御詞おことば)” の例文
ひげむしやの鳥居とりゐさまがくちから、ふた初手しよてから可愛かわいさがとおそるやうな御詞おことばをうかゞふのも、れい澤木さわぎさまが落人おちうど梅川うめがはあそばして
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
たづね能々よく/\相談さうだんなし給へとすゝめるに付彦三郎は御深切ごしんせつ御詞おことばかたじけなしと打悦うちよろこ内外うちそと事共ことども諜合しめしあはせ橋本町へぞ急ぎける
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
不審いぶかしゝそれほどまでに御嫌おきらひになるほどならやさしげな御詞おことばなぜおほせおかれけん八重やへおもふもはづかしきまでときうれしかりしを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
振たて何と申され候や土屋つちや六郎兵衞のことば夫程それほどおもきか中納言樣の御詞おことばそむくに於ては仰付おほせつけられの心得ありと大音に呼はりければ何れもきもつぶし時を移さず開門に及べば山野邊主税之助先にたつて門を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
殿とのいまもし此處こゝにおはしまして、れいかたじけなき御詞おことば數々かず/\、さてはうらみににくみのそひて御聲おんこゑあらく、さては勿躰もつたいなき御命おいのちいまをかぎりとのたまふとも、れは此眼このめうごかんものか、此胸このむねさわがんものか
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
今もし此処こゝにおはしまして、れいかたじけなき御詞おことばの数々、さては恨みに憎くみのそひて御声おんこゑあらく、さては勿躰もつたいなき御命おいのちいまを限りとの給ふとも、我れはこのの動かん物か、この胸の騒がんものか。
軒もる月 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
御自分ごじぶんくちからてゆけとはおつしやりませぬけれどわたし此樣このやう意久地いくぢなしで太郎たらう可愛かわゆさにかれ、うでも御詞おことば異背いはいせず唯々はい/\小言こごといてりますれば、はり意氣地いきぢもないうたらのやつ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
たがひぞとて御優おやさしき御詞おことばわれもしきりにうれしくてたづぬるひとありとこそあかさゞりしが種々いろ/\との物語ものがたり和女そなた母御はゝご斯々かく/\ひとならずやとおもらぬ御問おとまことかぞなんとして御存ごぞんじとへばわすれてるべきか和女そなたれとは兄弟きやうだいぞかしれは梨本なしもというなるを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)