寸時すんじ)” の例文
行火あんかかはりにまでももちひられるようになり、今日こんにちでは人間にんげん生活上せいかつじよう電氣でんき寸時すんじくことの出來できない必要ひつようなものとなりました。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
勘次かんじ彼等かれら仲間なかまである。しかしながらかれ境遇きやうぐう異常いじやう刺戟しげきから寸時すんじ安住あんぢゆうせしむる餘裕よゆうたなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
其處そこ長髮ちやうはつ敝衣へいい怪物くわいぶつとめなば、寸時すんじはやくびすかへされよ。もしさいはひ市民しみんはば、すゝんで低聲ていせいに(おう)は?とけ、かれへんずる顏色がんしよくくちよりさきこたへをなさむ。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
また浪人風ろうにんふう山県蔦之助やまがたつたのすけ、六姿すがた龍太郎りゅうたろう、わけても恵林寺えりんじ弟子僧でしそう加賀見忍剣かがみにんけんと申すものは、武田家滅亡たけだけめつぼういらい、寸時すんじもおそばをはなれることなくおつきそい申しておる忠節ちゅうせつな男……
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その厚意こうい今なお寸時すんじわするることあたわず。
かれ到底たうてい寸時すんじいへへられなくつて、となりかれ主人しゆじんすがらうとした。しきゐすことがかれにはどれほどつらかつたかれぬ。主人しゆじん不在ふざいであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
して、百年ひやくねん以来いらい天守てんしゆあるあやしいものゝさらはれて、いまらるゝとほりの苦艱くげんける……なにとぞおもむきを、温泉をんせんいま逗留とうりうするをつとつたへて、寸時すんじはや人間界にんげんかいたすけられたい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
何物なにものをもはらはねばむまいとする疾風しつぷうは、あかおきつゝしろはひ寸時すんじ猶豫いうよをもあたへないでまくつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)