惹起
(
じゃっき
)
せしめたに相違ない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
その
聯絡毎
(
れんらくごと
)
に概して無理がともないがちで、あくまで真実らしくしようとすると、ここでも進行不能の渋滞を
惹起
(
じゃっき
)
しがちのものであり、その反対には不当な曲芸を犯してしまうことが多い。
文章の一形式
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
かの欧米人士の注意を
惹起
(
じゃっき
)
するに至りたるも、もとよりゆえなきにあらず。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
そして、この事が、ここに述べるところの、同盟
罷業
(
ひぎょう
)
を
惹起
(
じゃっき
)
した。ブルジョアの番頭対、プロレタリア! 船では、ブルジョアは決して
傭
(
やと
)
い
主
(
ぬし
)
としてのその姿を労働者の前へ現わさなかった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
古来教会と国家との関係は理論的にも実際上にも多くの困難な問題を
惹起
(
じゃっき
)
した。それは教会が性質上カイザルに帰すべき物質的財産を教会の所属として要求したること、に基づいたのである。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
しばしば国境監視隊員の間に発砲流血の惨事を
惹起
(
じゃっき
)
しつつ、
荏苒
(
じんぜん
)
今日に至ったものであったが、一九三四年突然コンゴー総督府側よりの強硬なる提議があって、葡領アンゴラ側またこれに応じ
令嬢エミーラの日記
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
決して他日
漫
(
みだり
)
に
反噬
(
はんぜい
)
するような事もなく、庄司署長は有終の美をなしたのであろうが、こゝに少しく用意を欠いた為に、後日非常な面倒を
惹起
(
じゃっき
)
し、極一部からではあるが、署長が立身の踏台として
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
うまうまと好調を保持してきたのに、
俄然
(
がぜん
)
食事中に至ってはしなくも本性暴露の危険濃厚となり、太宰調稀薄の結果を
惹起
(
じゃっき
)
するの始末となった。これではならぬ。またもや鬼の面を被らねばなるまい。
メフィスト
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
当時の予算案は議会の内外において騒然たる物論を
惹起
(
じゃっき
)
し
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
パリーの諸新聞に
辛辣
(
しんらつ
)
な批評を
惹起
(
じゃっき
)
し、それからドイツへ伝えられて、ドイツの芸術家が自国についてかく下劣な言辞を
弄
(
ろう
)
するのを、人々は憤慨した。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
よく、物語にある、
仇打
(
あだうち
)
の女が助太刀の男に感謝のこころから、恋愛を
惹起
(
じゃっき
)
して行く。そんな気持だった。けれども、かの女は帰国しなくてはならない。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
今、曹操とは正しく
相反
(
あいそむ
)
いたが、それとてもこんどのような事件を
惹起
(
じゃっき
)
して、曹操の怒りに油をそそぐようなことは、決して、玄徳の好むところではなかった。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
S・S・Sとは
如何
(
いか
)
なる人だろう、と、未知の署名者の
謎
(
なぞ
)
がいよいよ読者の好奇心を
惹起
(
じゃっき
)
した。
鴎外博士の追憶
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
たいへんな結果が
惹起
(
じゃっき
)
するかも知れぬ、ここはポローニヤス、一世一代の策略、または忠誠の置土産、
躊躇
(
ちゅうちょ
)
せずに若い人たちの疑惑を支持し、まっさき
駈
(
か
)
けて、正義を叫び
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
地震によって
惹起
(
じゃっき
)
される津波もまたしばしば、おそらく人間の一代に一つか二つぐらいずつは、
大八州国
(
おおやしまのくに
)
のどこかの浦べを襲って少なからざる人畜家財を
蕩尽
(
とうじん
)
したようである。
日本人の自然観
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
惹起
(
じゃっき
)
せり。若干の爆発音を耳にする。海水は甚だしく混濁し、
咫尺
(
しせき
)
を弁ぜず。余は
直
(
すぐ
)
に——
二、〇〇〇年戦争
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼はつまらぬ意見から、ゼラール中尉の反駁を
惹起
(
じゃっき
)
するのを恐れたからである。
ゼラール中尉
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
これを心理上より論ずるときは、「伊」の思想起こるに伴って「仁」の思想の起こること数回に及ぶときは、その後「伊」の起こるごとに、自然に「仁」を
惹起
(
じゃっき
)
するの性を養成するに至るなり。
妖怪玄談
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
これらの精神現象においては、知覚が厳密なる統一と連絡とを保ち、意識が一より他に転ずるも、注意は始終物に向けられ、前の作用が自ら後者を
惹起
(
じゃっき
)
しその間に思惟を入るべき少しの亀裂もない。
善の研究
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
世人の
驚駭
(
きょうがい
)
と
喧騒
(
けんそう
)
とを
惹起
(
じゃっき
)
した。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
相繋
(
あいつな
)
げばこういう日にも、船の揺れは少なく、士卒の間に
船暈
(
ふなよい
)
も出ず、至極名案のようですが、万一敵に火攻めの計を謀られたら、これは一大事を
惹起
(
じゃっき
)
するのではありますまいか
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
少くともかかる
葛藤
(
かっとう
)
を母に
惹起
(
じゃっき
)
させる
愛憐
(
あいれん
)
至苦のむす子が恨めて仕方がなかった。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
叔母
(
おば
)
を失ったために
惹起
(
じゃっき
)
され恋愛のために激化されてる、周囲の世界にたいする
傲慢
(
ごうまん
)
な反抗心のために、彼女はついに自分の性質のうちでこの不思議な熱情と矛盾するものはことごとく
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
遂に空中衝突を
惹起
(
じゃっき
)
せるものなり
恐しき通夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
みずからおのれを統御することにおける大多数者の無能力、金銭に左右される無節操、
不甲斐
(
ふがい
)
ない無気力、あらゆる優秀にたいする卑しい
怯懦
(
きょうだ
)
な反発、圧倒的な卑劣などは、反抗を
惹起
(
じゃっき
)
せしめていた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
惹起
(
じゃっき
)
せしむべし!
空襲警報
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
“惹起”の意味
《名詞》
惹 起(じゃっき)
問題や事件などをひきおこすこと。
刺激などにより誘発すること。
(出典:Wiktionary)
惹
漢検準1級
部首:⼼
12画
起
常用漢字
小3
部首:⾛
10画
“惹”で始まる語句
惹
惹付
惹着
惹入
惹出
惹寄
惹恨
惹行
惹爾日
惹吠奢爾