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堪能
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たんのう
ふりがな文庫
“
堪能
(
たんのう
)” の例文
よほど会話に
堪能
(
たんのう
)
ででもあるかのやうに……が、それからさきが私にはわからなかつたので、早速似顔かきの老画伯に救ひを請うた。
老残
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
「どうだい、君、ひとつ、ここで合わせてみたらどうだ、ちょうど、そこに一管がある、君の
堪能
(
たんのう
)
でひとつ、返しを吹いて見給え」
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それはともかく、がらあきなのにつけ込んで私は上り込み、そこで楽屋の内部をはじめて
堪能
(
たんのう
)
するほど眼に収めることができた。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
後學のために、お師匠の許を去るこの私に、一色家に傅はる祕曲を、吹いて聽かして下さればそれで
堪能
(
たんのう
)
するのでございます
銭形平次捕物控:090 禁制の賦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その年も京二の君津楼の
初午
(
はつうま
)
の催しで、得意の手品で私たちを
堪能
(
たんのう
)
させてくれたが、声色、手踊なんかよりはこの方が子供たちには人気があった。
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
▼ もっと見る
その一人のフリーデマンというのは、彼と同じく音楽家で、オルガニストであって、三十ばかりの年配、才知もあり、自分の職務にも
堪能
(
たんのう
)
だった。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
若い頃は、恐らく、物静かな、事務に
堪能
(
たんのう
)
な、上役にとって何かと
重宝
(
ちょうほう
)
がられた侍の一人であったろう、と思われる。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
シャムの話には
金翅鳥
(
こんじちょう
)
竜を
堪能
(
たんのう
)
するほど多く食おうとすれどそんなに多く竜はない、因って金翅鳥ある湖に到り
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
しねえんですよ。べっぴんはべっぴんでけっこう目の保養になるんだからね。しわくちゃな親の顔なんぞと比べてみなくとも、ちゃんと
堪能
(
たんのう
)
できるんですよ
右門捕物帖:37 血の降るへや
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「この沢野さんは日本語にはもうカナリ
堪能
(
たんのう
)
なんですが、しかし万一の不便があってはというんで、私がいくぶん通訳の意味でお伴に上がったわけです。」
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
かたがた歌道茶事までも
堪能
(
たんのう
)
に渡らせらるるが、天下に比類なき所ならずや、茶儀は無用の虚礼なりと申さば、国家の大礼、先祖の
祭祀
(
さいし
)
も総て虚礼なるべし
興津弥五右衛門の遺書(初稿)
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
去年まで応援団に
牛耳
(
ぎゅうじ
)
っていた新太郎君と寛一君は○○大学の成績が益〻好いにつれて、ソロ/\日曜丈けでは
堪能
(
たんのう
)
出来なくなった。但し二人は意味が違う。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
それですっかり
堪能
(
たんのう
)
して、もっと
MR
(
ミスタ
)
・タチバナの文学上の意見を聞かまほしやというような顔をしたが
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
そこで辻斬りは役人を五里霧中に迷わせ、女色の深い孫兵衛をしていろは茶屋に
堪能
(
たんのう
)
させる方法となった。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
就中
(
なかんずく
)
琵琶
(
びわ
)
に
堪能
(
たんのう
)
で、娘に手をひかれながら、宿屋々々に請ぜられて、
安
(
やすら
)
かに、
親娘
(
おやこ
)
を過ごすようになった。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
俺は、
吃驚
(
びっくり
)
する彼に、黒鉛の弾を明かして、どうだ、一番芝居をやろうじゃないか。あの利得金で
堪能
(
たんのう
)
するためには、まず船場四郎太を戸籍から抹消する必要がある。
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
院長の
児玉
(
こだま
)
博士は、専門の医学の外に、文学にも
堪能
(
たんのう
)
で、殿村などとも知り合いであったから、さい前殿村からの電話を聞いて、彼等の来るのを待ち受けていた程である。
鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
この温泉場の
元勲
(
げんくん
)
で、詩書に
堪能
(
たんのう
)
であり、雲仙陶器の創始者と知られ、同時に七十三歳を迎えた今年のはじめから、
雪白
(
せっぱく
)
の頭に、黒髪をおびただしく生じはじめたことで
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
「さ、先生はここ。ソンキさんとならんでください。こっちがわがマッちゃん。ふたりで先生をはさんで、
堪能
(
たんのう
)
するだけしゃべりなさい。あとはめいめい勝手にすわって」
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
それで、ひとまずあれを
堪能
(
たんのう
)
してから、会食するのがこの村のしきたりになってるのだ。あんたは始めてのことで、さぞびっくりなすったことじゃろう。悪く思わないでくれ
