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容喙
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ようかい
ふりがな文庫
“
容喙
(
ようかい
)” の例文
一般国政に
容喙
(
ようかい
)
するならば、その過去と現在の生活環境とよりして、決して充分の資格条件を具備するものと云うことは出来ない。
二・二六事件に就て
(新字新仮名)
/
河合栄治郎
(著)
そこの治療
方鍼
(
はうしん
)
に
容喙
(
ようかい
)
するのは不都合であらうし、よしや言つたところで採用せられはすまいといふので、傍観してゐることになつた。
妄想
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
だが人がよかったので、自分が出しゃばって物事に
容喙
(
ようかい
)
して、結局は、自分がそれを引き受けてせねばならぬことになってしまっていた。
雪のシベリア
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
おそらくロシアでは日本などとちがって科学がかなりまで直接政治に
容喙
(
ようかい
)
する権利を許されているのではないかと想像される。
自由画稿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
各王国居城に
豪奢
(
ごうしゃ
)
な官邸を構え、
儀仗
(
ぎじょう
)
兵を付して威容を整え、各
国王
(
マハラージャ
)
の内政に
容喙
(
ようかい
)
して、貢納金の取立て
峻厳
(
しゅんげん
)
を極めている。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
▼ もっと見る
言うのだ。だいたい、失敬じゃないか。僕の家に、お金が在ろうが無かろうが、君は、それに
容喙
(
ようかい
)
する権利は、ないのだ。君は、一体、誰だ!
春の盗賊
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
河野と私とは、邪魔者扱いにされてまで、この事件に
容喙
(
ようかい
)
することもありませんので、兎も角も私の部屋まで引上げました。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼女は自家一統の繁栄をはかるとともに、政治にも
容喙
(
ようかい
)
し、諸臣の進退に言をはさみ、自家に不利なるものはおとしいれた。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
埴谷図書助をその職から去らせ、政治に
容喙
(
ようかい
)
しないようにさせる。これは十余年このかたの懸案であって、そのためには従来あらゆる手段を講じた。
半之助祝言
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
これは第三者の
容喙
(
ようかい
)
すべき事柄じゃありませんからね。近しい友達同士の話はどこまでもお互いの間だけのことにしておかなくっちゃなりませんわい。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
朝鮮沿海に関する問題については、視察に来る内地の役人を尽く馳け悩まして、一毫も
容喙
(
ようかい
)
の余地なからしめた。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
しかも、北條氏が皇位継承の問題にさへ、
容喙
(
ようかい
)
することを憤らせ給うた天皇は、後鳥羽上皇の
御志
(
おこゝろざし
)
を継ぎ、
夙
(
つと
)
に、北條氏討滅の御計画を廻らせられてゐた。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
見受けるところ、ミウーソフも熱心にその話に
容喙
(
ようかい
)
しようとしていたのだが、この時もまた彼は運が悪かった。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
此の疑獄に向て余は
隻語
(
せきご
)
だに
容喙
(
ようかい
)
すべき権利なし、然かのみならず、余は此際特に謹慎を加へて、彼等人民が今回の動静に就ては務めて沈黙を守らんと欲す。
鉱毒飛沫
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
お察し申しあげます。——けれど、ご世子、お内輪のことは、他人が
容喙
(
ようかい
)
して、どうなるものでもありません。苦楽種々、人の家には誰にもあるもの。それを
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
でもとより処分法は校長のお考えにある事だから、私の
容喙
(
ようかい
)
する限りではないが、どうかその辺をご
斟酌
(
しんしゃく
)
になって、なるべく寛大なお
取計
(
とりはからい
)
を願いたいと思います
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
広津氏は私の所言に対して
容喙
(
ようかい
)
された。容喙された以上は私の所言に対して関心を持たれたに相違ない。
広津氏に答う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
