耳元みゝもと)” の例文
見て餘所よそながらなる辭別いとまごひ愁然しうぜんとして居たる折早くも二かうかね耳元みゝもとちかく聞ゆるにぞ時刻じこく來りと立上りおとせぬ樣に上草履うはざうりを足に穿うがつて我家を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
耳元みゝもと近くからおそろしいきいろい声が、「かはるよ———ウ」とさけび出した。見物人が出口のはうへとなだれを打つてりかける。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
あいちやんは此時このときまでに、まつた公爵夫人こうしやくふじんわすれてしまつてゐたので、耳元みゝもと夫人ふじんこゑいたときにはすこしくおどろきました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
あのひめ美麗あてやかさで、かゞや燭火ともしびまただんかゞやくわい! よるほゝ照映てりはゆるひめ風情ふぜいは、宛然さながら黒人種エシオツプ耳元みゝもと希代きたい寶玉はうぎょくかゝったやう、使つかはうにはあま勿體無もったいな
耳形みゝがた𣠽つかつかんでそのけんをおきゃれ、はやうせぬと乃公おれけん足下おぬし耳元みゝもとへお見舞みままうすぞ。
つてうさぎ氣遣きづかはしげに自分じぶんかた幾度いくどました、それから爪先つまさきあがり、あいちやんの耳元みゝもとちかくちせて、『あいちやんが死刑しけい宣告せんこくもとにある』とふことをさゝやきました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
力と頼みて夜道をも子故のやみにたどりつゝ三次が後に引添ひきそひ歸らぬ旅路へ赴むくと虫が知らすか畔傳あぜづたひつたはる因果の耳元みゝもと近く淺草寺の鐘の音も無常むじやうを告る後夜ごやの聲かねて覺悟の早乘三次長脇差ながわきざし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ちやうさん、ぼくは役者だよ。」と顔をさし出して長吉ちやうきち耳元みゝもとさゝやいた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
あるひは兵卒へいそつ頸筋元くびすぢもと駈𢌞かけまはる、するとてきくびゆめやら、攻略のっとりやら、伏兵ふせぜいやら、西班牙イスパニア名劍めいけんやら、底拔そこぬけ祝盃しゅくはいやら、途端とたん耳元みゝもと陣太鼓ぢんだいこ飛上とびあがる、さます、おびえおどろいて、一言二言ひとことふたこといのりをする