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継子
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ままこ
ふりがな文庫
“
継子
(
ままこ
)” の例文
旧字:
繼子
おまけに面倒なことは其の人が二度添いで、迷子にしたのは先妻の子供、自分にとっては
継子
(
ままこ
)
ですから、なおなお義理が立ちません。
半七捕物帳:10 広重と河獺
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
鷲尾が物心地つく頃には、彼の両親は小作田さえ持たなかったし、彼はいわばこの田圃の「
継子
(
ままこ
)
」として育ったようなものだ。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
一はまた
継子
(
ままこ
)
とて愛せぬものかと世間に見せたき心も——ありて、父の愛の姉に注げるに対しておのずから味方を妹に求めぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
何しろ、筑阿弥は、呑ンベで、
博奕
(
ばくち
)
ずきで、怠け者で、
継子
(
ままこ
)
だろうが実子だろうが、子どもへの愛情なんてものは、家で見せたことがない。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
仲人は妹が常陸家の
継子
(
ままこ
)
の姫君の女房をしている関係で、恋の手紙なども取り次がせ始めたのであったが、守に直接
逢
(
あ
)
ったこともないのだった。
源氏物語:52 東屋
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
▼ もっと見る
もうそろそろ涼しくなりかけた頃、母は一ばん小さい
継子
(
ままこ
)
をつれて遊びに来た。あれほど呪った母ではあったが、母がやっぱり
懐
(
なつか
)
しくはあった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
武右衛門君のおやじさんがいかにやかましくって、おっかさんがいかに君を
継子
(
ままこ
)
あつかいにしようとも、あんまり驚ろかない。驚ろくはずがない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
叔父叔母はしかし、順平をわざ/\
継子
(
ままこ
)
扱いにはしなかった。そんな暇もないといった顔だった。
奇体
(
けったい
)
な子供だと思っても、深く心に止めなかった。
放浪
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
私は神の
継子
(
ままこ
)
。ものごとを未解決のままで神の裁断にまかせることを嫌う。なにもかも自分で割り切ってしまいたい。
もの思う葦:――当りまえのことを当りまえに語る。
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
そんなふうに思いだしたのは、自分の身の上を知るまえのことで、決して自分だけが
継子
(
ままこ
)
あつかいにされたとか、冷淡にされたとかいうわけではない。
やぶからし
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それが困難であればこそ従来の自然探究者から選み残され
継子
(
ままこ
)
扱いにされて昔のままにわれわれの眼前にそのだらしのない姿を横たえているのである。
量的と質的と統計的と
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
十九の時あやめを生んで、今年は三十七、
継子
(
ままこ
)
のお百合よりは、遥かに美しく、若々しくさえ見える内儀ぶりです。
銭形平次捕物控:090 禁制の賦
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ふーむ。やっぱり
継子
(
ままこ
)
なのか」。媒酌人は念を押すように、そう言って、それから次のように言いました。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「安死術」の方も
継子
(
ままこ
)
いじめがあまりに深刻で、『先代萩』の政岡の場でも見るような印象を与えられる。
四月号の創作三つ
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
妬
(
ねた
)
み深い女房の魂が化してこの鳥と成ったという説があり、一方には東京近くの
青梅
(
おうめ
)
・八王子あたりの田舎では、
継子
(
ままこ
)
のひがみから疑って弟を殺したと称して
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
カトマンズまでの行路 その紳士の名はブッダ・バッザラ(
覚金剛
(
かくこんごう
)
)その老僧はラサ府レブン大寺の博士でマーヤル(
継子
(
ままこ
)
)というなかなか
剽軽
(
ひょうきん
)
なお方でした。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
この
継子
(
ままこ
)
を、内儀さんがその父親の前で
打
(
ぶ
)
ったり毒突いたりしても、爺さんは見て見ない振りをしていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
継子
(
ままこ
)
殺しの嫌疑をかけるために、どちらから考えても、都合のよい変装という妙案を思いついたのだ。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
