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店者
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たなもの
ふりがな文庫
“
店者
(
たなもの
)” の例文
第一若いお客といへば、まあお
店者
(
たなもの
)
か独身ものの勤め人なんだから、深くでもなれば、お互ひの身の破滅ときまつてゐるんですからね。
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
唐桟
(
とうざん
)
の
素袷
(
すあわせ
)
に高足駄を突っ掛けた勘弁勘次は、山谷の伯父の家へ一泊しての帰るさ、朝帰りのお
店者
(
たなもの
)
の群の後になり先になり
釘抜藤吉捕物覚書:01 のの字の刀痕
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
性わるとか、おんな
蕩
(
たら
)
しなどと云われる客は、
却
(
かえ
)
って扱いよかったが、若い職人とかお
店者
(
たなもの
)
などで、本気になってかよって来る者には困った。
契りきぬ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
もうヘベレケに酔っ払った
吉原
(
よしわら
)
帰りのお
店者
(
たなもの
)
らしい四五人
連
(
づれ
)
が、肩を組んで調子外れの
都々逸
(
どどいつ
)
を
怒鳴
(
どな
)
りながら通り過ぎた。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
石に腰掛けて甘酒を飲んでいるお
店者
(
たなもの
)
もあった。柳の並木が茂りつづいている時分のことで、岸から石垣の下の方へ長く垂下った細い
条
(
えだ
)
が見える。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
典型的なお
店者
(
たなもの
)
で、物柔かな調子や、蒼白い顏や、物を正視することのできない臆病な態度など、岡つ引に取つては、くみし易い方ではありません。
銭形平次捕物控:132 雛の別れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
むむ、宇吉か。お前はなかなか景気がいいな。お
店者
(
たなもの
)
の小僧のくせに、蕎麦屋へ来て天ぷらに
霰
(
あられ
)
とは、ばかに贅沢を
半七捕物帳:49 大阪屋花鳥
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
お構いなく
往
(
い
)
かれるかえ、人情としてお
前
(
めえ
)
の飛び込むのを見て、アヽ
然
(
そ
)
うかといって往かれねえじゃアねえか
何
(
な
)
んで死ぬんだよ、
店者
(
たなもの
)
だから大方女郎のつかい込みで
文七元結
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
今までたしかに日傘の中に忍ばされていたと思われたあのお
店者
(
たなもの
)
からすり取った紙入れが、もういつのまにか位置を換えて伝六の懐中にねじ込まれていたものでしたから
右門捕物帖:06 なぞの八卦見
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
ちょうど夕食の時間ではあるが、この辺はお
店者
(
たなもの
)
の縄ばりで、彼らはお店で食事をいただくから、こういう飲み屋を利用するのは夜更けに限るらしく、あんまり客はいなかった。
明治開化 安吾捕物:17 その十六 家族は六人・目一ツ半
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
夕刻から夜に掛けてお
店者
(
たなもの
)
並びに職人のわいわい連中が押して来て非常な騒ぎとなる。
幕末維新懐古談:42 熊手を拵えて売ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
夜更けて湯帰りのお
店者
(
たなもの
)
や堀江新町あたりの
素見
(
ぞめき
)
帰りが好んで立ち寄るここの店では、美味しい美味しい白味噌汁へ、注文次第で烏賊でも蛸でも鱧でもを投り込んで食べさせてくれる。
寄席
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
障れば絶ゆる蜘の糸のはかない處を知る人はなかりき、七月十六日の夜は何處の店にも客人入込みて
都々
(
どゝ
)
一
端歌
(
はうた
)
の景氣よく菊の井の下座敷にはお
店者
(
たなもの
)
五六人寄集まりて調子の外れし紀伊の國
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
約束通り
貴殿
(
きでん
)
に渡し今日は
寛々
(
ゆる/\
)
小夜衣に
逢
(
あう
)
て行んと來りしに
仁術
(
じんじゆつ
)
家業
(
かげふ
)
の身を以て
現在
(
げんざい
)
姪
(
めひ
)
の小夜衣をも知ぬ抔とは何故なりや然すれば我を
店者
(
たなもの
)
と最初よりして
見侮
(
みあなど
)
り
那
(
あ
)
の小夜衣を
餌
(
ゑ
)
ばとなし我を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
最近彼の運も少しは好くなつてゐたが、客として
上
(
あが
)
つてくる若いお
店者
(
たなもの
)
などを見ると、つい厭な気がして、弟の
境涯
(
きやうがい
)
を思ひやつた。
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
典型的なお
店者
(
たなもの
)
で、物柔かな調子や、蒼白い顔や、物を正視することのできない臆病な態度など、岡っ引にとっては、くみし
易
(
やす
)
い方ではありません。
銭形平次捕物控:132 雛の別れ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
栄三郎が、黙って振り向くと、前垂れ姿のお
店者
(
たなもの
)
らしい男が、すぐ眼の下で米
搗
(
つ
)
