「どうだい、君、ひとつ、ここで合わせてみたらどうだ、ちょうど、そこに一管がある、君の堪能でひとつ、返しを吹いて見給え」
大菩薩峠:27 鈴慕の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
後學のために、お師匠の許を去るこの私に、一色家に傅はる祕曲を、吹いて聽かして下さればそれで堪能するのでございます
銭形平次捕物控:090 禁制の賦 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
その一人のフリーデマンというのは、彼と同じく音楽家で、オルガニストであって、三十ばかりの年配、才知もあり、自分の職務にも堪能だった。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
次郎物語:01 第一部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)
しねえんですよ。べっぴんはべっぴんでけっこう目の保養になるんだからね。しわくちゃな親の顔なんぞと比べてみなくとも、ちゃんと堪能できるんですよ
右門捕物帖:37 血の降るへや (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
「この沢野さんは日本語にはもうカナリ堪能なんですが、しかし万一の不便があってはというんで、私がいくぶん通訳の意味でお伴に上がったわけです。」
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死―― (新字新仮名) / 長与善郎(著)
興津弥五右衛門の遺書(初稿) (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そこで辻斬りは役人を五里霧中に迷わせ、女色の深い孫兵衛をしていろは茶屋に堪能させる方法となった。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「さ、先生はここ。ソンキさんとならんでください。こっちがわがマッちゃん。ふたりで先生をはさんで、堪能するだけしゃべりなさい。あとはめいめい勝手にすわって」
それで、ひとまずあれを堪能してから、会食するのがこの村のしきたりになってるのだ。あんたは始めてのことで、さぞびっくりなすったことじゃろう。悪く思わないでくれ
ワンダ・ブック――少年・少女のために―― (新字新仮名) / ナサニエル・ホーソーン(著)
幕末維新懐古談:01 私の父祖のはなし (新字新仮名) / 高村光雲(著)
父は、ある別のものを愛していて、その別のもので、すっかり堪能していたのである。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
一度でも、好みの衣類に手を通したよろこび——それで堪能していたのだった。
旧聞日本橋:24 鬼眼鏡と鉄屑ぶとり(続旧聞日本橋・その三) (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
銭形平次捕物控:376 橋の上の女 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
右門捕物帖:26 七七の橙 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
興津弥五右衛門の遺書 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
右門捕物帖:19 袈裟切り太夫 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
美味を追求する人間の貪欲にこたえて遠来のわれら凡夫を堪能させてくれるこの家のおばあさんの食牛育成における仏心即商魂は、なるほど辰野さんの随筆になりそうだ。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
右門捕物帖:07 村正騒動 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
「いや、つくづく、女をあわれと思うてのことです。この十日余、かたじけない恩寵の賜物には堪能いたしたが、義貞は武人、ひとたび門を立ってみれば、生死のほどは測りがたい」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
銭形平次捕物控:170 百足屋殺し (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
これまで堪能の方々から、鈴慕を聞かせていただいたことは幾度かわかりません、聞かせるには聞かせていただきましたけれど、不敏な私には、どうしても今まで
大菩薩峠:27 鈴慕の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
じゃ、おれがふたり分堪能してやるから、気を悪くすんなよ。——ねえ、だんな、ないしょにちょっと申しますが、ついでだからころあいなのをひとり見当つけておいたらどうですかい。
右門捕物帖:17 へび使い小町 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)