失策しくじり)” の例文
こんな相棒を生かしておいちゃどんな失策しくじりをやらかすか解らないと思ったから、一と思いに殺して、お前にやると言った金を隠してしまった。
銭形平次捕物控:124 唖娘 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
米友のは全く無邪気でやった失策しくじりであり、且つ槍の名人ときているから、荒っぽいことをせずに単に追放だけで済みました。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
清「へえ、余り固く云っちゃア己がに分りやせん、ま何ういう訳で、あゝ是は失策しくじりでもして出て、貴方あんたいて参ったか」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ある下婢はまことに人のいものでは有つたが、しかし心の浮々とした女で、長く奉公する間には幾度となく失策しくじりをして、その度にわびを入れて来た。
(新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
彼は蒼ざめた幽霊のようにやつれ果てて、自分の失策しくじりのために彼女がどんなに苦しみ悩んでいるかと心をいため尽くして、所所方方をさまよい歩いていた。
それもありますな。今日の失策しくじりが明日の朝物を言いますから、自然引きずられて行きます。誰だって負けるのは厭ですよ。私は毎朝各新聞の社会面と本社のを
負けない男 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
雄弁もいゝが、時によると飛んだ失策しくじりをする事がある。——チエホフの短篇に『雄弁家』といふのがある。
と辛きに当てて不興らしく言う。善平はさらに耳にも入れず、何にしてもかの炭山が手に入れば、例の失策しくじりの株以来、手ひどく受けた痛みもすッかり療治が出来る。
書記官 (新字新仮名) / 川上眉山(著)
ひとりだまつてられぬのは武村兵曹たけむらへいそうである、かれ自分じぶん失策しくじりから此樣こんことになつたのでたまらない
頭隠して尻隠さぬ、不念が基因もとのこの失策しくじりを、何とそなたに謝罪あやまらう。かうと知つたら、かねてより、身の素性をばそなたにも打明けておいたなら、その心得もあつたもの。
移民学園 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
何か失策しくじりの報告に来たのだとすると、秘書官にとってこれははなはだ折が悪いという外はないが、ともかく秘書官は、いま真名古が真相を穿った正確な報告を持って来ると
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
家の内には情を重んじて家族相互いに優しきをたっとぶのみにして、時として過誤あやまり失策しくじりもあり、または礼を欠くことあるもこれを咎めずといえども、戸外にあっては過誤も容易に許されず
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
失策しくじりを諦めたあとの一服も、まんざらわるいものではありません。独りごとに……
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「若い者の手前、まことに面目のないことだが、ゆうべは少し失策しくじりをやったよ」
半七捕物帳:69 白蝶怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
広い世の中に私がどんな失策しくじりをしでかしても、心から思いやってくれるのはほんとうにお前だけだわ。……今度からは私もちょいちょい来るだろうけれども、この上ともこの子を頼みますよ。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
お土産を持つて來なかつた失策しくじりは、お八重も矢張氣がついてゐた。二人の話は、源助さんも親切だが、お吉も亦、氣のけぬ親切な人だといふ事に一致した。郷里くにの事は二人共何にも言はなかつた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
失策しくじりが一度もなかつたさうだが、それはほんたうか。」
マルクスの審判 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
「えゝ毎度伺いますが、兎角此の殿方のお失策しくじりは酒と女でげして、取り分け御婦人の勢力と申したら大したものでげす。我が国はあま窟戸いわとの始まりから『女ならでは夜の明けぬ国』などと申しまする。………」
幇間 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
送りおり参らせ候 お留守の事にも候えば何とぞ母上様の御機嫌ごきげんに入り候ようにと心がけおり参らせ候えども不束ふつつかの身は何も至り兼ね候事のみなれぬこととて何かと失策しくじりのみいたし誠に困り入り参らせ候 ただただ一日も早くおん帰り遊ばし健やかなるお顔を
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
するのが癪にさわったのさ。それだけなら知れずに済んだかも知れないが、物事があまりうまく運んだので、越前屋の跡目に直ろうとしたのが失策しくじりの基さ
五十年前の失策しくじりから紡績工場を思いつくなぞは到底凡人のわざでない。それで夕刻役目を果して帰った時は
村の成功者 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
大「だによってる処までやれ、今までの失策しくじりも許し、何もかも許してやる、それに手前此処こゝに居ては都合が悪い、ついては金子かねが二十両有るからこれをやろう」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