(お妾のお妻さん)(
割
(
わり
)
鹿
(
か
)
の
子
(
こ
)
のお京さん)——極彩色の中の一人、(薄墨の絵のお銀さん)——
小銀
(
こぎん
)
のむかし話を思わせます——
継子
(
ままこ
)
ではないが、預り娘の
掛人居候
(
かかりゅうどいそうろう
)
。
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
殊
(
こと
)
に母親は、あの児は隣近所での評判が馬鹿によく、弟や妹たちまでがあの児の味方をする始末で、ややともすると自分一人が
継子
(
ままこ
)
扱いでもしているように誤解される
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
憖
(
なまじ
)
ひ
継子
(
ままこ
)
などに生れたらんよりは、かくて在りなんこそ
幾許
(
いかばかり
)
か
幸
(
さいはひ
)
は多からんよ、と知る人は
噂
(
うはさ
)
し合へり。隆三夫婦は
実
(
げ
)
に彼を恩人の忘形見として
疎
(
おろそか
)
ならず取扱ひけるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「それは跡へ綺麗なおっ母さんが来て、面倒を見てくれますでしょう。
継子
(
ままこ
)
になるのだけど」
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
母は父の後妻で父とは年が二十以上も若かったそうで、顔も心も美しく、君子が生まれる前に死んだ、君子にとっては異母兄である
継子
(
ままこ
)
をとても可愛がったということである。
抱茗荷の説
(新字新仮名)
/
山本禾太郎
(著)
後妻と云うのは、気質の従順な、
何時
(
いつ
)
も愉快そうな顔をしている女で、
継子
(
ままこ
)
に対しても真の母親のような愛情を見せたので、継子も非常に
懐
(
なつ
)
いて、所天も安心することができた。
藍微塵の衣服
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
その外
継子
(
ままこ
)
、貰子、拾子等実子でない場合が数えられるけれども、いかに実子でないと云っても、他人に手渡して行衛が分らなくなったのを、そのままにして置く気遣いはない。
愛の為めに
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
同時にこの大学みたように精神病科を
継子
(
ままこ
)
扱いにする学校は、全然無価値なものになってしまうのです。……ですから、それを楽しみにして、
精々
(
せいぜい
)
長生をして待っていらっしゃい。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
宿内の旦那衆仲間からはいくらか
継子
(
ままこ
)
扱いにされるあの伊之助のほかになかった。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
始終葉子から
継子
(
ままこ
)
あつかいにされている愛子さえ、葉子の前にはただ従順なしとやかな少女だった。愛子としても少なくとも一つはどうしてもその姉に感謝しなければならない事があった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
富三は母親ふさの
継子
(
ままこ
)
であって、富三の腹ちがいの弟に、家の財産を譲りたいために(父親は数年前に亡くなりました)富三を山奥に連れていって殺し、栄吉が金を持って逃げだしたと聞いて
頭蓋骨の秘密
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
どっちつかずの
継子
(
ままこ
)
扱いを、両方の山岳会から受けていること(あたかも日本アルプスや、秩父山脈が、登山家の興味の中心になって、離群別居の富士山が、大分閑却される傾向があるように)
火と氷のシャスタ山
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
同志と称する者がかう云ふ間違つた見方をした丈であるならまだよかつたが、政治家の多数が亦観察を誤つた。そして
謬見
(
びうけん
)
を抱いて社会の
継子
(
ままこ
)
となつた人人に対して、謬見を抱いた政治が施された。
計画
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
この長き月日を冷たい、暗い喧騒な寮に
燻
(
くすぶ
)
って浮世の花やかさに、憧れたりしわが友よ、僕は君を哀れに思う。かくのごとくして歓楽に
惝怳
(
しょうけい
)
する君は歓楽から
継子
(
ままこ
)
扱いにされねばならなかったのだ。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
監督も、雑夫長も病人には、
継子
(
ままこ
)
にでも対するようにジリジリと陰険だった。「肉詰」をしていると追い立てて、甲板で「爪たたき」をさせられる。それを
一寸
(
ちょっと
)
していると「紙巻」の方へ廻わされる。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
一口
(
ひとくち
)
でいうと、彼らは本当の母子ではないのである。なお誤解のないように
一言
(
いちげん
)
つけ加えると、本当の母子よりも
遥
(
はる
)
かに仲の好い
継母
(
ままはは
)
と
継子
(
ままこ
)
なのである。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
昔からある
