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渡
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わたり
ふりがな文庫
“
渡
(
わたり
)” の例文
この俳句にては「
渡
(
わたり
)
」の字の意義を転用しておぢやるといふ事には用ゐず、橋を渡るの渡る意に用ゐ、以て口あひとなしたるなり。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
其處からおいでになつて、
走水
(
はしりみず
)
の海をお渡りになつた時にその
渡
(
わたり
)
の神が波を立てて御船がただよつて進むことができませんでした。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
万年町の縁の下へ
引越
(
ひっこ
)
すにも、
尨犬
(
むくいぬ
)
に
渡
(
わたり
)
をつけんことにゃあなりませぬ。それが早や出来ませぬ
仕誼
(
しぎ
)
、一刻も猶予ならぬ
立退
(
たちの
)
けでござりましょう。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今猪野のお辞儀した
渡
(
わたり
)
弁護士も、担任弁護士の一人であり、彼によって東京の名流が、土地の法廷へも出張して、被告猪野の弁護にも
起
(
た
)
ったのであった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
六二
さしも伊吹の山風に、
六三
旦妻船
(
あさづまぶね
)
も
漕
(
こ
)
ぎ出づれば、
芦間
(
あしま
)
の夢をさまされ、
六四
矢橋
(
やばせ
)
の
渡
(
わたり
)
する人の
水
(
み
)
なれ
棹
(
さを
)
をのがれては、
六五
瀬田の橋守にいくそたびか追はれぬ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
▼ もっと見る
ぞ
催
(
もよほ
)
しけるが三日も
暮
(
くれ
)
はや四日と
成
(
なり
)
にける此日は
早天
(
さうてん
)
より
長閑
(
のどか
)
にて四方
晴渡
(
はれわた
)
り海上
青疊
(
あをだたみ
)
を敷たる如く
青
(
あを
)
めき
渡
(
わたり
)
ければ吉兵衞も
船頭
(
せんどう
)
も
船表
(
ふなおもて
)
へ出て四方を
詠
(
なが
)
め
波
(
なみ
)
靜
(
しづか
)
なる有樣を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
艫
(
とも
)
を擦り、
舷
(
ふなべり
)
を並べる、その数は幾百艘。
檣
(
ほばしら
)
は押並び押重なって遠くから見ると林のよう。出る船、入る船、積荷、荷揚げ。沖仲仕が
渡
(
わたり
)
板を渡って
筬
(
おさ
)
のように船と陸とを
往来
(
ゆきき
)
する。
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
折から向ふより庵僧とも覺しき
一個
(
ひとり
)
の僧の通りかゝれるに、横笛、
渡
(
わたり
)
に舟の思ひして
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
(ホ)谷方・渡方
因幡
(
いなば
)
八頭
(
やず
)
郡河原村大字谷一ツ木及び
渡
(
わたり
)
一
(
ひと
)
ツ
木
(
ぎ
)
、この地は大川に接しているから渡は文字通りにも解することができるが、ワダは必ずしも水辺には限らぬ地名である。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
むかしの『
澱川
(
よどがわ
)
両岸一覧』という絵本に、これより少し上流に狐の渡しという渡船場があったことを記して
渡
(
わたり
)
の長サ百十
間
(
けん
)
と書いているからここはそれよりもっと川幅がひろいかも知れない。
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「死」に
拂
(
はら
)
ふ
渡
(
わたり
)
のしろと、
船人
(
ふなびと
)
の
掌
(
て
)
にとらさむも。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
このときに
渡
(
わたり
)
の
媼
(
おうな
)
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
何だか気が
咎
(
とが
)
めたから入りにくくッていたんだけれど、深切にいっておくんなさるから、白状すりや
渡
(
わたり
)
に舟なんで、どうも凍えそうで
堪
(
たま
)
らなかった。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
かれその國より上り
行
(
い
)
でます時に、
浪速
(
なみはや
)
の
渡
(
わたり
)
一
を經て、青雲
二
の
白肩
(
しらかた
)
の津
三
に
泊
(
は
)
てたまひき。この時に、
登美
(
とみ
)
の
那賀須泥毘古
(
ながすねびこ
)
四
、軍を興して、待ち向へて戰ふ。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
正太郎今は
俯
(
ふ
)
して
九六
黄泉
(
よみぢ
)
をしたへども
九七
招魂
(
せうこん
)
の法をももとむる方なく、仰ぎて
古郷
(
ふるさと
)
をおもへば、かへりて
地下
(
ちか
)
よりも遠きここちせられ、
九八
前に
渡
(
わたり
)
なく、
後
(
うしろ
)
に
途
(
みち
)
をうしなひ
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
「死」に払ふ
渡
(
わたり
)
のしろと、
船人
(
ふなびと
)
の
掌
(
て
)
にとらさむも。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
山の神や、
小児連中
(
こどもれんじゅう
)
、
顎
(
あご
)
が干上るもんですから、
多時
(
しばらく
)
お
扶持
(
ふち
)
を頂いて来いって、こんなに申しますので、お
言語
(
ことば
)
は
渡
(
わたり
)
に舟、願ったり
叶
(
かな
)
ったりでございます。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
かれその軍、悉に破れて逃げ
散
(
あら
)
けぬ。ここにその逃ぐる軍を追ひ
迫
(
せ
)
めて、
久須婆
(
くすば
)
の
渡
(
わたり
)
一一
に到りし時に、みな迫めらえ
窘
(
たしな
)
みて、
屎
(
くそ
)
出でて、
褌
(
はかま
)
に懸かりき。かれ
其地
(
そこ
)
に名づけて
屎褌
(
くそはかま
)
といふ。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
そういう風だから
山手
(
のて
)
も下町も、
千住
(
せんじゅ
)
の床屋でまで追出されやあがって、王子へ
行
(
ゆ
)
きますとね、一体さきさき
渡
(
わたり
)
がついてるだけにこちとらの稼業はつきあいが難かしゅうがす
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
聾
(
つんぼ
)
ひがみの
向腹立
(
むかっぱらたち
)
が、何おのれで、
渡
(
わたり
)
をききも、尋ねもせず、
足疾
(
あしばや
)
にずかずかと
踏掛
(
ふんが
)
けて、二三間ひょこひょこ
発奮
(
はず
)
んで伝わったと思うと、左の足が、ずぶずぶと砂に潜った。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
渡
常用漢字
中学
部首:⽔
12画
“渡”を含む語句
鳥渡
渡船
渡世
沢渡
古渡
渡舟
世渡
申渡
譲渡
渡口
見渡
渡頭
渡船場
手渡
渡辺
渡渉
渡御
渡島
大渡
渡瀬
...