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雌雄
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しゆう
ふりがな文庫
“
雌雄
(
しゆう
)” の例文
「新田勢のこよいの攻め方は、これまでのようではない。逆軍の義貞も今やあせって、気短に、
雌雄
(
しゆう
)
をわれと決せんとするものか」
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
二
匹
(
ひき
)
の
雌雄
(
しゆう
)
の
虎
(
とら
)
がううと
唸
(
うな
)
りながら、一つ
檻
(
おり
)
のなかで荒れ狂っているような思い出が、千穂子の躯を熱く煮えたぎらせた。
河沙魚
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
ついこの一月までは、
雌雄
(
しゆう
)
番
(
つがい
)
でいたけれど、
心臓
(
フィラリア
)
を患って今では雄一匹になってしまったのだと、仲好しらしい妹娘の方が残念そうにそういうのです。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
雌雄
(
しゆう
)
の性もなく、彼らにとってはもはや善も悪も空名であって、幼年時代を過ぎるや既に世に一物をも所有せず、自由をも徳義をも責任をも有しない。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
猫よりはいつの
間
(
ま
)
にか人間の方へ接近して来たような心持になって、同族を
糾合
(
きゅうごう
)
して二本足の先生と
雌雄
(
しゆう
)
を決しようなどと
云
(
い
)
う量見は昨今のところ
毛頭
(
もうとう
)
ない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
雀
(
すずめ
)
の
雌雄
(
しゆう
)
を知らず
不如帰
(
ほととぎす
)
の無慈悲を悟らずして、新しき神学説を
蝶々
(
ちょうちょう
)
するも何ぞ。魚類の如き一として面白からぬはなく、
鰻
(
うなぎ
)
の如き最も不可解なる生物である。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
いつも二羽連れ立っている。どちらがどちらとも判別しないが、
雌雄
(
しゆう
)
なのかも知れない。私は鳰の浮巣というのを見たいと思っているが、まだお目にかからない。
犬の生活
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
随
(
したが
)
って、近頃の私自身の気分の悪さについても、
早速
(
さっそく
)
思いあたらねばならなかったのであるが、幸か不幸か、私には蠅の
雌雄
(
しゆう
)
を
識別
(
しきべつ
)
する知識がなかったのである。
蠅
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
植物などにも一花内の
雌雄
(
しゆう
)
蘂
(
ずい
)
交わって専ら繁殖し行くもある。
繁縷
(
はこべ
)
などこの伝で全盛を続けいるようだ。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
心を削り、魂を切って、
雌雄
(
しゆう
)
の——はじめは人の
面
(
おもて
)
のを、と思いました。女の方は黒髪を乱した、思い切って美しい白い相の、野郎の方は
南瓜
(
かぼちゃ
)
に
向顱巻
(
むこうはちまき
)
でも構わない。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
右
漢名
(
かんめい
)
(中国名のこと)の
淫羊藿
(
いんようかく
)
に
就
(
つ
)
き、中国の説では、羊がこの葉(
藿
(
かく
)
)を食えば、一日の間に百
遍
(
ぺん
)
も
雌雄
(
しゆう
)
相通
(
あいつう
)
ずることができる効力を持っていると信ぜられている。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
その代りまた
後
(
あと
)
に残った二人は、本来さほど敵意のある間柄でもなかったが、
騎虎
(
きこ
)
の勢いで
已
(
や
)
むを得ず、どちらか一方が降参するまで
雌雄
(
しゆう
)
を争わずにはいられなくなった。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
生れて五、六か月過ぎた鶏は
最早
(
もはや
)
雌雄
(
しゆう
)
の体質が区別されているから施術は雛鳥より容易だけれども体質に急激な変化を起すからドウも予後が悪くって後に
斃
(
たお
)
れる事が多い。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
伸ばした鈴江の右の
掌
(
てのひら
)
に、載っている五十本の
雌雄
(
しゆう
)
の針で、掌を埋ずめて盛り上がっている。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ここに
雌雄
(
しゆう
)
を決しようとする両士、
渾心
(
こんしん
)
の力を
刀鋒
(
とうほう
)
にこめての気合いだから、いとも容易に動発しないとはいえ、流汗
淋漓
(
りんり
)
、栄三郎の
素袷
(
すあわせ
)
の背には、もはや丸く汗のひろがりがにじみ出ている。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その争いは武器を取って
雌雄
(
しゆう
)
を
決
(
けっ
)
する闘争ではなく、暗黙のうちに郷里の評判や、学科の点数や、席次や、社会的地位を争うのだから、そこに不純な名誉心や嫉妬心や猜疑心が介在して来るから
血液型殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
復一は人間を表現するのに金魚の
雌雄
(
しゆう
)
に
譬
(
たと
)
えるとは
冗談
(
じょうだん
)
の言葉にしても程があるものだとむっとした。しかし、こういう反抗の習慣はやめた方が、真佐子に親しむ
途
(
みち
)
がつくと考えないでもなかった。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
まだ小供〻〻した耳の大きな
