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奔馬
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ほんば
ふりがな文庫
“
奔馬
(
ほんば
)” の例文
高山から飛越国境の蟹寺までの間、二十里ばかり、宮川は
奔馬
(
ほんば
)
のように急勾配の渓底を駆け
下
(
くだ
)
っている。恐ろしいほど荒い川である。
雪代山女魚
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
奔馬
(
ほんば
)
は
中
(
ちゅう
)
を
駈
(
か
)
けて、見る見る腕車を乗っ越したり。御者はやがて馬の
足掻
(
あが
)
きを
緩
(
ゆる
)
め、渠に先を越させぬまでに徐々として進行しつ。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
断雲
(
だんうん
)
は低くたれて、
奔馬
(
ほんば
)
のごとくとびきたり、とびさる、まだ
勢
(
いきお
)
いのおとろえない風のなかを、四人はたがいに腕をくんで浜辺に出た。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
あげての、人間の悪さ競べにならねばよいが、武者所など、さしずめ、
悍馬
(
かんば
)
、
奔馬
(
ほんば
)
、じゃじゃ馬などの、集まり所。……こわいのう
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
程たたぬまにそこへ命じた
白木
(
しらき
)
の板が運ばれたのを見すますと、たっぷり筆に墨を含ませて書きも書いたり、
奔馬
(
ほんば
)
空
(
くう
)
を行くがごとき達筆で
旗本退屈男:07 第七話 仙台に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
▼ もっと見る
かの
巌
(
いはほ
)
の頭上に
聳
(
そび
)
ゆる
辺
(
あたり
)
に到れば、
谿
(
たに
)
急に激折して、水これが為に
鼓怒
(
こど
)
し、
咆哮
(
ほうこう
)
し、噴薄
激盪
(
げきとう
)
して、
奔馬
(
ほんば
)
の乱れ
競
(
きそ
)
ふが如し。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
大詰
(
おおづめ
)
の
奔馬
(
ほんば
)
の魔術という大道具の一場があって、その日の打出しとなりましたが、これを最後まで見ていた見物のうち、二人の壮士がありました。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
この時において彼
豈
(
あ
)
に
徒爾
(
とじ
)
にして
已
(
や
)
まんや。
蹈海
(
とうかい
)
の雄志は
奔馬
(
ほんば
)
の
鞭影
(
べんえい
)
に驚きたるが如し。彼
豈
(
あ
)
に徒爾にして
已
(
や
)
まんや。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
二連銃
(
にれんじう
)
の
銃身
(
じうしん
)
を
握
(
にぎ
)
つて
水兵
(
すいへい
)
を
顧見
(
かへりみ
)
ると、
水兵
(
すいへい
)
は
勢
(
いきほひ
)
鋭
(
するど
)
く五六
歩
(
ぽ
)
此方
(
こなた
)
へ
走
(
はし
)
り
近
(
ちか
)
づく、
此時
(
このとき
)
二發
(
にはつ
)
の
彈丸
(
だんぐわん
)
を
喰
(
くら
)
つた
猛狒
(
ゴリラ
)
は
吾等
(
われら
)
を
打捨
(
うちす
)
てゝ、
奔馬
(
ほんば
)
の
如
(
ごと
)
く
馳
(
は
)
せ
向
(
むか
)
ひ、
一聲
(
いつせい
)
叫
(
さけ
)
ぶよと
見
(
み
)
る
間
(
ま
)
に
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
正月十日、
霜天
(
そうてん
)
に泡を吹いて、ガラツ八の八五郎、
奔馬
(
ほんば
)
のやうに飛んで來たのです。
銭形平次捕物控:330 江戸の夜光石
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
甲板
(
かんぱん
)
に出ても、これまで
群青
(
ぐんじょう
)
に、
輝
(
かがや
)
いていた
穏
(
おだ
)
やかな海が、いまは暗緑色に
膨
(
ふく
)
れあがり、いちめんの白波が
奔馬
(
ほんば
)
の
霞
(
かすみ
)
のように、
飛沫
(
しぶき
)
をあげ、荒れ
狂
(
くる
)
うのをみるのは、なにか、胸
塞
(
ふさが
)
る思いでした。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
お初の情熱は、いわば、
埒
(
らち
)
を
刎
(
は
)
ね越えた
奔馬
(
ほんば
)
のようなものであった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
で、彦七は身をひるがえすと、
奔馬
(
ほんば
)
のように走り出した。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
奔馬
(
ほんば
)
は、その荷を振り落し、自軍の列を、駈けみだした。小荷駄頭の
朝舎丹後
(
あさのやたんご
)
は、よく指揮し、よく戦ったが、足手まといに
煩
(
わずら
)
わされ
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
富士山麓の山中湖から源を発して三、四十里、相州の馬入村で太平洋へ注ぐまで、流れは
奔馬
(
ほんば
)
のように峡谷を走っている。
香魚の讃
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
お玉は
僅
(
わづ
)
かの
隙
(
すき
)
を狙つて、
逸
(
はや
)
り切つた
奔馬
(
ほんば
)
のやうに、兩國へ驅け戻つたのでせう。
銭形平次捕物控:151 お銀お玉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
奔馬
(
ほんば
)