彼等が科学者の態度を逸脱して天上のことに
容喙
(
ようかい
)
し、
謂
(
い
)
わば錬金術師の所業に堕したからなのである。
チェーホフの短篇に就いて
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
すこぶる才走った女で、政治
向
(
むき
)
の事にまで
容喙
(
ようかい
)
するが、霊公はこの夫人の言葉なら
頷
(
うなず
)
かぬことはない。霊公に
聴
(
き
)
かれようとする者はまず南子に取入るのが例であった。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
この「うまい物」といふは小生多年の経験と一時の情況とに
因
(
よ
)
りて定まる者にて他人の
容喙
(
ようかい
)
を許さず候。珍しき者は何にてもうまけれど刺身は毎日くふてもうまく候。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
知識階級にある男たちまでが
好
(
い
)
い気になってあなたの恋愛——他人に何らの
容喙
(
ようかい
)
をも許されないことにまで立入って、はずかしげもなくあげつらい
得々
(
とくとく
)
としていました。
平塚明子(らいてう)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
何ぞ桜樹を
伐
(
き
)
りて梅樹を植ゑざる、花王樹は何の活用に適するところあらむ、梅樹の以て千金の利を果実によつて得るに
如
(
し
)
かんやと、一人ありて傍より
容喙
(
ようかい
)
して曰へらく
人生に相渉るとは何の謂ぞ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
先導者は
先
(
ま
)
づ確固たる自信である。次に力である。次に勇気である。
而
(
しか
)
して自身の生命に対する自身の責任である。先導者は如何なる場合にも自分の仕事に他人の
容喙
(
ようかい
)
を許さない。
新らしき女の道
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
第三性といふが如きものは決して創造の事業に
容喙
(
ようかい
)
することは出来ないであらう。
恋愛と道徳
(新字旧仮名)
/
エレン・ケイ
(著)
(祖父様〈頼宣卿〉のなされた国のお政治を、孫たる自分が
容喙
(
ようかい
)
してはならない)
猫の蚤とり武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
人生はそれぞれに、他人の
容喙
(
ようかい
)
を許さない、様々なアラベスクを持つてゐるものだと、富岡は、遠い島で考へてゐた、比嘉医師へのなつかしみも、いまは、少しばかり冷えて来てゐた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
その弱味へ無遠慮な
容喙
(
ようかい
)
を受けることは、僕のかなり腹立たしいことなのだ
吹雪物語:――夢と知性――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
ここでは一団が山野を開拓して田畑となし、共同の養蚕所を持ち、学校をその一部にあてた堅実質素な生活を維持しつつ、絶対に他の
容喙
(
ようかい
)
を入れない純然たる態度を守って世を
睥睨
(
へいげい
)
していた。
厨房日記
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
極秘の事柄だから、軍もこれには
容喙
(
ようかい
)
できない。さあ、困った。困ったと
青島
(
チンタオ
)
に打電すると、悲堂先輩が早速、日本へやってきて、往年の自由党の闘士の板垣退助、板垣伯爵に相談に行った。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
それにも拘らず他人の制作の過程や結果に
容喙
(
ようかい
)
すると期待され得る以上
日本イデオロギー論:――現代日本に於ける日本主義・ファシズム・自由主義・思想の批判
(新字新仮名)
/
戸坂潤
(著)
吾娘はわれに於いて処分するの覚悟を有す。
敢
(
あえ
)
て足下の
容喙
(
ようかい
)
を許さず。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
イヤ宣告に
容喙
(
ようかい
)
することは許さぬ。——とにかくマッチが日本人の手に残らなかったのは何よりである。それがもし調べられたりすると、われわれが重大使命を
果
(
はた
)
す上に
一頓挫
(
いちとんざ
)
を来たすことになる。
流線間諜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
いくらとめようとしたって、とめることはできない。下手をすればぼくまでいっしょに墜落する。……ぼくは思った。死んだり生きたりは彼の自由なので、お節介にぼくが
容喙
(
ようかい
)
する余地はないのだ。
煙突
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
『ほととぎす』の事委細
御申越
(
おもうしこし
)
承知致候。編輯を他人に任すとのことはもとより小生の
容喙
(
ようかい
)
すべきことにてもなく誰がやっても出来さえすれば宜しく候。ただ恐る三
鼠
(
そ
)
は粗漏にして任に堪えざるを。
