トップ
>
復讐
>
ふくしゅう
ふりがな文庫
“
復讐
(
ふくしゅう
)” の例文
ここに
於
(
おい
)
て楊博士の
復讐
(
ふくしゅう
)
は、ようやく成ったようであるが、その後、この広い
上海
(
シャンハイ
)
のなかに博士の姿を見た者は只の一人もなかった。
見えざる敵
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そうだ、私と同じように苦しめられている人々と一緒に苦しめている人々に
復讐
(
ふくしゅう
)
をしてやらねばならぬ。そうだ、死んではならない。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
それは、人間の本性がとうてい、冒涜を耐え忍ぶことのできないもので、結局、自分で自分にその
復讐
(
ふくしゅう
)
をするに決まっているからだ。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
彼は義理堅い継母からも、すすり泣く妻からも、傷ついた娘からも、自分で自分のしたことのつらい
復讐
(
ふくしゅう
)
を受けねばならなかった。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
諸国の志士を眼の
敵
(
かたき
)
にして、ろくに罪の有無もしらべずに酷に失した罰を加えるので、玄鶯院の身内に油然と
復讐
(
ふくしゅう
)
の血が沸き起こった。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
そうして、かつてはあれほど誓った
復讐
(
ふくしゅう
)
の決意も、殆んどかたちを失っていることを知った。慥かだろうか、と彼は自分に問いかけた。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
一家が受けた迫害に、
復讐
(
ふくしゅう
)
するばかりでなく、社会のために、人間全体のために、法律が罰し得ない悪魔を罰してやろうと思うのです。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
御意
(
ぎょい
)
にござりまする。いまこの小娘を血祭りにするときは、ふたたびまえにもてあましたる
野武士
(
のぶし
)
が、
復讐
(
ふくしゅう
)
に
襲
(
おそ
)
うてくること
必定
(
ひつじょう
)
。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「さあ勇敢にあばれ廻れ! 永い間檻へ入れられて、苦しめられたお前達だ、苦しめた奴を苦しめてやれ!
復讐
(
ふくしゅう
)
だ! 念晴らしだ!」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
しかもだれによってであるか。祖父によってではないか。一方を
凌辱
(
りょうじょく
)
することなくして一方を
復讐
(
ふくしゅう
)
することがどうしてできよう。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
妹のすん子はその
復讐
(
ふくしゅう
)
に姉の腹の上に片足をあげて
踏反
(
ふんぞ
)
り返っている。双方共寝た時の姿勢より九十度はたしかに廻転している。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その
復讐
(
ふくしゅう
)
はきっとしてやる。根本的に病気をなおしてからしてやるから見ているがいい。葉子は医長との対話の中に早くもこう決心した。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
そしておそらく、この女をやつらから奪い取って自分のものにしてしまうことよりもよい、予審判事とその一味とに対する
復讐
(
ふくしゅう
)
はなかった。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
そうしてその増加率は年とともに増すとすれば遠からず
地殻
(
ちかく
)
は書物の荷重に堪えかねて破壊し、大地震を起こして
復讐
(
ふくしゅう
)
を企てるかもしれない。
読書の今昔
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
峠
(
とうげ
)
を
降
(
お
)
りかけると、ざわざわといって、そばの
竹
(
たけ
)
やぶが
鳴
(
な
)
ったので、くまが、
復讐
(
ふくしゅう
)
にやってきたかと
足
(
あし
)
がすくんでしまった。
深山の秋
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
遊撃隊は
復讐
(
ふくしゅう
)
されるかもしれない。だが、その大きな手柄と、勇ましい奮戦ぶりは、永遠に世界の歴史にのこされるだろう。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
「畜生! あいつなにをいやがるだろう、へんなことをいったらめちゃめちゃに攻撃していつかの
復讐
(
ふくしゅう
)
をし、満座の前で
恥
(
はじ
)
をかかしてやろう」
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
だが、妻は、(汚された処女の
復讐
