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仰
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おっしゃ
ふりがな文庫
“
仰
(
おっしゃ
)” の例文
時々お二階の部屋へお嬢さんはお入りになりますが、その時はどんな用事でもお部屋へ申上げに行ってはならないと
仰
(
おっしゃ
)
いますので……
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
何を
仰
(
おっしゃ
)
る、奥様、そんな当然至極なことを……ごもっともです……ごもっともですとも、奥様! 私こそそれをお誓いしなければなりません。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「でも、貴方は、一日を争う身だなんて
仰
(
おっしゃ
)
っていらしったで……それほど大切な時なら、一汽車でも早く東京へ入った方が好からずと思って」
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
仰
(
おっしゃ
)
るとおりで御座ります。春は蛙、夏はくちなわ、秋は
蝗
(
いなご
)
まろ。此辺はとても、歩けたところでは、御座りませんでした。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
していたのです。おかげでやっと食べものが口にはいります。このお礼にはどんなことでもいたしますから、御用がおありでしたら
仰
(
おっしゃ
)
って下さい。
黄金鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
▼ もっと見る
或
一日
(
いちじつ
)
、お勢の何時になく眼鏡を外して
頸巾
(
くびまき
)
を取ッているを怪んで文三が尋ぬれば、「それでも
貴君
(
あなた
)
が、健康な者には
却
(
かえっ
)
て害になると
仰
(
おっしゃ
)
ッたものヲ」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
つないでお役にたてと
仰
(
おっしゃ
)
られますか。はい、はい、これも仕方はございませぬ、なまねこなまねこ。おぼしめしのとほりにいたしまする。むにゃむにゃ。
洞熊学校を卒業した三人
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
平次殿の
仰
(
おっしゃ
)
る通り、風呂場には
強
(
したた
)
かに血の付いた、
袷
(
あわせ
)
が一枚、
盥
(
たらい
)
につけてありました。これは御厚志に
酬
(
むく
)
ゆるために、
密
(
ひそ
)
かに申上げる。万事御内聞に——
銭形平次捕物控:238 恋患い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
『木乃伊と
仰
(
おっしゃ
)
ひましたね。それは何んだか僕には分りませんが。』とジユウルが叔父さんの言葉を遮りました。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
「これは日本に
僅
(
わずか
)
三部しかない
善
(
い
)
い版の『十三
経註疏
(
ぎょうちゅうそ
)
』だが、お
父
(
と
)
う様がお前のだと
仰
(
おっしゃ
)
った。今年はもう三回忌の来る年だから、今からお前の
傍
(
そば
)
に置くよ」
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「お父さま、わたしお父さまの
仰
(
おっしゃ
)
ることがよくわからないんでございますけれど……わたしはやはりお父さまのおそばにいとうございますわ。今までのように——。」
みずうみ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
あなた僕の履歴を話せって
仰
(
おっしゃ
)
るの? 話しますとも、
直
(
じっ
)
き話せっちまいますよ。だって十四にしかならないんですから。別段
大
(
たい
)
した
悦
(
よろこび
)
も苦労もした事がないんですもの。
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
お恥しい話ですが、私の結婚も塀の中で相手を見つけたのです。この頃こちらへお邪魔にあがる女の子の母親ですが、宅の奉公人でした。え、死んだのかと
仰
(
おっしゃ
)
るのですか。
遺産
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
僕の
肩
(
かた
)
の所を抱きすくめるようにして「絵具はもう返しましたか。」と小さな声で
仰
(
おっしゃ
)
いました。
一房の葡萄
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「心配をおしでない。私たちはどうなっても、お前さえ仕合せになれるのなら、それより結構なことはないのだからね。大王が何と
仰
(
おっしゃ
)
っても、言いたくないことは黙って
御出
(
おい
)
で」
杜子春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
されば
是等
(
これら