継母
(
ままはは
)
話のように、表面だけを賢そうにして
継子
(
ままこ
)
の世話をする、それはまあよいと見られている母親も、また曲がった心で娘を苦しめている母親も
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
しかし其月の折檻は普通の
継子
(
ままこ
)
いじめなどのように、打ったり蹴ったり
抓
(
つね
)
ったりするのではありません。
半七捕物帳:36 冬の金魚
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ところが、そんな
優
(
やさ
)
しい母親が、近所の大人たちに言わせると
継母
(
ままはは
)
なのです。この子どこの子、ソバ屋の
継子
(
ままこ
)
、上って遊べ、茶碗の欠けで、頭カチンと張ってやろ。
アド・バルーン
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
「だから、お内儀のお篠が、自分とあまり年の違わない
継子
(
ままこ
)
の幾太郎を殺すつもりで、間違って梅吉を殺したとしたら、わざわざ櫛なんかおいて来るはずはあるまい」
銭形平次捕物控:107 梅吉殺し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
継子
(
ままこ
)
のようにぽつねんと在って、その姿はどうしても自然とはべつ物の存在としか見えなかった。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
人々は半ば椅子より立ちて「いみじき
戯
(
たわぶれ
)
かな、」と一人がいへば、「われらは
継子
(
ままこ
)
なるぞくやしき、」と
外
(
ほか
)
の一人いひて笑ふを、よそなる卓よりも、皆興ありげにうち
守
(
まも
)
りぬ。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
少年は
継子
(
ままこ
)
の様におじけた声で聞き返した。きっと狐みたいな目をしていたことであろう。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
肥後の
山鹿
(
やまが
)
では下宮の
彦嶽
(
ひこだけ
)
権現の山と、
蒲生
(
がもう
)
の不動岩とは兄弟であったといっております。権現は
継子
(
ままこ
)
で母が大豆ばかり食べさせ、不動は実子だから小豆を食べさせていました。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
ええ、
串戯
(
じょうだん
)
にも、
氏神様
(
うじがみさま
)
の
知己
(
ちかづき
)
じゃと言わっしゃりましたけに、嘉吉を荷車に縛りましたのは、明神様の
同一
(
おなじ
)
孫児
(
まごこ
)
を、
継子
(
ままこ
)
扱いにしましたようで、
貴女
(
あなた
)
へも聞えが悪うござりますので。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
露子さんは
継子
(
ままこ
)
で、いつもお母さんからいじめられて泣いてばかりいました。
キキリツツリ
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
海若藍平
(著)
どこかやんばらなようなところのある内儀さんは、
継子
(
ままこ
)
がいなくなってからは、時々劇しくお爺さんに喰ってかかった。
喧嘩
(
けんか
)
をすると、じきに
菰冠
(
こもかぶ
)
りの呑み口を抜いて、コップで
冷酒
(
ひやざけ
)
をも
呷
(
あお
)
った。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
継子
(
ままこ
)
、継母という気持をもたれたらもうとりかえしがつかぬ、そう思いつくと、こんどの結婚でいちばん大切なのはその点だということがはっきりしてきて、追いつめられるような不安にかられた。
日本婦道記:桃の井戸
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その衝動を社会は今
継子
(
ままこ
)
扱いにはしているけれども——そして社会なるものは性質上多分永久にそうであろうけれども——その何処かの一隅には必ず潜勢力としてそれが伏在していなければならぬ。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
このむすこも娘も主婦さんの
継子
(
ままこ
)
だそうです。
先生への通信
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
自分の前に立って居るのは、三年前自分が此邸に入り込んで来た時、どうしても自分を母親と呼ぶのがいやだと言って、当もなく飛出してしまった剛情な
継子
(
ままこ
)
の顔です。
悪魔の顔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
けれども、
其
(
そ
)
の奥様は大層お優しい方で、わが
産
(
うみ
)
の児よりも
継子
(
ままこ
)
の御総領の方を大層可愛がって、
俗
(
よ
)
にいう
継母
(
ままはは
)
根性などと云う事は少しもない、誠に
気質
(
きだて
)
の美しい方でした。
画工と幽霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
“継子”の意味
《名詞》
「ままこ」参照。
(出典:Wiktionary)
継
常用漢字
中学
部首:⽷
13画
子
常用漢字
小1
部首:⼦
3画
“継子”で始まる語句
継子根性
継子岳
継子立
継子等
継子話