漫々まん/\)” の例文
豐岡とよをかからあひだ夕雲ゆふぐも低迷ていめいして小浪さゝなみ浮織うきおりもんいた、漫々まん/\たる練絹ねりぎぬに、汽車きしやまどからをのばせば、あし葉越はごしに、さはるとれさうなおもひとほつた。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
漫々まん/\たる海洋かいやううへ金銀きんぎん財寳ざいほう滿載まんさいせるふねみとめたときには、ほうまた衝角しようかくをもつて一撃いちげきもとそのふね撃沈げきちんし、のち潜水器せんすいきしづめてその財寳ざいほう引揚ひきあげるさうである。
むかし、支那しな莊周さうしうといふひとは、ゆめ胡蝶こてふつたとはなしがありますが、ゆめなればこそ、漫々まん/\たる大海原おほうなばら徒渉かちわたりすることも出來できます、空飛そらととり眞似まね出來できます。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
そも/\、此山と申すは、南は野山漫々まん/\として百餘里に及び、北は身延山高く峙ちて白根が嶽につづき、西には七めんと申す山峨々がゝとして白雪絶えず、人の住家一もなし、たま/\
沙漠はたんの色にして、波漫々まん/\たるわだつみの
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
舞下まひさがりて、漫々まん/\たる大海だいかいへぼかん!
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
中洲なかずと、箱崎はこざきむかうにて、隅田川すみだがは漫々まん/\渺々べう/\たるところだから、あなたおどろいてはいけません。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたくしおもはずひざたゝいた。短慮たんりよ一徹いつてつ武村兵曹たけむらへいそううでならして、漫々まん/\たる海洋かいやうにらまわしつゝ
はツ/\とやつして、漫々まん/\たるおほきなかはの——それは庄川しやうかはであらうとおもふ——はしで、がつかりしてよわつてところを、船頭せんどうなかば好意かういせられて、ながれくだりに伏木ふしきわたつた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さひはひ、沈沒ちんぼつ間際まぎわに、貴方あなたげてくださつた浮標うきにすがつて、なみのまに/\たゞよつてうちその翌朝よくあさになつてると、漫々まん/\たる大海原おほうなばらはる彼方かなたに、昨夜さくや海賊船かいぞくせんらしい一艘いつそうふね