“虚 (きよ)” の例文
〔譯〕雅事(がじ)多くは是れ虚(きよ)なり、之を雅(が)と謂うて之に耽(ふけ)ること勿れ。俗事却て是れ實なり、之を俗と謂うて之を忽(ゆるがせ)にすること勿れ。
千登世の意見は単純であつたが、何処か虚(きよ)をついたところがあると見え、鬼頭も、深水も、ややうろたへ気味であつた。
双面神 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
師走(しはす)の算段(さんだん)に驅(か)け𢌞(まは)つて五味坂(ごみざか)で投出(なげだ)された、此(こ)の時(とき)は、懷中(くわいちう)げつそりと寒(さむ)うして、心(しん)、虚(きよ)なるが故(ゆゑ)に、路端(みちばた)の石(いし)に打撞(ぶつ)かつて足(あし)の指(ゆび)に怪我(けが)をした。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
然(しか)しながら彼(かれ)はつく/″\と忌々敷(いま/\し)い其(その)心持(こゝろもち)に熟(じゆく)して居(ゐ)ながら自分(じぶん)も亦(また)他(た)の虚(きよ)に乘(じよう)ずることを敢(あへ)てするのであつた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
(三六)亢(かう)を批(う)ち虚(きよ)を擣(つ)き、(三七)形(かたち)格(そむ)き勢(いきほひ)禁(きん)ずれば、則(すなは)ち自(おのづか)ら爲(た)めに解(と)けん耳(のみ)。今(いま)梁(りやう)・趙(てう)・相攻(あひせ)む。輕兵(けいへい)鋭卒(えいそつ)、必(かなら)ず外(そと)に竭(つ)き、(三八)老弱(らうじやく)内(うち)に罷(つか)れん。
九郎兵衞とても訴(うつた)へは爲まじ虚(きよ)は實(じつ)を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ちよろりと足許(あしもと)をなめられはしないかと、爪立(つまだ)つほどに、心(しん)が虚(きよ)して居(ゐ)るのだから、だらしはない。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
吾(われ)之(これ)を聞(き)く、良賈(りやうこ)は(四)深(ふか)く藏(ざう)して・虚(きよ)なるが若(ごと)く、君子(くんし)は盛徳(せいとく)ありて容貌(ようばう)愚(ぐ)なるが若(ごと)しと。子(し)の(五)驕氣(けうき)と多欲(たよく)と(六)態色(たいしよく)と(七)淫志(いんし)とを去(さ)れ。是(こ)れ皆(みな)子(し)の身(み)に益(えき)無(な)し。
君(きみ)、兵(へい)を引(ひ)いて疾(と)く大梁(たいりやう)に走(おもむ)き・(三九)其街路(そのがいろ)に據(よ)り・其方(そのまさ)に虚(きよ)なるを衝(つ)くに若(し)かず。彼(かれ)必(かなら)ず趙(てう)を釋(す)てて自(みづか)ら救(すく)はん。是(こ)れ我(われ)一擧(きよ)して趙(てう)の圍(かこ)みを解(と)きて、(四〇)弊(へい)を魏(ぎ)に收(をさ)むる也(なり)