)
の
餽物
(
おくりもの
)
親御からなさるゝは至当の事、受取らぬと
仰
(
おっしゃ
)
ったとて
此儘
(
このまま
)
にはならず、どうか条理の
立様
(
たつよう
)
御分別なされて、
枉
(
まげ
)
ても
枉
(
まげ
)
ても、御受納と
舌
(
した
)
小賢
(
こざか
)
しく
云迯
(
いいにげ
)
に東京へ帰ったやら
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
例月のものを上げる日にはどうかとも思いましたが、やはり御出にならないので、心配しています。御父さんは
打遣
(
うちや
)
って置けと
仰
(
おっしゃ
)
います。兄さんは例の通り
呑気
(
のんき
)
で、困ったらその内来るだろう。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そこへ幽霊を出しては
却
(
かえっ
)
て凄みがないと
仰
(
おっしゃ
)
いました。
薄どろどろ
(新字新仮名)
/
尾上梅幸
(著)
『代議士のドーブレクさんと
仰
(
おっしゃ
)
いますね?』
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
「藤様、今
仰
(
おっしゃ
)
った事は、皆本心かいな」
藤十郎の恋
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
蓮月 ——それはまだお若いあなた方の
仰
(
おっしゃ
)
る事です。わたくしとてあなた方の年頃にはそうも云い、そうと思い込んで居りました。
ある日の蓮月尼
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「今日は旦那も骨休めだと
仰
(
おっしゃ
)
るし、三吉も来ているし、
何物
(
なんに
)
も無いが河魚で一杯出すで、お前もそこで
御相伴
(
ごしょうばん
)
しよや」
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
さすがの王さまもとうとう
根
(
こん
)
まけをなすって、それでは、どうなりとするがいいと、しかたなしにこう
仰
(
おっしゃ
)
いました。
ぶくぶく長々火の目小僧
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
「お父様もそう
仰
(
おっしゃ
)
ってたけれど、学校へ行くのが
厭
(
いや
)
だったら、もう行かなくてもいいのだよ」と小さな声で言った。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
それからお気の毒ですが、石郷さんは糸子さんの代役——智恵子さん——と言い争いをしなければなりません。最初、石郷さんは
何
(
ど
)
んなことを
仰
(
おっしゃ
)
いました?
踊る美人像
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
『なるほど尤もな事です。が、あなたの
仰
(
おっしゃ
)
る通りだとすると、どんなきのこでも皆な食べていゝんですね。』
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
仰
(
おっしゃ
)
ったとほり云ってだまって向ふの顔いろを見てゐたのですけれどもまるで反応がありませんな、さあ
税務署長の冒険
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
仰
(
おっしゃ
)
って、いまは、透き通るようなお手をお組みなされ、
暫
(
しばら
)
く無言でいらっしゃる、お側へツッ
伏
(
ぷ
)
して、
平常
(
ふだん
)
教えて下すった
祈願
(
いのり
)
の言葉を二た度三度繰返して
誦
(
とな
)
える
中
(
うち
)
に
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
僕の大好きな若い女の先生の
仰
(
おっしゃ
)
ることなんかは耳に這入りは這入ってもなんのことだかちっともわかりませんでした。先生も時々不思議そうに僕の方を見ているようでした。
一房の葡萄
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
おれを、どうしろと
仰
(
おっしゃ
)
るのだ。尊いおっかさま。おれが悪かったと言うのなら、あやまります。著物を下さい。著物を——。おれのからだは、地べたに凍りついてしまいます。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
「旦那さまの
仰
(
おっしゃ
)
いましたとおりを言いますと、しくしく泣いていましたの。」
童子
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「マアそうサなんて、変な
仰
(
おっしゃ
)
り
様
(
よう
)
ネ。どういうこと?」
鵞鳥
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
するからあすこへ閉じこもると
仰
(
おっしゃ
)
るので、ほかのお客を断わってお貸ししてありますのに、赫子さんが来ると何も放り出してあの通り……。
鶴は病みき
