家屋かをく)” の例文
すなは太古たいこ國民こくみんかならずしもいし工作こうさくして家屋かをくをつくることをらなかつたのではない。たゞその心理しんりから、これを必要ひつえうとしなかつたまでゞある。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
いづれも古い家屋かをくばかりで、此処こゝらあたりの田舎町の特色がよく出てた。町の中央に、芝居小屋があつて、青い白いのぼり幾本いくほんとなく風にヒラヒラしてた。
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
もつとも、わたしちゝはじちひさな士族しぞくとして、家屋かをくと、宅地たくちと、周圍しうゐすこしのやまと、金祿公債證書きんろくこうさいしようしよなんゑんかを所有しよいうしてゐたが、わたし家督かとく相續さうぞくしたころには
そのかは宗助そうすけ自分じぶん家屋敷いへやしき賣却方ばいきやくかたつい一切いつさいこと叔父をぢ一任いちにんして仕舞しまつた。はやふと、急場きふば金策きんさくたいする報酬はうしうとして土地とち家屋かをく提供ていきようしたやうなものである。叔父をぢ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
するものも長庵のたくの前はしのんで通る樣になりければひつかけ上手じやうずの長庵も百ぱうじゆつなす事なくこまり果てぞ居たりける爰に又長庵が故郷こきやう岩井村にてはおやの作十も病死びやうしおとゝ十兵衞の代と成けるが或時近邊きんぺんより出火して家屋かをく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
屋根あり、破風はふありて、家屋かをくうへそばだつは
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
むかし歐米おうべい旅客りよきやく日本にほんて、地震ぢしんのおほいのにおどろくと同時どうじに、日本にほん家屋かをくが、こと/″\く軟弱なんじやくなる木造もくざうであつて、しかも高層建築かうそうけんちくのないのを
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
公債こうさいくなつたばかりでなく多少たせう借金しやくきんがあり、家屋かをく地所ぢしよとは全部ぜんぶきん七十ゑん賣却ばいきやくしたのであつた。
小六ころく名義めいぎ保管ほくわんされべき財産ざいさんは、不幸ふかうにして、叔父をぢ手腕しゆわんで、すぐ神田かんだにぎやかな表通おもてどほりの家屋かをく變形へんけいした。さうして、まだ保險ほけんけないうちに、火事くわじけて仕舞しまつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
くのごと材料ざいれう構造こうざう矮小わいせう軟弱なんじやくなる家屋かをくほとん如何いかなる激震げきしんもこれを潰倒くわいたうすることが出來できない。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)