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遺恨
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いこん
ふりがな文庫
“
遺恨
(
いこん
)” の例文
相手の吉良を、討ち損じた事だけは、
遺恨
(
いこん
)
に存ずるが、かくなる上は、もはや
女々
(
めめ
)
しい振舞はいたさぬ。お気づかいなく、お放し下さい
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あの試合に殺気を立てたのはみんな浜という女のなす
業
(
わざ
)
じゃ、文之丞が突いた
捨身
(
すてみ
)
の
太刀先
(
たちさき
)
には、たしかに恋の
遺恨
(
いこん
)
が見えていた
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
帰ってしまった
後
(
あと
)
は惣次郎は怖くって
他
(
た
)
へは出られません、安田一角は喧嘩の
遺恨
(
いこん
)
、衆人の中で恥を掻いたから惣次郎は助けて置かぬ
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
若
(
も
)
しお由の死から国太郎との秘密が知れたが最後、深い中年者の恋の
遺恨
(
いこん
)
で、どんな
惨忍
(
ざんにん
)
な
復讐
(
ふくしゅう
)
が加えられることであろう。
白蛇の死
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
殺せしとの仰せなれども右平兵衞儀は
豫々
(
かね/″\
)
世話にも
相
(
あひ
)
なり
居
(
をり
)
しことゆゑ私し儀
恩
(
おん
)
をこそ報い申べきに何の
遺恨
(
いこん
)
ありて
切害
(
せつがい
)
致さんや又鎌倉屋金兵衞とやらを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
意趣
(
いしゅ
)
も
遺恨
(
いこん
)
もない通りがかりの人間を斬り倒して、刀の斬れ味を試すという乱暴な侍のいたずらであった。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「お父さんはそんな、
恨
(
うらみ
)
を受ける様な事をしていたのかい。新聞には
遺恨
(
いこん
)
の殺人らしいと出ていたが」
疑惑
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それに
物奪
(
ものと
)
りだか、
遺恨
(
いこん
)
だかとにかく先生を殺した奴は診察所の窓から入って、書生部屋の前を通り、書斎へ入って、
背後
(
うしろ
)
から先生を文鎮で一打ちに殺して置いて
ニッケルの文鎮
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
一座の者は六郎と朝雅をやっとなだめてその場を収めたが、朝雅はそれを
遺恨
(
いこん
)
に思って、牧の方に云ったので、牧の方は時政に畠山親子に
逆心
(
ぎゃくしん
)
があると云って
讒言
(
ざんげん
)
した。
頼朝の最後
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「
斬裂人
(
リッパア
)
のジャック」と呼ばれ、また、自分でもそう名乗っていたこの男は、いったい何者であったか? ある種の女たちになにか特別の
遺恨
(
いこん
)
を蔵していた殺人狂だったのか。
女肉を料理する男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
実は少納言様の北の
方
(
かた
)
と大殿様との間に御生まれなすったので、父君の御隠れなすったのも、恋の
遺恨
(
いこん
)
で大殿様が毒害遊ばしたのだなどと申す
輩
(
やから
)
も出て来るのでございましょう。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
十四世紀の後半にエドワード三世の
建立
(
こんりゅう
)
にかかるこの三層塔の一階室に
入
(
い
)
るものはその入るの瞬間において、百代の
遺恨
(
いこん
)
を結晶したる無数の
紀念
(
きねん
)
を周囲の壁上に認むるであろう。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
全体大原が女に向って野心を起すとは
滑稽
(
こっけい
)
だね。僕の考えにはどうせ滑稽で
成立
(
なりた
)
っているからこの半襟も滑稽的の物を択んだ方がいい。僕らは大原に対して
平生
(
へいぜい
)
少し
遺恨
(
いこん
)
があるぜ。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
ただし
討
(
う
)
たれ
候
(
そろ
)
横田清兵衛が子孫
遺恨
(
いこん
)
を
含
(
ふく
)
みいては相成らずと仰せられ候。
興津弥五右衛門の遺書
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
争いを挑んできた
遺恨
(
いこん
)
の種はわかっていた。
討たせてやらぬ敵討
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
遺恨
(
いこん
)
に思って、それから後は、事ごとに、貴様たちが、わしの一家を
陥
(
おとしい
)
れようと計っていたに違いない。噂は、俺の耳に入っている
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あの花魁のは
抉
(
えぐ
)
ってあるんだそうですから、何か
遺恨
(
いこん
)
があって、つまり恋の恨みだろうと言って、
専
(
もっぱ
)
らの評判でございますよ
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
喧嘩
(
けんか
)
でもしたか、
不埓
(
ふらち
)
な奴だ、出世前の大事の身体、殊に
面体
(
めんてい
)
に疵を受けているではないか、
私
(
わたくし
)
の
遺恨
(
いこん
)
で身体に疵を付けるなどとは不忠者め
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
おせいこそ
下手人
(
げしゅにん
)
である
旨
(
むね
)
を、如何程か書き度かったであろうに、不幸そのものの如き格太郎は、それさえ得せずして、
千秋
(
せんしゅう
)
の
遺恨
(
いこん
)
を
抱
(
いだ
)
いて、ほし固って了ったのである。
お勢登場
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「菊地半九郎はそれほど卑怯な男でない。さしたる
