織物おりもの)” の例文
このあめあがつて、日脚ひあしがさつとちや障子しやうじしたとき御米およね不斷着ふだんぎうへへ、めういろ肩掛かたかけとも、襟卷えりまきともかない織物おりものまとつてそとた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
されば織物おりものの清白なる越後の白縮しろちゞみまされるはなし、ことさら此辺は白縮しろちゞみさんする所なり、以て其水の至清しせいなるをしるべし。
そして、その顔の黄色い皮膚ひふと、机掛つくえかけの青い織物おりものとの間から、椿つばきの様に真赤な液体が、ドクドクと吹き出していた。
灰神楽 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
あるのこと、おんな織物おりものって、まちりにかけようとする漁師りょうしかって、べつに、一たん織物おりものして
はまねこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
まえむすめたいそううつくしい織物おりものるという評判ひょうばんだ。おしろ殿とのさまと奥方おくがたが、おまえむすめはたるところがたいというおおせだから、このかごにっててもらいたい。
瓜子姫子 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
平常吾々が生活に用いるものをすべて訪ねたいと思います。焼物やきものもあり、染物そめものもあり、織物おりものもあり、金物かなものもあり、塗物ぬりものもあり、また木や竹や革や紙の細工などもあるでしょう。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
『あのみどり織物おりものみんなんでせう?』とつてあいちやんは
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
ふわりとれた織物おりものの下で
されば織物おりものの清白なる越後の白縮しろちゞみまされるはなし、ことさら此辺は白縮しろちゞみさんする所なり、以て其水の至清しせいなるをしるべし。
わざ/\仏蘭西ふらんすにゐる義妹いもうとに注文して、六づかしい名のつく、頗る高価な織物おりものを取寄せて、それを四五人でつて、帯に仕立てゝて見たりなにかする。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
おんなは、織物おりものはいった、おおぶろしきのつつみをしょって、街道かいどうあるいて、まちることもありました。
ちょうと三つの石 (新字新仮名) / 小川未明(著)
およそ織物おりもの専業せんげふとする所にては、織人はたおりかゝへおきておらするを利とす。ちゞみにおいてはべつき一国の名産なれども、織婦はたおりをんなかゝへおきておらする家なし。
燭台しょくだいふるいのや、南洋なんよう土人どじんったような織物おりものや、またオランダあたりからきたつぼや、支那人しなじん腰掛こしかけていたような椅子いすや、ストーブのさびたのなどまでかれてありました。
お父さんの見た人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ちゞみのみにはかぎらず織物おりものはすべてしかならんが、目前もくぜんみるところなればいふ也。かゝる縮をわづかあたひにて自在じざい着用ちやくようするはぞくにいふ安いもの也。
とりはねうつくしく、ちょうどうつくしい織物おりものか、またいろどられたるようにはなやかであったけれど、からすはくろで、そのからだにはめずらしい、うつくしい、色彩しきさいもついていませんでした。
からすの唄うたい (新字新仮名) / 小川未明(著)