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閃々
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せんせん
ふりがな文庫
“
閃々
(
せんせん
)” の例文
裾野にそよぐ
穂
(
ほ
)
すすきが、みな
閃々
(
せんせん
)
たる
白刃
(
はくじん
)
となり
武者
(
むしゃ
)
となって、声をあげたのかと
疑
(
うたが
)
われるほど、ふいにおこってきた四面の
伏敵
(
ふくてき
)
。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一令は一令より
繁
(
しげ
)
く下れり、天下の民は、雷鳴を聞くのみならず、
閃々
(
せんせん
)
たる電光を見たり。閃電を見るのみならず、落雷に撃たれたり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
白鳥は首をあげた。
閃々
(
せんせん
)
と光る水は
碧
(
あお
)
い火のように胸と
脊
(
せ
)
を洗った。朝の微光が赤い雲を照らした。白鳥は力づいて立上った。
聖アンデルセン
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
必死と争へる
両箇
(
ふたり
)
が手中の
刃
(
やいば
)
は、
或
(
あるひ
)
は高く、或は低く、右に左に
閃々
(
せんせん
)
として、あたかも
一鉤
(
いつこう
)
の新月白く風の柳を
縫
(
ぬ
)
ふに似たり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
その左にほうふつとして立つ紫の幻塔が見える、それが金の
鱗
(
うろこ
)
のお城だというのである。そう聞けば何か
閃々
(
せんせん
)
たる
気魄
(
きはく
)
が光っているようでもある。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
▼ もっと見る
他のすべての史家はある
眩惑
(
げんわく
)
を感じ、その眩惑のうちに摸索している。実際それは、
閃々
(
せんせん
)
たる一日、軍国の崩壊である。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
彼は純粋に一兵卒の目をもって、
閃々
(
せんせん
)
として去来する「戦争の赤い翼」のはためきを、素直に記しとどめるのである。
「あかい花 他四篇」あとがき
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
盗あり、戸を破りて入りきたり、秋水
閃々
(
せんせん
)
、大いに目をいからし、予に向かいて曰く、「金を渡せ、金を渡せ」と。
妖怪報告
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
そういう蚊帳の外に稲妻が
閃々
(
せんせん
)
と
射
(
さ
)
す。蚊帳の中の人は
暢気
(
のんき
)
にそれを見ている、といったような情景が想像される。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
クリストフの一言に奥底まで
揺
(
ゆす
)
られた。そして夢中になって心の中を
披瀝
(
ひれき
)
した。彼の理想主義はその隠れたる魂の上に、
閃々
(
せんせん
)
たる詩の光輝を投げかけた。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
夫
(
それ
)
もそうであろう、日本北アルプス北半の山という山の膚から放射される特有の色の波が、電光の如く
閃々
(
せんせん
)
と虚空に入り乱れて、無数の縦谷に
鏤
(
ちりば
)
められた大雪渓は
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
同時に、バタン! バタン! と表裏の両門を打つ一方、庭の捜査は鉄斎自身が采配をふるって、木の根、草の根を分ける抜刀に、焚火の反映が
閃々
(
せんせん
)
として明滅する。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
溪間
(
たにま
)
の温泉宿なので日が
翳
(
かげ
)
り易い。溪の風景は朝遅くまでは日影のなかに澄んでいる。やっと十時頃溪向こうの山に
堰
(
せ
)
きとめられていた日光が
閃々
(
せんせん
)
と私の窓を
射
(
い
)
はじめる。
冬の蠅
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
二万五千六百
尺
(
呎
)
の雪峰 であって
巍然
(
ぎぜん
)
として波動状の山々の上に聳えて居る様はいかにも素晴らしい。その辺へ着きますと
閃々
(
せんせん
)
と電光が輝き渡り
迅雷
(
じんらい
)
轟々
(
ごうごう
)
と耳を
劈
(
つんざ
)
くばかり。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
閃々
(
せんせん
)
として波間をくぐる魚鱗のように、町々辻々の要所要所をくぐり抜けて血を吸って帰るこの人の癖は、米友に於てもよく心得たものだが——いかに潜入が得意の人とはいえ
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と、また室内は闇となり、闇の中より鎗太刀の光が
閃々
(
せんせん
)
として
閃
(
ひら
)
めいて見えた。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
忽ち、眼に見えたのは
閃々
(
せんせん
)
たる長柄の刃、素太刀、槍の白い穂さき、それから弓、鉄砲なども入り交じった百人ほどの軍隊だった。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けれども雲の軍勢が
鬱然
(
うつぜん
)
と勃起し、時に
迅雷
(
じんらい
)
轟々
(
ごうごう
)
として山岳を震動し、電光
閃々
(
せんせん
)
として凄まじい光を放ち、
霰丸
(
さんがん
)
簇々
(
そうそう
)
として矢を射るごとく降って参りますと修験者は必死となり
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
ベックリンの
閃々
(
せんせん
)
たる粗野な夢、ホドラーの荒くれた勇武、ゴットフリート・ケルレルの清朗な温厚さと
生々
(
なまなま
)
しい率直さ、偉大なる楽詩人シュピッテラーの巨人族的叙事詩やオリンポス的光輝
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
下手奥は、夜眼にも白き大河、彼岸は
模糊
(
もこ
)
として砂漠につづき、果ては遠く連山につながる。その砂漠に、軍兵の天幕の灯、かがり火など、
閃々
(
せんせん
)
としてはるかに散らばる。降るような星空の下。
若き日の成吉思汗:――市川猿之助氏のために――
(新字新仮名)
/
林不忘
、
牧逸馬
(著)
武蔵太郎は
閃々
(
せんせん
)
として、秋の水を潜る
魚鱗
(
ぎょりん
)
のようにひらめく。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
坂上から——坂下から——
