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ひとふで
ふりがな文庫
“
一筆
(
ひとふで
)” の例文
「
一筆
(
ひとふで
)
示し上げ参らせ
候
(
そろ
)
大同口
(
だいどうこう
)
よりのお手紙ただいま到着仕り候
母様
(
ははさん
)
大へん
御
(
おん
)
よろこび涙を流してくり返しくり返しご覧相成り候」
遺言
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
つい筆をとって
一筆
(
ひとふで
)
加える。そばの参考の本をめくって見る、また筆を加える。気がついた時は夜は深く更けてしまっております。
画筆に生きる五十年:――皇太后陛下御下命画に二十一年間の精進をこめて上納――
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
おッ母さんから
一筆
(
ひとふで
)
青木に当てた依頼状さえあれば、あすにも楽な身になれるというので、僕は思いも寄らない偽筆を頼まれた。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
とにもかくにも今一目見ずば動かじと始に
念
(
おも
)
ひ、それは
愜
(
かな
)
はずなりてより、せめて
一筆
(
ひとふで
)
の
便
(
たより
)
聞かずばと更に念ひしに、事は心と
渾
(
すべ
)
て
違
(
たが
)
ひて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
一筆
(
ひとふで
)
示し
※
(
まいらせそろ
)
、さても時こうがら日増しにお寒う相成り
候
(
そうら
)
えども御無事にお勤め
被成
(
なされ
)
候や、それのみあんじくらし※、
母事
(
ははこと
)
もこの頃はめっきり年をとり
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
▼ もっと見る
茶がかった
平床
(
ひらどこ
)
には、釣竿を
担
(
かつ
)
いだ
蜆子和尚
(
けんすおしょう
)
を
一筆
(
ひとふで
)
に
描
(
か
)
いた
軸
(
じく
)
を閑静に掛けて、前に青銅の
古瓶
(
こへい
)
を
据
(
す
)
える。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一筆
(
ひとふで
)
しめし上げ
※
(
まいらせそろ
)
。さてとや暑さきびしく
候
(
そうろう
)
ところ、皆様には
奈何
(
いかが
)
御暮しなされ候や。私よりも一向音信いたさず候えども、
御許
(
おんもと
)
よりも御便り
無之
(
これなく
)
候故、日々御案じ申上げ候。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
一筆
(
ひとふで
)
添
(
そ
)
つて
居
(
ゐ
)
る——(お
約束
(
やくそく
)
の
此
(
こ
)
の
連中
(
れんぢう
)
の、
早
(
はや
)
い
處
(
ところ
)
を
引
(
ひ
)
つ
捉
(
とら
)
へてお
目
(
め
)
に
掛
(
か
)
けます。しかし、どれも
面
(
つら
)
つきが
前座
(
ぜんざ
)
らしい。
眞打
(
しんうち
)
は
追
(
お
)
つて
後
(
あと
)
より。)——
私
(
わたし
)
はうまいなと
手
(
て
)
を
拍
(
う
)
つた。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「兄さま。わたくしが橋場へまいることを、八橋さんへ
一筆
(
ひとふで
)
知らせてやりましょうか」
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
只
(
たヾ
)
一寸
(
ちよつと
)
で
宜
(
よ
)
し
吾助
(
ごすけ
)
は
一筆
(
ひとふで
)
にてもと
言
(
い
)
ひたれば、
此卷紙
(
このまきがみ
)
へ
何
(
なに
)
か
書
(
かき
)
て
僕
(
ぼく
)
に
賜
(
たま
)
はれ、
吾助
(
ごすけ
)
は
田舍
(
ゐなか
)
へ
歸
(
かへ
)
りても
行
(
ゆ
)
く
處
(
ところ
)
の
無
(
な
)
き
身
(
み
)
なれば、
大方
(
おほかた
)
は
乞食
(
こじき
)
に
成
(
な
)
るべきにや、
夫
(
それ
)
れでは
僕
(
ぼく
)
どうしても
嫌
(
い
)
やなり
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
痛む頭を
擡
(
もた
)
げし小花が虫を押へて
拾読
(