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「こんなところに、こんな好い食堂があるかって、皆さんがよくそう
仰
(
おっしゃ
)
って下さいますよ」とお力も言葉を添えた。
食堂
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「じつは
私
(
わたくし
)
の王さまが、ぜひあなたを王妃にしたいと
仰
(
おっしゃ
)
いますので、はるばるお迎いにまいりましたのです。どうか私と一しょにいらっして下さいまし。」
黄金鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
「アッハッハ。それはどなたもそう
仰
(
おっしゃ
)
います。時に今日は野原で何かいいものをお見付けですか。」
茨海小学校
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
大体まともな奥さんならば、いくら貴方が買ってやろうと
仰
(
おっしゃ
)
ったからとて、結婚早々こんな莫大な金を貴方に
費
(
つか
)
わせるというはずがない。あまりにも方図がなさすぎる。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
真の名誉というものは、神を信じて、世の中に働くことにあるので、
真
(
まこと
)
の安全も満足もこの外に得られるものでないと、つねづね
仰
(
おっしゃ
)
ったことを、御遺言として、記憶しておいで
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
上つ方の郎女が、
才
(
ざえ
)
をお習い遊ばすと言うことが御座りましょうか。それは
近代
(
ちかつよ
)
、ずっと
下
(
しも
)
ざまのおなごの致すことと承ります。父君がどう
仰
(
おっしゃ
)
ろうとも、
父御
(
ててご
)
様のお話は御一代。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
そんときはまるで嬉しくて仕方がないものだから、この子はどうしたんだろうってお母さまが
仰
(
おっしゃ
)
るくらいなんです。だからわたしきょうはいい事があるんだと言っておくの。ほんとにふしぎね。
童話
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
神様が斯う
仰
(
おっしゃ
)
ると、人間の男と女は、
恭
(
うやうや
)
しくおじぎをして、神様の前を去ろうとします。すると神様は、再び二人をお呼びとめになりました。
トシオの見たもの
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
と
仰
(
おっしゃ
)
りながら、その長襦袢を御抱きなすったまま、さんざん思いやって、涙は
絶間
(
とめど
)
もなく美しい御顔を流れました。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そしたらいつか蝎はじぶんのからだがまっ赤なうつくしい火になって燃えてよるのやみを照らしているのを見たって。いまでも燃えてるってお父さん
仰
(
おっしゃ
)
ったわ。ほんとうにあの火それだわ。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
それはわたくしめの家を指してそう
仰
(
おっしゃ
)
ったにちがいございません。
玉章
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
すると王さまは、その羽根を見せよと
仰
(
おっしゃ
)
いました。
黄金鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
「名古屋へ参ります前なぞは、毎日寝てばかりおりましたよ。叔父さんが寝てるが可いッて
仰
(
おっしゃ
)
ったから、俺は寝てるなんて、そんなことを申しまして……」
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「ふん、
仰
(
おっしゃ
)
るだの、
遊
(
あそば
)
せだのって云うかと思やべいべい、言葉も使い分けるしな、奇妙な婆あだ」
かやの生立
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「そんな気の弱いことを
仰
(
おっしゃ
)
って、……」
生涯の垣根
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
そんなものと
真人間
(
まにんげん
)
と一緒にされて
堪
(
たま
)
るものかなんて、それからも随分激しい調子でいろいろ
仰
(
おっしゃ
)
ったんですよ。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「こういうふうなものなら家の商品でまだ沢山ございますからご遠慮なく
仰
(
おっしゃ
)
って下さいまし」
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
仰
常用漢字
中学
部首:⼈
6画
“仰”を含む語句
仰向
被仰
仰臥
仰山
仰反
仰付
仰々
欽仰
仰有
大仰
渇仰
御仰
仰言
有仰
仰聞
仰天
振仰
随喜渇仰
讃仰
渇仰者
...