きばったのようにおじぎをしている。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
新どんと言って、いくらか旦那の遠い縁つづきに当るとかで、お
店者
(
たなもの
)
らしく丁寧な口の利きようをする人であった。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
つけ板のまわりにはほかに二人、お
店者
(
たなもの
)
らしい中年の男が、この店のかみさんの酌でひっそりと飲んでいた。房二郎はあいそのない亭主の言葉にむっとした。
へちまの木
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ちょうど
仁王門
(
におうもん
)
の手前——その手前までさしかかったところで、はしなくも向こうから日本橋あたりのお
店者
(
たなもの
)
らしい若い男が、お参りをすまして帰ってきたのに行き合わせると
右門捕物帖:06 なぞの八卦見
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
今から一と月ほど前にお
店者
(
たなもの
)
らしい四十格好の男がたずねて来て、お定を
門口
(
かどぐち
)
へ呼び出して何かしばらく立ち話をした上で、ふたりが一緒に連れ立って出て行ったことがあると
半七捕物帳:31 張子の虎
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
今長兵衞が橋の
中央
(
なかば
)
まで来ると、
上手
(
うわて
)
に向って欄干へ手を掛け、片足踏み掛けているは年頃二十二三の若い男で、腰に大きな矢立を差した、お
店者
(
たなもの
)
風体
(
ふうてい
)
な男が飛び込もうとしていますから
文七元結
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
障れば絶ゆる
蛛
(
くも
)
の糸のはかない処を知る人はなかりき、七月十六日の
夜
(
よ
)
は何処の店にも
客人
(
きやくじん
)
入込
(
いりこ
)
みて
都々一
(
どどいつ
)
端歌
(
はうた
)
の景気よく、菊の井の
下
(
した
)
座敷にはお
店者
(
たなもの
)
五六人寄集まりて調子の外れし
紀伊
(
きい
)
の
国
(
くに
)
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
平次と島吉はまず幾松の
行李
(
こうり
)
を引出しました。
蓋
(
ふた
)
を払って見ると、中はお
店者
(
たなもの
)
の着換えが一と通り詰まっているだけ。
銭形平次捕物控:105 刑場の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
皆角帯、前垂掛で、お
店者
(
たなもの
)
らしく客を迎えている中で、全くの書生の
風俗
(
なり
)
が、巻きつけた
兵児帯
(
へこおび
)
が、その
玻璃
(
ガラス
)
に映っていた。実に、成っていなかった。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
と聞くと、そこらにいた町の人々、気の早い
鳶
(
とび
)
人足や、お
店者
(
たなもの
)
などが、ワイワイ与吉の前に立ちふさがって
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
こんな
態
(
ざま
)
にしたなあ誰だ、素っ堅気のお
店者
(
たなもの
)
、これっぽっちも世間の汚れを知らなかった者を、
騙
(
だま
)
し放題に騙しゃあがって、大恩ある主人の金を持ち逃げさせ
お美津簪
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
どこかお
店者
(
たなもの
)
らしい若者でしたが、遠目に見届けたときのとおり、おりよくもそのときが断末魔へいま一歩という危機一髪のときでしたが、まだ
肢体
(
したい
)
にぬくもりがありましたので
右門捕物帖:09 達磨を好く遊女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
障
(
さわ
)
れば
絶
(
た
)
ゆる
蛛
(
くも
)
の
糸
(
いと
)
のはかない
處
(
ところ
)
を
知
(
し
)
る
人
(
ひと
)
はなかりき、七月十六日の
夜
(
よ
)
は
何處
(
どこ
)
の
店
(
みせ
)
にも
客人
(
きやくじん
)
入込
(
いりこ
)
みて
都々
(
どゝ
)
一
端歌
(
はうた
)
の
景氣
(
けいき
)
よく、
菊
(
きく
)
の
井
(
ゐ
)
の
下座敷
(
したざしき
)
にはお
店者
(
たなもの
)
五六人
寄集
(
よりあつ
)
まりて
調子
(
てうし
)
の
外
(
はづ
)
れし
紀伊
(
きい
)
の
國
(
くに
)
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
かれは
店者
(
たなもの
)
の習いとして夜なかに早帰りをしなければならなかった。
半七捕物帳:31 張子の虎
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
中肉中背で、あまり陽に當らない蒼白い顏もお
店者
(
たなもの
)
らしく、悧巧さうな眼、赤い唇など、何んとなく女性的な感じはするが、いかにも好い男振りです。
銭形平次捕物控:287 血塗られた祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
旅仕度に身をかためたお
店者
(
たなもの
)
らしい若い男が、振分けの小荷物を肩に、道中差しの短い刀をめちゃくちゃにふりまわしながら鼠のようにこっちへ飛んでくる
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
下腹を
蹴
(
け
)
あげられたやつは跼んだまま、まだ
呻
(
うめ
)
いていたし、さぶに掴みかかった男は、吃驚して棒立ちになった。縞の着物に角帯だから、お
店者
(
たなもの
)