閃々
(
せんせん
)
と勝助の身ひとつにつめよる無数の槍は、その馬印と、勝家なりと信ずる彼の首とを、
賭
(
か
)
け物のように
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いまや、その
裾野
(
すその
)
の一角にあって、
咲耶子
(
さくやこ
)
がふったただ一本の
笛
(
ふえ
)
の先から、
震天動地
(
しんてんどうち
)
の雲はゆるぎだした。
閃々
(
せんせん
)
たる
稲妻
(
いなずま
)
はきらめきだした。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
細く白い
刃
(
やいば
)
のかげも、人に添って、あっちこっちに
閃々
(
せんせん
)
と動き、早くも
切
(
き
)
ッ
尖
(
さき
)
を低く泳がせて、狙い寄ってくる覆面もある。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こいつ、
体
(
からだ
)
はちいさいが、一すじなわではいかないぞ——とみた
甲虫
(
かぶとむし
)
は、やにわに
短槍
(
たんそう
)
をおっ取って、
閃々
(
せんせん
)
と突いて突いて、突きまくってくる。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なぜなら
閨室
(
けいしつ
)
の
廊欄
(
ろうらん
)
には燈火をつらね、そこに立ちならぶ
侍女
(
こしもと
)
から局々の女たちまで、みな
槍
(
やり
)
薙刀
(
なぎなた
)
をたずさえて、
閃々
(
せんせん
)
眼もくらむばかりだったからである。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
丁々
(
ちょうちょう
)
閃々
(
せんせん
)
、ひたいに汗をかいて、幾十合と接戦のおめきはあげつづけているものの、ともすれば、ああ美しい女だ! とつい思い、
刃
(
は
)
がねの火花にも、何か
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
広場をえらんで、双方の馬と馬、
卍
(
まんじ
)
にもつれた。花栄の
閃々
(
せんせん
)
たる
白槍
(
びゃくそう
)
、秦明の風を呼ぶがごとき
仙人掌棒
(
さぼてんぼう
)
、およそ四、五十合の大接戦だったが勝負はつかない。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
閃々
(
せんせん
)
、槍を揃えた甲冑の一群は、波状を
作
(
な
)
して、彼の前に迫り、しばしば、声ばかり発していたが
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そしてその中を
閃々
(
せんせん
)
と
盲薙
(
めくらな
)
ぎに相手を叩き廻っていた陶山と小見山の剣光も、やがてのこと
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
間もなく宵の城門を、五百余りの精兵が、元日の夜というのに、
剣槍
(
けんそう
)
閃々
(
せんせん
)
と駈けだしてゆく。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見れば、
薙刀
(
なぎなた
)
、
槍
(
やり
)
、
長柄
(
ながえ
)
などの光が、
閃々
(
せんせん
)
と、坪向うの
廂
(
ひさし
)
の下を表のほうへ駈け急いでいた。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いかつい声と一緒に、眼のまえの
柵門
(
さくもん
)
が大きく口を開けた。暗闇の中にひしめく兵の影は、一団百人以上もいるかと見えた。その波の揺れるたびに、
閃々
(
せんせん
)
と槍の穂が瞳を刺す。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここでは重左と新九郎が
龍攘虎搏
(
りゅうじょうこはく
)
のまッ最中、男でさえも近寄りがたい
閃々
(
せんせん
)
たる剣火の
旋風
(
つむじ
)
へ、意外や、時ならぬ落花とばかり降り込んで、駕の
裡
(
うち
)
から美しい姿を抜け出させ
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と呂布はまだ
嘲笑
(
あざわら
)
う余裕さえあった。関羽、張飛、玄徳の三名を物ともせず、右に当り左に
薙
(
な
)
ぎ、
閃々
(
せんせん
)
の光、
鏘々
(
しょうしょう
)
の響き、十州の戦野の耳目は、今やここに集められたの観があった。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大斧
(
だいふ
)
の
閃々
(
せんせん
)
、
槍尖
(
そうせん
)
の電光、おめき合うことも幾十合か。馬も汗するばかりなのに、どうしても、勝敗はつかない。満場は声なく、巨大な落日の紅炎は、西の空へ、刻々に沈んでゆく。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
戟
(
げき
)
、剣、馬蹄から立つ土けむりの中に、
戛々
(
かつかつ
)
と火を発し、
閃々
(
せんせん
)
とひらめき合う。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「これこそ馬超だろう」と思いこんで、
閃々
(
せんせん
)
、刀を舞わして、
喚
(
おめ
)
きかかった。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
剣の光は
閃々
(
せんせん
)
と乱れて見えたが、その時、ここ、もちの木坂の一地点——ほとんど、人と人と人と人とのかたまりが、一個の
野晒
(
のざらし
)
をあばき合う
狼群
(
ろうぐん
)
のごとく眺められて、さしも、法月弦之丞
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼が、松平家の鋲門の前を、とつおいつして迷っている頃、早くも、芝田村町の角を曲った京極家の家臣七騎は、
閃々
(
せんせん
)
たる手槍、
抜刀
(
ぬきみ
)
の片手綱で、愛宕を指して
驀
(
まっ
)
しぐらに飛ばして来ている。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とふり込んでくる脇差の乱れ打ち、
閃々
(
せんせん
)
、たばしる氷雨か、石火の稲妻。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
閃々
(
せんせん
)
と横に光を刻んでくるのは白刃である。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
左右の草むらにも
閃々
(
せんせん
)
たる
伏刃
(
ふくじん
)
。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
閃々
(
せんせん
)
、
偃月
(
えんげつ
)
の青龍刀。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
閃
漢検準1級
部首:⾨
10画
々
3画
“閃々”で始まる語句
閃々晃々
閃々燦々