ひろいよみ
)
するその文に
曰
(
いわ
)
く、
一筆
(
ひとふで
)
しめし
上参
(
あげまい
)
らせ
候
(
そろ
)
、今は何事をも包まず打ち明けて申上げ候ふ故、憎い兼吉がためとお思なく可哀い清さんのためと
御読分
(
およみわけ
)
下されたく候
そめちがへ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
なに/\……
一筆
(
ひとふで
)
書きしるし
※
(
めえらせそうろう
)
……書きしるし
※
(
めえらせそうろう
)
は妙だな……お
前様
(
めえさま
)
にはおえいどんというにうぶのある身だから……
女房
(
にょうぼう
)
の間違いだろうナ……わしらが深く思いやしても駄目なこんだと思いやんすが
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「お前がそれで一句出来たら、私が
一筆
(
ひとふで
)
それへ描こう」
紅白縮緬組
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「おのれ故に、あつたら
一筆
(
ひとふで
)
を
仕損
(
しそん
)
じたぞ。」
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
もはや最後も遠からず覚え
候
(
そうろう
)
まま
一筆
(
ひとふで
)
残しあげ参らせ候
今生
(
こんじょう
)
にては
御目
(
おんめ
)
もじの
節
(
ふし
)
もなきことと存じおり候ところ天の
御憐
(
おんあわれ
)
みにて先日は不慮の
御
(
おん
)
目もじ申しあげうれしくうれしくしかし汽車の内のこととて何も心に任せ申さず誠に誠に
御
(
おん
)
残り多く存じ上げ参らせ候
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
「まあ一つ」と婆さんはいつの
間
(
ま
)
にか
刳
(
く
)
り抜き盆の上に茶碗をのせて出す。茶の色の黒く
焦
(
こ
)
げている底に、
一筆
(
ひとふで
)
がきの梅の花が三輪
無雑作
(
むぞうさ
)
に焼き付けられている。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼はその身の
卒
(
にはか
)
に
出行
(
いでゆ
)
きしを、
如何
(
いか
)
に
本意無
(
ほいな
)
く我の思ふらんかは
能
(
よ
)
く知るべきに。それを知らば
一筆
(
ひとふで
)
書きて、など我を慰めんとは
為
(
せ
)
ざる。その一筆を如何に我の嬉く思ふらんかをも能く知るべきに。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
さて品物は何か工夫が附いたとして、それをつい梅に持たせて遣ったものだろうか。名刺はこないだ仲町で
拵
(
こしら
)
えさせたのがあるが、それを添えただけでは、物足らない。ちょっと
一筆
(
ひとふで
)
書いて遣りたい。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「こんな
一筆
(
ひとふで
)
がきでは、いけません。もっと私の
気象
(
きしょう
)
の出るように、丁寧にかいて下さい」
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今までの雲で自分と世間を
一筆
(
ひとふで
)
に
抹殺
(
まっさつ
)
して、ここまでふらつきながら、手足だけを急がして来たばかりだから、この赤い山がふと眼に入るや否や、自分ははっと雲から
醒
(
さ
)
めた気分になった。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
若冲の図は大抵
精緻
(
せいち
)
な彩色ものが多いが、この鶴は世間に
気兼
(
きがね
)
なしの
一筆
(
ひとふで
)
がきで、一本足ですらりと立った上に、
卵形
(
たまごなり
)
の胴がふわっと
乗
(
のっ
)
かっている様子は、はなはだ
吾意
(
わがい
)
を得て、
飄逸
(
ひょういつ
)
の
趣
(
おもむき
)
は
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
僕は僕の前に
坐
(
すわ
)
っている
作
(
さく
)
の姿を見て、
一筆
(
ひとふで
)
がきの
朝貌
(
あさがお
)
のような気がした。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
筆
常用漢字
小3
部首:⽵
12画
“一筆”で始まる語句
一筆斎文調
一筆啓上仕候
一筆画
一筆庵可候