(
ふくしゅう
)
)を私に対して、行なったのである。私はそれに対して、
放蕩
(
ほうとう
)
をもって対抗していた。
野狐
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
先生、そのお金は、どうぞ奥さんに渡してやって下さい。先生、あたしの味方になってね! あたしは
復讐
(
ふくしゅう
)
したいんです。
春の枯葉
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
誘惑し、アトレはその
復讐
(
ふくしゅう
)
のためにいつわって和解の宴を張り、ティエストを招き、ティエストの三人の子を殺してその肉を父に食わせたという
盗まれた手紙
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
しきりに彼女らの恥ずかしがる言葉をささやいて、ひそかに
復讐
(
ふくしゅう
)
の一種を遂げることが、森林ではできない。そういう
快
(
かい
)
を
行
(
や
)
る機会がないのだ。
ヤトラカン・サミ博士の椅子
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
彼は革命者らの会合につとめて出て来て、コカールに
惚
(
ほ
)
れ込み、コカールがみごとな髯と雷のような声とで予言する
復讐
(
ふくしゅう
)
観念に魅せられていた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そしてそのことを此の上もなく無念に感じ、父の
復讐
(
ふくしゅう
)
として、筑摩家の大将の顔を生きながら父の死顔と同じようにさせてやりたいのであろう。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
われら上士のものはおいおいと、火が消えるように取り残され、
復讐
(
ふくしゅう
)
を受けるにちがいない、身共、そういう時世になったと考えております、が
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
『赤煉瓦』をふやし、いいメンバーをどしどしつくってゆくことが、栗原を奪った白テロに対する
復讐
(
ふくしゅう
)
だと考えていた。
工場新聞
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
一般の人にはあまねく慈悲を分かとうとする人であったが、兵部卿の宮一家にだけはやや
復讐
(
ふくしゅう
)
的な扱いもするのを、入道の宮は苦しく思召された。
源氏物語:14 澪標
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
また国家が人を罰するのは
復讐
(
ふくしゅう
)
の為でもなく、また社会安寧の為でもない、人格に犯すべからざる威厳がある為である。
善の研究
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
商人コートの男に口説かれていたというただそれだけの理由で、「疳つりの半」へ
復讐
(
ふくしゅう
)
めいて、その女をものにした。
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
それに今度だって、先生に事件を依頼したのは僕じゃありませんか。僕をほうっておいて、先生に
復讐
(
ふくしゅう
)
を企てるなんて
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「と申し上げました無作法をお許し下さいませ。叛逆でなければ、
復讐
(
ふくしゅう
)
でございます、人の妻として、世の女として、取るべき道ではござりませぬ」
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
まず警戒する必要はないとして、そうじて
復讐
(
ふくしゅう
)
というような大事業は、こちらがいつも目立たぬ身でなくては不便だ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
今に、悪魔にも神様にも
復讐
(
ふくしゅう
)
されると信じていた。けれども、私だって、馬鹿は馬鹿なりに、ここまで何十年か生きてきたのだから、ただは負けない。
私は海をだきしめていたい
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
と兄の粗暴な
復讐
(
ふくしゅう
)
を
懼
(
おそ
)
れて、時江はひたすら哀願するのだったが、なぜかその時は、いったん下りかけた滝人の
頸
(
くび
)
が、中途でハタと止まってしまった。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
唯
癪
(
しゃく
)
にさわるんだ。
復讐
(
ふくしゅう
)
だとか報復だとかいうほど深い意味じゃない。唯すこしいじめてやろうと思っているんだ。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
わたしと姉とはなんとかして西村に
復讐
(
ふくしゅう
)
したいものと機会をうかがっていますと、運よくその時機が来て、みなさんのご承知のような事情となりました。
五階の窓:06 合作の六(終局)