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
ところが、理性の上で
pro
(
プロウ
)
の側の理由と
contra
(
コントラ
)
の側の理由とが争っている中へ、意志が
容喙
(
ようかい
)
した。己は往って見たかった。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そしてそれもあるが、第一自分が主婦として来ているのに、何が故にマジャルドー風情の者が家政に
容喙
(
ようかい
)
するのか。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
そういう状景を一々気にとめず、ひたすら仏を拝すればいいに相違ないが、人工人事にとかく
容喙
(
ようかい
)
しがちなのは批評の習い性となった故でもあろうか。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
科学者にしてかくのごとき問題に
容喙
(
ようかい
)
する者は、その本分を忘れて邪路に陥る者として非難さるる事あり。
自然現象の予報
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
商人が金を
儲
(
もう
)
けるために金を使うのは専門上の事で誰も
容喙
(
ようかい
)
が出来ぬ。しかし商買上に使わないで人事上にその力を利用するときは、訳のわかった人に聞かねばならぬ。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
といわぬばかりに
擡頭
(
たいとう
)
してきた一勢力がある。
宦人
(
かんじん
)
の
黄皓
(
こうこう
)
を中心とする者どもである。皓は日頃から帝の寵愛を鼻にかけていたが、政治に
容喙
(
ようかい
)
し始めたのは、このときからである。
三国志:12 篇外余録
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
人臣の身をもって皇位継承に、
容喙
(
ようかい
)
するの無道なる、不忠不義至極とおぼゆるぞ
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
何か云おうとしたが、小川にこう云われると、彼が前々から考えていた、自分の金で自分の子供を学校へやるのに、他に
容喙
(
ようかい
)
されることはないという理由などは全く根拠がないように思われた。
電報
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
あかの他人のかれこれ
容喙
(
ようかい
)
すべき事がらでない。
もの思う葦:――当りまえのことを当りまえに語る。
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「自分たちは政治にまで
容喙
(
ようかい
)
する意志はない」
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
それゆえ五百は彼が兼松石居に従って経史を
攻
(
おさ
)
めるのを見て、
毫
(
ごう
)
も
容喙
(
ようかい
)
せずにいた。成善が儒となるもまた可、医となるもまた不可なるなしとおもったのである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
儂のすることに何の権利があって君は
容喙
(
ようかい
)
すると、さっきから言ってるのに君にはわからんのか! いったいこの頃の君の態度は儂にはいささか腑に落ちん! 断っておくが
令嬢エミーラの日記
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「別所長治以下、御身らはみな、筑前の先手に過ぎぬ、
帷幕
(
いばく
)
の事、戦略などに、
容喙
(
ようかい
)
はゆるさんといいおる。それも満座の中で。——まるで播磨の国人を
視
(
み
)
ること
下人
(
げにん
)
の如しじゃ」
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
生物学上の「生命」の問題に対しては、今のところ物理学はなんら
容喙
(
ようかい
)
の権利をもたない。ロード・ケルヴィンは地球上の生命の種子が光圧によって星の世界から運ばれたという想像を述べた。
備忘録
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「困りますね、ほかの事と違って、こう云う事には他人が
妄
(
みだ
)
りに
容喙
(
ようかい
)
するべきはずの者ではありませんからな。そのくらいな事はいかな苦沙弥でも心得ているはずですが。一体どうした訳なんでしょう」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
附録は文学欄で
填
(
うず
)
めていて、記者は四五人の
外
(
ほか
)
に
出
(
い
)
でない。書くことは、第一流と云われる二三人の作の批評だけであって、その他の事には殆ど全く
容喙
(
ようかい
)
しないことになっている。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
容
常用漢字
小5
部首:⼧
10画
喙
漢検1級
部首:⼝
12画
“容”で始まる語句
容
容貌
容易
容子
容色
容赦
容姿
容体
容態
容器