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夥多
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おびたゞ
折くべ居る時しも此方の
納戸共覺しき所にて何者やらん
夥多しく
身悶えして苦しむ音の聞ゆるにぞ友次郎は
膽を
潰し何事成んと耳を
主墳では
有るまいが、
人氣の
緩んで
居る
折柄とて、
學者も、
記者も、
高等野次馬も、
警官も、
悉く
此所へ
集まつて、
作業の
邪魔となる
事夥多しい。
〆切
町内々々の
自身番屋には
鳶の者共火事
裝束にて
詰家主抔も
替り/″\相詰たり數寄屋橋御
見附へ
這入ば常よりも人數
夥多しく天一坊の供
殘ず
繰込を待て御門を
その
夥多しい
石塔を、
一つ
一つうなづく
石の
如く
從へて、のほり、のほりと、
巨佛、
濡佛が
錫杖に
肩をもたせ、
蓮の
笠にうつ
向き、
圓光に
仰いで、
尾花の
中に、
鷄頭の
上に
ひとへに
白い。
乳くびの
桃色をさへ、
蔽ひかくした
美女にくらべられたものらしい。……
此の
白い
花の、
散つて
葉に
成る
頃の、その
毛蟲の
夥多しさと
言つては、それは
又ない。
天下の
御評定日にて諸國より訴訟人
夥多しく出張なし居けるに程なく
榊原遠江守領分越後國頸城郡寶田村百姓傳吉一
件這入ませいと呼び込む
聲と
諸ともに訴訟人憑司おはや
相手方傳吉其の外引合共白洲へ出るに傳吉は
立派な
門に
不思議はないが、くゞり
戸も
煽つたまゝ、
扉が
夥多しく
裂けて
居る。
ものの
色もすべて
褪せて、
其灰色に
鼠をさした
濕地も、
草も、
樹も、一
部落を
蔽包むだ
夥多しい
材木も、
材木の
中を
見え
透く
溜池の
水の
色も、
一切、
喪服を
着けたやうで、
果敢なく
哀である。