千島ちしま)” の例文
実際千島ちしまカラフトの果てから台湾たいわんの果てまで数えれば、気候でもまず文化民の生活に適する限り一通りはそろっている。
カメラをさげて (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
しかし、それは南樺太恵須取山の旧火口ではなく、カムチャッカ半島に接した千島ちしま列島の北端の島へ抜けているのです。
地底獣国 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
夏の数カ月毎日のように、千島ちしま及び東部北海道を襲う魔の海霧を、何とかして克服しようというのが目的であった。
硝子を破る者 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
大體だいたい太平洋沿岸地方たいへいようえんがんちほう火山かざんれつもつ連絡れんらくつてゐるので、わがくに火山列かざんれつも、千島ちしま、アレウト群島ぐんとうてアメリカの火山列かざんれつにつながつてゐるのである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
栖方の発音では父島が千島ちしまと聞えるので、千島へどうしてと梶が訊ね返すと、チチジマと栖方は云い直した。
微笑 (新字新仮名) / 横光利一(著)
よわいは五十をえたるなるべけれど矍鑠かくしゃくとしてほとんと伏波将軍ふくはしょうぐん気概きがいあり、これより千島ちしまに行かんとなり。
突貫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
御承知ごしようちのように日本につぽんは、きた北緯五十度三十分ほくいごじゆうどさんじつぷん千島ちしまてから、みなみ二十二度にじゆうにど臺灣たいわんにわたる細長ほそなが島國しまぐにで、地理上ちりじよう臺灣たいわん南部なんぶ𤍠帶ねつたいに、本州ほんしゆう北海道ほつかいどう温帶おんたいに、千島ちしま
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
ふねよりふねわたりて、其祝意そのしゆくいをうけらるゝは、当時そのかみ源廷尉げんていゐ宛然えんぜんなり、にくうごきて横川氏よこかわしとも千島ちしまかばやとまでくるひたり、ふね大尉たいゐ萬歳ばんざい歓呼くわんこのうちにいかりげて
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
千島ちしまはてから沖縄の先まで見ますと氷りついている寒い土地から、雪を知らない暑い国にまで及びます。寒帯、温帯、亜熱帯、その凡てを備えているのが我が国であります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
八合目より一旦いったん七合に引返したりといえり、二人は山頂の光景を見て、如何いかに感じけん、予に向いて、いずくんぞこれ千島ちしまたぐいならんや、きみは如何にして越年を遂げんとするか
カナリイ、チュニス、スペインのグラナダ、支那の陜西省諸地方には住居ぢうきよとして穿うがちたる横穴有り。千島ちしまカラフト、カムチャツカ、アラスカ、グリーンランド、朝鮮には住居ぢうきよとして堀りたる竪穴有り。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
ところがこれに対する説明の録音は気取った調子で「千島ちしまにも春は来ました」とそれっきりである。
映画雑感(Ⅳ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
(ニ)寒帶林かんたいりんまた白檜しらべ椴松帶とゞまつたい)。 このたい水平的すいへいてきには北海道ほつかいどう中央ちゆうおう以北いほく、つまり温帶林おんたいりん北部ほくぶで、同温線どうおんせん攝氏六度せつしろくど以下いか地方ちほうと、千島ちしま樺太からふと全部ぜんぶめてゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
ところが千島ちしまの沖へかかった頃から、急に気流の状態がよくなった。三十六人乗りのあの大きい飛行機は、まるでぴたりと空中に静止したように、ちっとも動揺が感ぜられない。
アラスカ通信 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
今日けふ郡司大尉ぐんじたいゐ短艇遠征たんていゑんせいかうを送るに、ねて此壮図このさうと随行ずゐかうして其景況そのけいきやうならびに千島ちしま模様もやうくはしくさぐりて、世間せけん報道はうだうせんとてみづから進みて、雪浪萬重せつらうばんちよう北洋ほくやう職務しよくむためにものともせぬ
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
千島ちしまのカイモンと同系と考えるほうがよさそうにも思われ、少なくも両方に同等の蓋然性がいぜんせいがある。
火山の名について (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
千島ちしま事抔ことなどうはさしあへるを耳にしては、それあれかうと話してきかせたく鼻はうごめきぬ、洋杖ステツキにて足をかれし其人そのひとにまで、此方こなたよりゑみを作りて会釈ゑしやくしたり、何処いづくとさしてあゆみたるにあらず
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
それにしてもこのおもしろい金米糖が千島ちしまアイヌかなんぞのように滅びて行くのは惜しい。天然物保存に骨を折る人たちは、ついでにこういうものの保存も考えてもらいたいものである。
備忘録 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)