牝犬
(
めいぬ
)
で、何処から
如何
(
どう
)
して来たか知らぬが、勝手にありついて、追えども逐えども去ろうともせぬ。余の家には
雌雄
(
しゆう
)
二
疋
(
ひき
)
の犬が居るので、此上牝犬を飼うも厄介である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
犬は戯れて躍ってる、鶏は
雌雄
(
しゆう
)
あい呼んで餌をあさってる。
紅黄録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
誰
(
たれ
)
か
烏
(
からす
)
の
雌雄
(
しゆう
)
を知らんとやうに、貫一は冷然として
嘯
(
うそぶ
)
けり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「星影の谷あいで誓った証拠だ。これを日本左衛門の前につきつけて、今宵こそ、有無をいわさず
雌雄
(
しゆう
)
を決するつもりである」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一旦陣は引いたが正成め、新手の大軍を
猟
(
か
)
り催し、押し寄せ来る手段と見える。
誠
(
まこと
)
の
戦
(
たたかい
)
一度もせず、残念に思っていたところ、押し寄せ来るこそ却って幸い、迎え
撃
(
う
)
って
雌雄
(
しゆう
)
を決しようぞ。
赤坂城の謀略
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
この多事なる世界は日となく夜となく回転しつつ
波瀾
(
はらん
)
を生じつつある間に我輩のすむ小天地にも小回転と小波瀾があって我下宿の主人公はその
尨大
(
ぼうだい
)
なる身体を
賭
(
と
)
してかの小冠者差配と
雌雄
(
しゆう
)
を
倫敦消息
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
曹操は、疑いもし、かつ敵の決意のただならぬものあるを覚って、今は、
乾坤
(
けんこん
)
一
擲
(
てき
)
、蜀魏の
雌雄
(
しゆう
)
をここに決せんものと
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今日のには魯国新聞の日本に対する評論がある。もし戦争をせねばならん時には日本へ攻め寄せるは得策でないから朝鮮で
雌雄
(
しゆう
)
を決するがよかろうという主意である。朝鮮こそ善い迷惑だと思った。
倫敦消息
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
雌雄
(
しゆう
)
を一挙に決せんものと、出陣の際、春日山の武神にたいし奉りても、ひそかに、お誓い申して来たことであった
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼奴
(
きゃつ
)
が
屯
(
たむろ
)
を
作
(
な
)
さぬうち、
切崩
(
きりくず
)
さば、何の
一溜
(
ひとたま
)
りもあるべき。天下の
雌雄
(
しゆう
)
を決し、われらが大志を果すとき、この節到来。今ぞ到来ぞや。——怠るな各〻
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もちろん光春に近づいて、
雌雄
(
しゆう
)
を決する気ぐみにちがいなかった。その面々は馬上から味方のほうへ手を振って
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「まず、信雄卿を、長島から迎え取って、その非を
糺
(
ただ
)
し、しかる後、羽柴筑前と、
雌雄
(
しゆう
)
を決せねば相成るまい」
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
武蔵を迎えて、
雌雄
(
しゆう
)
を決しようというからには、人のみか、彼自身、必勝の信念ができているに違いはない。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ととのえて、ふたたび、曹操と
雌雄
(
しゆう
)
を決せよ。……ち、ちかって、父の怨みを散ぜよ。いいか、兄弟ども
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
御旗
(
みはた
)
楯無
(
たてなし
)
も照覧あれ、あすこそは、織田、徳川の二軍をむかえ、一戦に
雌雄
(
しゆう
)
を決してみせる」
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
相互して一身のために、万民をくるしめているよりは、どうだ、いっそのこと、一騎打ちの勝負をして、
雌雄
(
しゆう
)
を決しようではないか。……いやか、おうか。出て来い尊氏。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いかなる条件にも、家康は筑前にたいし、和を持って解決する望みはもたぬ。あくまで、ここに
雌雄
(
しゆう
)
を決し、秀吉の
首級
(
しるし
)
をとって、天下に正義あることを知らしめるであろう」
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここ龍泉寺山は、その直後に、かれの本陣となり、赤い夕陽の下に、二万余の新鋭が、いざ、主力と主力との
雌雄
(
しゆう
)
を決せん——と、きょうの勝てる敵家康へ、
雪辱
(
せつじょく
)
の意を示して、展開した。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
建武二年、新田勢が朝命の下に東海道をくだり、尊氏は“義貞弾劾状”を
朝
(
ちょう
)
へ出して後、ただちに
蟄居
(
ちっきょ
)
の一寺から上洛の兵をすすめて、両者、箱根の奇勝に拠って、
雌雄
(
しゆう
)
を争ったあのときの戦である。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
雌雄
(
しゆう
)
を決せねばならぬ運命をもっておりますよ
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“雌雄”の意味
《名詞》
動物の雄と雌。
優劣や勝敗。
(出典:Wiktionary)
雌
常用漢字
中学
部首:⾫
14画
雄
常用漢字
中学
部首:⾫
12画
“雌雄”で始まる語句
雌雄蕊
雌雄一対
雌雄同株