意趣
(
いしゅ
)
も
遺恨
(
いこん
)
もないに、朋輩ひとりを殺したからは、いさぎよく罪を引受けるが武士の道だ。ともかくも市之助に逢って分別を決める」
鳥辺山心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
これは
折角
(
せっかく
)
の
火炙
(
ひあぶ
)
りも何も、見そこなった
遺恨
(
いこん
)
だったかも知れない。さらにまた伝うる所によれば、悪魔はその時大歓喜のあまり、大きい書物に
化
(
ば
)
けながら、
夜中
(
よじゅう
)
刑場に飛んでいたと云う。
おぎん
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
本多家や、松平家や、その他の寄手に、当藩と何の
遺恨
(
いこん
)
があるのじゃ。憎めもせぬ人間と戦えるほどおぬし等は
野蛮
(
やばん
)
なのか。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
丹後守は、兵馬から机竜之助の身の上と、兄が
遺恨
(
いこん
)
のあらましを聞いて、兵馬の来ることの遅いのをくやんだが
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
いえ、優しい
気立
(
きだて
)
でございますから、
遺恨
(
いこん
)
なぞ受ける筈はございません。
藪の中
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そうともさ、
俺
(
おら
)
あこの
遺恨
(
いこん
)
はどうあっても忘れるこたあ出来ねえ。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
年甲斐もないと申して
直
(
すぐ
)
に
暇
(
いとま
)
を出しました、
就
(
つ
)
いては喧嘩両成敗の
譬
(
たとえ
)
の通り、御当家の孝助も定めてお暇になりましょう、家来の身分として
私
(
わたくし
)
の
遺恨
(
いこん
)
を
以
(
もっ
)
て喧嘩などをするとは以ての
外
(
ほか
)
の事ですから
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
いいか、まだ先の道は三、四町あるから、
急
(
せ
)
かずにおれのいうことを聞きねえ。いわば、そッちの文句は
逆恨
(
さかうら
)
みで、あの晩の
遺恨
(
いこん
)
はおれの方にある。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかしこんな時代遅れの議論は誰の耳にも
止
(
とま
)
るはずはない。のみならず新聞のゴシップによると、その代議士は数年以前、動物園を見物中、猿に
尿
(
いばり
)
をかけられたことを
遺恨
(
いこん
)
に思っていたそうである。
猿蟹合戦
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
おっしゃいます、ほかの意趣や
遺恨
(
いこん
)
とちがいまして、相手はかりそめにも土地のお代官でございます、ここまで来られたのが不思議なくらいでございますが、どう間違っても
国境
(
くにざかい
)
へ出るまでには、きっと捕まってしまいます
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
信長へ通じたいと思う者は、遠慮なく彼に従って去るがいい。古今に例のないことでもないから、今のうちならば隆景も、さまで
遺恨
(
いこん
)
にはふくまぬであろう
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分の
遺恨
(
いこん
)
は、自分でかえすよ。おれがいちばん
堪
(
たま
)
らないのは、自分のことじゃない、亀田さんのことさ。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
してみれば、伊那丸一族は、この呂宋兵衛にも、龍巻にとっても、
遺恨
(
いこん
)
のつもりかさなるやつ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「うわッ
面
(
つら
)
なあげ足をとるな! それまで深い
遺恨
(
いこん
)
はもてぬといったまでの
分
(
ぶん
)
ではないか」
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いかなる
遺恨
(
いこん
)
も、
憤怒
(
ふんぬ
)
も、久米一の芸術の前には、
自
(
おのずか
)
ら頭を下げずにいられなかった。
増長天王
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ほかではないが、ふたりの
遺恨
(
いこん
)
を、きょうからこの
独楽
(
こま
)
にあずけてしまって、たがいに、討つか討たれるか、
命
(
いのち
)
のやり取りをしようという時には、この独楽で勝負をしてもらいたい。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わしの面目など、
何
(
ど
)
うだっていい。口惜しいのは、もっと大きな事だ。兄に会ったら明らさまに、きょうの
仔細
(
しさい
)
を伝えておけよ。……よ! よ! ……
穿
(
は
)
き違えて、
遺恨
(
いこん
)
を含んじゃならぬぞよ。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一挙に速戦即決を迫らんとしていたのが、ついにその事の半ばに、敵甲軍の盛返すところとなったので、謙信の悲壮極まる覚悟のほどを思いやれば、彼の
遺恨
(
いこん
)
に対して
一掬
(
いっきく
)
の悲涙なきを得ない。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その事だの、遠い前の事だの、
種々
(
いろいろ
)
と、
遺恨
(
いこん
)
が積っているから、清麿のやつを斬ってしまわなければならない。今夜は斬り込むのだと、ゴロ浪人まで入れて、
刈豆店
(
かりまめだな
)
の居酒屋で飲んで居ますとさ。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
意趣
(
いしゅ
)
か
遺恨
(
いこん
)
か、何でおれの足をすくった!」
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“遺恨”の解説
遺恨
(出典:Wikipedia)
遺
常用漢字
小6
部首:⾡
15画
恨
常用漢字
中学
部首:⼼
9画
“遺恨”で始まる語句
遺恨試合
遺恨角力