宝塚の少女歌劇は、東京の初舞台で、素晴しい人気を呼んでゐるらしいが、その少女歌劇の創始者の一人、小林一三氏が最近東京へ往つた折、こんな失策しくじりをした事があつた。
それは覚悟の上ながら、慣れぬ手業の煮たきの失策しくじり。お学問とは関係なきを、万々御承知の筈の旦那が、かうして見ればつゆいささか、伎倆なき奥様の、内兜見透したまひてや。
今様夫婦気質 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
あゝ、馬鹿ばかことをした/\。わたくし失策しくじりで、貴方あなた日出雄少年ひでをせうねんころしたとなつては大佐閣下たいさかくか言譯いひわけがない、このびにはるか、らぬか、ひと命懸いのちがけで猛獸まうじうども追拂おつぱらつてるのだ。
いつかの黒ん坊の失策しくじりがあるだろう、それがために今でもあの親方が俺らをよく思っていねえんだ、それで追い払われちまったから腹が立ってたまらねえけれど、我慢してあの宿屋へ帰ってよ
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「俺はそんな心掛けの人間は大嫌いなんだ。こっちはこっち、石原の兄哥は石原の兄哥だ。人の失策しくじりを喜ぶような野郎は、俺のところにいて貰いたくねえ」
梅「いや別にかみへ対して失策しくじりもござらんが、両人とも心得違いをいたし、昨夜屋敷を駈落いたしました」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「皆私の失策しくじりですよ。その次第わけは後刻ゆっくり申上げますが、要するに伊賀の国風こくふうが悪いのですな」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
『あゝ、大變たいへんことをやつてしまつた。』と武村兵曹たけむらへいそう自分じぶん失策しくじり切齒はがみした。
大あて違ひ、大失策しくじり、帰れ去ねいと太一が小言。戸外で立聞く、身の辛さ。お娘が気の毒、可愛いとしさに、怒られるのは承知の上で、おれが出過ぎを白状する。な太一、新平の娘といはせまいとの心配。
移民学園 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
「俺はそんな心掛けの人間は大嫌いなんだ。こっちはこっち、石原の兄哥は石原の兄哥だ。人の失策しくじりを喜ぶような野郎は、俺のところにいて貰いたくねえ」
入社してから約半月、堀尾君はだこれという失策しくじりがない。尤もこれという仕事もなかった。
負けない男 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
なにしろお内儀さんが入らっしゃるくれえでは、先さまでも能々よく/\案じなさる事が有って相談に入らっしゃるんだろうが、何ういう失策しくじりをしたか知らん、しかしおいでなすっても己が塩梅あんべえわりいから
この岡つ引にしては珍らしく人間味のある男、『失策しくじり平次』とまで綽名あだなされる男が、縛つた娘の若々しい肉を、自分から進んで打ち据ゑようとはなんとした事でせう。
ほかの人なら兎に角地面の上にいても失策しくじりの多い三輪さんだ。電車の中で他人ひとの読んでいる本をはぐったという放心家だから、前後を忘却してんな危いものに手を出すかも知れない。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
文治郎殿がお失策しくじりで中々お聞入れがないから、手前に代ってお詫をしてくれと、何事にも恐れぬ文治郎殿が驚かれ、顔色かおいろ変えて涙を浮べ頼みに参ったから直様すぐさま出ましたが、どうか御了簡遊ばして
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
江戸開府以来の名御用聞と言われた平次も、この時ほどひどい失策しくじりをやったことはありません。
失策しくじりかくしているような度胸はない。お客さまに逃げられた経緯を話しながら、不図菊太郎君の横顔を見て、何ういう張り合いか、豊子さんを思い出した。兄妹だから無論似ている。
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
すてて置いて失策しくじりでも出来るといけねえから、一と谷中やなかあにさんの方へ連れて行って、時節を待ったら宜かろう、其のうちにはまた出入をさせる事もあるじゃアねえか、と斯う仰しゃるのだ、うむ
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
江戸開府以來の名御用聞と言はれた平次も、この時ほどひどい失策しくじりをやつたことはありません。
その反対に時々軽い失策しくじりをする。初めタイピストの三輪さんにきつけられて、かなり懇意になった。皆も認めている麗人で、社長専属だ。来たか庄さん以来、僕に興味を持ったらしい。
ロマンスと縁談 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
頭の鈍いガラッ八にも、何となく失策しくじり平次の尊さがわかったような気がしました。
と浩二は伸び上り、兎角ひと失策しくじりを喜ぶ郁子と敏子は無論クスクス笑い出した。
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
其の日の辰刻いつつ頃、人目の多い場所ではあり、それに白昼の捕物ですから、今度は万に一つも失策しくじりは無い積り、相沢半助は確かに此処で「寺荒し」の姿を見たという権次と、先刻正護院で
「別にこれという失策しくじりはなかったんですけれど……」
秀才養子鑑 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「八、弱ったな。——伝次郎を縛ったのは、俺の一代の失策しくじりかも知れないよ」
と自分の失策しくじりを打ち明けて水を向けた。
妻の秘密筥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「旦那、これは私の一代の失策しくじりかも知れません、——少し考へさせて下さい」