というものは、前から捉えるに
易
(
やす
)
くして、後ろから追うにはこの通り
骨
(
ほね
)
だが、そうかといって馬というやつは、蝶々トンボの
類
(
たぐい
)
と違って、どう間違っても空中へ向けて逸走することはない。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
巌はわれをわすれて窓によじのぼり、
奔馬
(
ほんば
)
のごとくろうかへ降りた。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
見るとそれは秘命をおびて、
伊那丸
(
いなまる
)
の本陣
雨
(
あま
)
ヶ
岳
(
たけ
)
をでた
奔馬
(
ほんば
)
「
項羽
(
こうう
)
」。——上なる人はいうまでもなく、
白衣
(
びゃくえ
)
の
木隠龍太郎
(
こがくれりゅうたろう
)
だ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平次は八五郎の耳に囁くと、八五郎は
奔馬
(
ほんば
)
のやうに飛び出してしまひました。
銭形平次捕物控:232 青葉の寮
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
竹槍をしごいた両岸の先陣五六名ずつが、その声に
煽
(
あお
)
られて、
奔馬
(
ほんば
)
のような勢いで、米友をめがけて——事実、米友としては、そう見るよりほかに見ようがない——両方から殺到し
来
(
きた
)
るのです。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
チビ公は
奔馬
(
ほんば
)
のごとく走りだした。光一も走りだした。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
「ちぇッ」と、かれは地団太ふんで、さらに
奔馬
(
ほんば
)
のような勢いで往来へ出た。もう思い出す湯はこの近くに小町湯とお豊風呂の二軒しかなかった。
醤油仏
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「将軍、帰り給え。将軍、引っ返し給え」と呼んでいたが、張郃は、憎き魏延を打ちとめぬうちはと、
奔馬
(
ほんば
)
の足にまかせて鞭打つ敵を追っていた。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
広きへ
殺出
(
さっしゅつ
)
した城兵と、押太鼓を打って、狭きへ迫り会った寄手とが、
喊声
(
かんせい
)
をあげ、
奔馬
(
ほんば
)
を駈け合わせ、はやくも狂瀾怒濤の
相搏
(
あいう
)
つ状をえがき出した。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だが、呂布もこよいばかりは、その
奔馬
(
ほんば
)
を引止めるのに汗をかいた。もし敵の一矢でも、一太刀でも、背の娘にうけたらと、それのみに心をひかれるからであった。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いまぞ花の散りどころと、伊那丸は、あぶみを踏んばり、
鞍
(
くら
)
つぼをたたいて叫びながら、じぶんも、まっさきに陣刀をぬいて、城門まぢかく、
奔馬
(
ほんば
)
を飛ばしてゆく。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おお、いよいよ
奔馬
(
ほんば
)
は近づいてきた。しかもそれは一
騎
(
き
)
ではない。あとからつづくもう一騎がある。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
臀
(
しり
)
に
松火
(
たいまつ
)
をつけられているように、真っ赤な傷口を持っている例の
奔馬
(
ほんば
)
は、あれから盲滅法に駈けだして、
八百八谷
(
はっぴゃくやだに
)
という鈴鹿の山坂を、またたく間に駈け通し、
蟹坂
(
かにさか
)
を突破し
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一すじの道にかかっている自分と武蔵との間をまた忽ち遠くしてしまうものであるにせよ——この男に
奔馬
(
ほんば
)
の脚を与えることは断じて出来ないと、
朱唇
(
しゅしん
)
を噛んで意思するのであった。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
八雲は、
奔馬
(
ほんば
)
の群を待っていた。そして、先頭の華やかな武者のあぶみへ
縋
(
すが
)
って
篝火の女
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
止
(
とど
)
まるを知らない
奔馬
(
ほんば
)
の手綱をやっと締めて——光春が、田の
畦
(
あぜ
)
の、湖に注いでゆく小川の縁から振り向いたときは、もうその二人も見えず、追って来る秀政のすがたも見えなかった。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
奔馬
(
ほんば
)
の脚を、急激に止めながら、秀吉は、馬の背にへばりついたまま訊ねた。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ござんなれ」と、
奔馬
(
ほんば
)
をよせて斬りかけた。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
奔馬
(
ほんば
)
の脚では一
鞭
(
べん
)
の間であった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
奔馬
(
ほんば
)
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“奔馬”の意味
《名詞》
勢いよく走る馬。
(context、figuratively)勢いが激しいこと。
(出典:Wiktionary)
“奔馬(馬将)”の解説
馬将(ばしょう)は、将棋の駒の一つ。本将棋にはなく、大局将棋に存在する。
成ると奔馬。
(出典:Wikipedia)
奔
常用漢字
中学
部首:⼤
8画
馬
常用漢字
小2
部首:⾺
10画
“奔馬”で始まる語句
奔馬性癩患
奔馬狼兵
奔馬性結核