半七捕物帳:05 お化け師匠 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
成る程、リヽーを囮に己を呼び寄せようと云ふ気だつたのか。あの家の近所をうろ/\したら、掴まへて口説き落さうとでも云ふのか。
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
銭形平次捕物控:141 二枚の小判 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
何個かの木造の囮鴨が、他の鴨と一緒に水の上に浮いていたが、如何にもよく似せてあるので、見わけるのが至極困難であった。
日本その日その日:03 日本その日その日 (新字新仮名) / エドワード・シルヴェスター・モース(著)
前の場合では、権利も機会も平等ですが、こっちの方になると、女はまるで市場の奴隷か、さもなくば係蹄につけた囮です。
クロイツェル・ソナタ:01 クロイツェル・ソナタ (新字新仮名) / レオ・トルストイ(著)
以上私が近所の店の囮商いに悩まされたのは三十数年の昔で、時代はそれよりたしかに進んだ筈であるが、いまだにこの囮商いは廃されない。
一商人として:――所信と体験―― (新字新仮名) / 相馬愛蔵、相馬黒光(著)
それで僕はこいつは物になると思って、その罐を囮に手近かの部落まで、とうとうドドをなにもせずにひっ張ってきたのです
人外魔境:01 有尾人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
旗本退屈男:02 第二話 続旗本退屈男 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
顎十郎捕物帳:24 蠑螈 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
チャアリイは何処にいる (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
いつか、夕暮れ時、便所の汲取口から見た女の身体が、眼の先にちらつき、既に充分酔の廻った彦太郎は、囮を待つ猛獣のように待機したのである。彼は海に面した窓の障子を閉めた。
それから女を自分に蕩し込むにはまず囮の女を立てゝそれに競争心を起させ釣り込むこと、周囲にあらぬ噂を立てさせ嘘から出たまことの寸法で破れかぶれになった女を自分の手に入れる。
聞くと女子の体育奨励のためとあって、特に女子のみの乗艇には料金を半額に優待しているのだそうだが、体育奨励もさることながら、むしろ囮にしているのでないかと笑ったことがあった。
ファウスト (新字新仮名) / ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(著)
「道楽者と云ったところで、安い野郎だ。あいつ案外の正直者だから、なにかの囮になるかも知れねえ。まあ、当分は放し飼いだ」
半七捕物帳:46 十五夜御用心 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
囮につかわれたチョビ安——さてこそ、人眼につきやすい、あのおとなびた武士の扮装で、真っ昼間、壺の箱を抱えて小屋を出たわけ。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
それを待構えて更に一網打尽を試むる——いわば、囮のためにわざとこうして放置しておくという政略もあったのです。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「そんなに不服なら、山之助を此の俺の家へつれて来るがいい、黒雲五人男をおびき寄せる囮位にはなるだろう」
銭形平次捕物控:239 群盗 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
彼等の釣糸には釣針が二つついていて、その一つには囮に使う生魚がつけてある。彼等は魚を市場で生きたまま売るので、釣った魚を入れる浮き箱を持っている。
日本その日その日:03 日本その日その日 (新字新仮名) / エドワード・シルヴェスター・モース(著)