船乗ふなの)” の例文
旧字:船乘
船乗ふなのびとには、しまとしてられています。しまにはうつくしいむすめたちがいて、つきのいいばんには、みどり木蔭こかげおどるということでした。
船の破片に残る話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかも、お母さんにこりもせず、船乗ふなのりのお婿むこさんもらったりして、損した。このごろみたいに防空演習ぼうくうえんしゅうばっかりあると、船乗りのよめさん、いのちちぢめるわ。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
英虞あごうら船乗ふなのりすらむをとめ珠裳たまもすそしほつらむか 〔巻一・四〇〕 柿本人麿
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
それをぼさぼさ頭にのせたところを見ると、型はくずれているが、船乗ふなのりの帽子だった。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
船乗ふなのりは、おきから、おみやのあるやまをながめておそれました。よるになると、このうみうえは、なんとなくものすごうございました。
赤いろうそくと人魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
熟田津にぎたづ船乗ふなのりせむと月待つきまてばしほもかなひぬいまでな 〔巻一・八〕 額田王
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
おじいさんは、このあたりでは、だれ一人ひとり、「うみおうさま」といえば、らぬものはないほど、船乗ふなのりの名人めいじんでありました。
一本の銀の針 (新字新仮名) / 小川未明(著)
むすめ父親ちちおやは、船乗ふなのりでしたから、いつも、留守るすでありました。そのあいだ彼女かのじょは、おとうさんをこいしがっていたのです。
お父さんの見た人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
うみおうさま」と、おじいさんが、みんなからいわれたということをくと、あには、どうかして自分じぶん船乗ふなのりの名人めいじんになりたいものだとかんがえたのです。
一本の銀の針 (新字新仮名) / 小川未明(著)
平常ふだんしずかな山蔭やまかげみなとも、あらしのにはじつに気味悪きみわるみなとでありました。船乗ふなのりらはこのいしおとをきくと、ひやりとからだじゅうがさむくなるといいます。
カラカラ鳴る海 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぼくは、どうしてもおじいさんにおねがいして、船乗ふなのりにしてもらいたい。」と、あには、いもうとかっていいました。
一本の銀の針 (新字新仮名) / 小川未明(著)
むかしさけかなにかはいって、わたってきたらしくもあれば、また、おじいさんが、船乗ふなのりをしていなさる時分じぶん、どこかでにいれたものらしくもおもわれました。
びんの中の世界 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あおあおうみはどうどうと波高なみたかひびいています。見渡みわたすとはてしもない。そのうみにいって船乗ふなのりになった龍雄たつおは、いま、どこを航海こうかいしていることでしょう。
海へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
「どうせ、故郷こきょうにいることができないなら、いっそのことうみへいって船乗ふなのりになりたいとおもいます。」
海へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
おまえのおじいさんは、有名ゆうめい船乗ふなのりだった。しかし、としられてから、もうろくをなさって、毎日まいにち、あちらのやまほうて、うみから、だれかびにくるはずじゃといっていられた……。
びんの中の世界 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おれもはやく、こんな船乗ふなのりなんかやめて、おかがりたいとおもっているよ。いくら、なか文明ぶんめいになったって、こうしてふねにばかりっているんでは、ありがたみがわからないじゃないか。
船の破片に残る話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
正坊まさぼうのおじいさんは、有名ゆうめい船乗ふなのりでした。としをとって、もはや、航海こうかいをすることができなくなってからは、うちにいて、ぼんやりとわか時分じぶんのことなどをおもいして、らしていられました。
びんの中の世界 (新字新仮名) / 小川未明(著)
このはなしとおくのむらまでひびきました。遠方えんぽう船乗ふなのりや、また漁師りょうしは、かみさまにあがった、いたろうそくのえさしをれたいものだというので、わざわざとおいところをやってきました。
赤いろうそくと人魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
船乗ふなのりが、つようなのさ。」
緑色の時計 (新字新仮名) / 小川未明(著)