とあまくみたのであろう。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そうだ、そうだ。いいところへ気がついた。小僧がいつまでも帰らなけりゃあ、新次郎は心配して出て来るに相違ねえ。だが、相手は
店者
(
たなもの
)
だから、そう早くは出られめえ。今夜は夜ふかしと覚悟して、今のうちに腹を
半七捕物帳:49 大阪屋花鳥
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
兩國の橋の
袂
(
たもと
)
の雪駄直しが、お
店者
(
たなもの
)
や水茶屋の姐さん連の文の受け渡しをして、飛んだ甘い汁を吸つてゐようとは、錢形平次も思ひ及ばなかつたのです。
銭形平次捕物控:250 母娘巡礼
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
どこから見ても相当工面のいいお
店者
(
たなもの
)
という風俗で、待遠しそうに土間の
框
(
かまち
)
にきちんと腰をおろしている。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
水
洟
(
ばな
)
を
啜
(
すす
)
り啜り僅かな銭をせびるんだ、どんなに僅かでもまだ小僧の身には痛かった、けれども
厭
(
いや
)
じゃあなかった、店を閉めたあとの買食いはお
店者
(
たなもの
)
の楽しみの一つになっている
金五十両
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
お
店者
(
たなもの
)
風の四十男、
澁
(
しぶ
)
い好みですが、手堅いうちにも贅があつて、後金の緩んだ雪駄を穿く人柄とは見えません。
銭形平次捕物控:038 一枚の文銭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お
店者
(
たなもの
)
ていのが、わらい絵らしいのを手早く買って、逃げるように出て行くところだった。
あの顔
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
お
店者
(
たなもの
)
風の四十男、渋い好みですが、手堅いうちにも
贅
(
ぜい
)
があって、後金の緩んだ雪駄を履く人柄とは見えません。
銭形平次捕物控:038 一枚の文銭
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
起上りざま鼻を
摺
(
す
)
りつけんばかりにして見ると、武家屋敷出入の骨董屋の手代とでも言いたいお
店者
(
たなもの
)
が
朱
(
あけ
)
に染んで倒れていて、初めは二人かと思ったほど、上半身が物の見事に
割
(
さ
)
かれていた。
早耳三次捕物聞書:01 霙橋辻斬夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
平次と島吉は幾松の
行李
(
かうり
)
を引出しました。
蓋
(
ふた
)
を拂つて見ると、中はお
店者
(
たなもの
)
の着換へが一と通り詰まつてゐるだけ。
銭形平次捕物控:105 刑場の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ところで、あの足音だ、——
後金
(
あとがね
)
の
緩
(
ゆる
)
んだ
雪駄
(
せつた
)
を引摺り加減に歩くところは、女や武家や職人ぢやねえ、
落魄
(
おちぶ
)
れた能役者でなきア先づ思案に餘つたお
店者
(
たなもの
)
だ」
銭形平次捕物控:038 一枚の文銭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
これは典型的なお
店者
(
たなもの
)
で、少々輕薄らしくはあるが、色白で顏の道具が華奢で、なか/\の好い男でした。
銭形平次捕物控:205 権三は泣く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ところで、あの足音だ、——
後金
(
あとがね
)
の緩んだ
雪駄
(
せった
)
を引摺り加減に歩くところは、女や武家や職人じゃねえ、
落魄
(
おちぶ
)
れた能役者でなきゃアまず思案に余ったお
店者
(
たなもの
)
だ」
銭形平次捕物控:038 一枚の文銭
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
固い一方で通つた男、三十五まで獨り者で暮したお
店者
(
たなもの
)
が、
金覆輪
(
きんぷくりん
)
のお職華魁と、生れて始めて口をきいたんだから、フラ/\になつたのも無理はありませんよ。
銭形平次捕物控:280 華魁崩れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「堅い字でした。今時あんな字を書く者は滅多にありません。女子供やお
店者
(
たなもの
)
の
筆跡
(
て
)
じゃございません」
銭形平次捕物控:150 槍の折れ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「堅い字でした。今時あんな事を書く者は滅多にありません。女子供やお
店者
(
たなもの
)
の
筆跡
(
て
)
ぢや御座いません」
銭形平次捕物控:150 槍の折れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
万一そんなことが知れちゃ、お
店者
(
たなもの
)
は一代の恥っかきだ。——八五郎が帰って来て幾松が一と晩安宅を動かなかったと解れば、小三郎を縛ってまず間違いはあるまい。
銭形平次捕物控:105 刑場の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
日本橋の東詰の晒し場、この間まで相對死の片割れの、不景氣なお
店者
(
たなもの
)
を晒してゐた
筵圍
(
むしろがこひ
)
の中に、五十前後の立派な中老人が、死骸になつて晒されてゐるといふのです。
銭形平次捕物控:221 晒し場は招く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
店
常用漢字
小2
部首:⼴
8画
者
常用漢字
小3
部首:⽼
8画
“店者”で始まる語句
店者風