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
「きょうは先生、ぜひとも
先日
(
せんじつ
)
の
復讐
(
ふくしゅう
)
をするつもりでやってきました。こうすこしぽかぽか
暖
(
あたた
)
かくなってきますと、どうも家にばかりおられませんから」
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
馬蹄
(
ばてい
)
に掛けて群集を蹴散らさんがためなのです。その時いずれの印度人も
眥
(
まなじり
)
を挙げて、いつの日にか英国への
復讐
(
ふくしゅう
)
を誓わぬものとてはありませんでした。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
評議の席で一番熱心に
復讐
(
ふくしゅう
)
がしたいと言い続けて、成功を急いで気を
苛
(
いら
)
ったのは宇平であった。色の
蒼
(
あお
)
い、
瘠
(
や
)
せた、骨細の若者ではあるが、病身ではない。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
が、もし
復讐
(
ふくしゅう
)
のために専務の預金の食い込みを
吹聴
(
ふいちょう
)
するとすると、取付けを食うのは分っていた。だが、
取付
(
とりつけ
)
を食って困るのは、銀行よりも預金者だった。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「われは二岩団三郎である。先刻石を打ちつけられた
復讐
(
ふくしゅう
)
に来て、食事を賜ったのである。すでに御馳走をたくさんいただいたから、もうこれでたくさん」
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
己が日と時刻とをきめて、渡を殺す約束を結ぶような
羽目
(
はめ
)
に陥ったのは、
完
(
まった
)
く万一己が承知しない場合に、袈裟が己に加えようとする
復讐
(
ふくしゅう
)
の恐怖からだった。
袈裟と盛遠
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
モーパッサンには人間獣への
復讐
(
ふくしゅう
)
の快感が、そしてわが国の私小説家には卑小の礼拝というまことに手頃な宗教が、それぞれ有力な支えをなしていたはずだ。
チェーホフ序説:――一つの反措定として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
長男の
重盛
(
しげもり
)
が忠義をもって輔佐しているゆえ、その暴虐にもかかわらず、まだ
復讐
(
ふくしゅう
)
の時期に達していない。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
永峯がその死に際に、自分のうえに残していったいろいろの感情を、雅子はおりおり自分の胸に掻き立てて吉本を憎み恨み、
復讐
(
ふくしゅう
)
を企ててみることさえあった。
街頭の偽映鏡
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
成経 (あたりをはばかりつつ)わしは
復讐
(
ふくしゅう
)
することができる。
都
(
みやこ
)
へ帰れば機会をうかがうことができる。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
それが
精一杯
(
せいいっぱい
)
の
復讐
(
ふくしゅう
)
をしようとして、そんな風に私のジャケツを
噛
(
か
)
み破ったかのようにさえ私には思えた。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
僕にぶつからないように用心するがいい! 僕は、僕だって
復讐
(
ふくしゅう
)
する力があることを、世間のやつらにも
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
そして、彼は飛び上がるたびごとに、「きゃつら」に対する
復讐
(
ふくしゅう
)
を一層残忍にしようと考えるのだった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
復讐
(
ふくしゅう
)
の同盟に加わることを避けて、先君の追福と陰徳とに余生を送った大野九郎兵衛は、不忠なる元禄武士の一人として
浄瑠璃
(
じょうるり
)
の作者にまで筆誅されてしまった。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
本当に倅の竜吉が人手にかかって殺されたものなら——と、万一の疑いが事実らしくなると、父親の胸にはやはり、
復讐
(
ふくしゅう
)
の欲望が火と燃えないわけには行きません。
銭形平次捕物控:244 凧の糸目
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“復讐(
報復
)”の解説
報復(ほうふく、en: revenge リベンジ)とは、自分に害を与えた相手に対して、それと釣り合う害を返すこと。仕返し(しかえし)、復讐(ふくしゅう)ともいう。
(出典:Wikipedia)
復
常用漢字
小5
部首:⼻
12画
讐
漢検1級
部首:⾔
23画
“復讐”で始まる語句
復讐心
復讐戦
復讐魔
復讐的
復讐神
復讐者
復讐崇拝
復讐熊腹帯