えぞおばけ列伝
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
それからずっとのちまで、長い間、疲れた人や、おなかのへった人や、喉の
渇
(
かわ
)
いた人などがそこへ来て、いつも休んでは、不思議の壺から、
堪能
(
たんのう
)
するほど牛乳を飲みました。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
その
頃
(
ころ
)
は遊芸が流行で、その
中
(
うち
)
にも
富本
(
とみもと
)
全盛時代で、江戸市中一般にこれが大流行で、富五郎もその道にはなかなか
堪能
(
たんのう
)
でありましたが、わけて総領娘は大層
上手
(
じょうず
)
でありました。
幕末維新懐古談:01 私の父祖のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
食い終って一通り
堪能
(
たんのう
)
したと見え、彼は焜炉の口を閉じはじめて霰の庭を眺め
遣
(
や
)
った。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
父は、ある別のものを愛していて、その別のもので、すっかり
堪能
(
たんのう
)
していたのである。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
Tは
独逸語
(
ドイツご
)
に
堪能
(
たんのう
)
だった。が、彼の机上にあるのはいつも英語の本ばかりだった。
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
一度でも、好みの衣類に手を通したよろこび——それで
堪能
(
たんのう
)
していたのだった。
旧聞日本橋:24 鬼眼鏡と鉄屑ぶとり(続旧聞日本橋・その三)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
ビフテキが燒いてある?………ほ、それは
結構
(
けつこう
)
だね。お前は
胃
(
い
)
の
腑
(
ふ
)
も強壯な筈だから、ウンと
堪能
(
たんのう
)
するさ。俺は殘念ながら、知ツての通り、
半熟
(
はんじゆく
)
の卵と牛乳で
辛而
(
やつと
)
露命
(
ろめい
)
を
繋
(
つな
)
いでゐる弱虫だ。
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
あのきりょうで
鯱鉾立
(
しゃっちょこだ
)
ちでしょう、江戸中大騒ぎの見物でしたよ、大店の十七娘に、あれだけ恥を掻かせれば、浅田屋の治平は
堪能
(
たんのう
)
したわけで
銭形平次捕物控:376 橋の上の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
半畳
(
はんじょう
)
のための半畳を抑え、弥次のための弥次を沈黙させただけの効果と、
堪能
(
たんのう
)
とは、たしかに存在したものであります。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
広い江戸にも武芸者はたくさんあるが、
槍
(
やり
)
や
太刀
(
たち
)
と違って含み針なぞに
堪能
(
たんのう
)
な者はそうたくさんにいねえんだ。
右門捕物帖:26 七七の橙
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
かたがた歌道茶事までも
堪能
(
たんのう
)
に渡らせらるるが、天下に比類なき所ならずや、茶儀は無用の虚礼なりと申さば、国家の大礼、先祖の
祭祀
(
さいし
)
も
総
(
すべ
)
て虚礼なるべし
興津弥五右衛門の遺書
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
射落し志望者は皆二十五六の青年だから自分の年と較べて見て、差控えていたのだった。
偶〻
(
たまたま
)
藤浪君は貞代さんの聯想から一つ年上でも
堪能
(
たんのう
)
出来る心境にいた。
善根鈍根
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
いったい
蛮土
(
ばんど
)
の物は
濃厚
(
のうこう
)
で、日本の物は
淡味
(
たんみ
)
です。菓子でも、
干柿
(
ほしがき
)
や
糯
(
もち
)
の甘味で、十分舌に足りていたものが、砂糖に馴れると、もうそれでは
堪能
(
たんのう
)
しなくなります
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私もこれでもう自分の好奇心は充分
堪能
(
たんのう
)
したことであったから、「じゃ一つはいって来ようかな」と思い切りううんと伸びをすると手拭をぶら下げて立ち上ったが
逗子物語
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
一寸法師は先程からの狂乱にグッタリと疲れて、しかし同時にすっかり
堪能
(
たんのう
)
した恰好で群集の列にまぎれて
元
(
もと
)
来た道を引返した。いうまでもなく背広の男は尾行を続けて行った。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
三藐院が、書画ともに
堪能
(
たんのう
)
であられたことは知っているが、発句を作られたことは
曾
(
かつ
)
て聞かない。また三藐院が発句を作られる道理もないと思う。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
プロフェッサーらしい厳格さと、ヴァーチュオーゾの壮麗さを兼ねて、誰にでも
堪能
(
たんのう
)
させる演奏であり、きわめて高度の完成感を持った演奏でもある。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
三河
(
みかわ
)
万歳の鼓でもなし、どうもさる回しのたたくやつじゃないかと思うんですが、それをまたどうしたことなんだか、井上のおだんながひどくお
堪能
(
たんのう
)
でね
右門捕物帖:19 袈裟切り太夫
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
美味を追求する人間の貪欲にこたえて遠来のわれら凡夫を
堪能
(
たんのう
)
させてくれるこの家のおばあさんの食牛育成における仏心即商魂は、なるほど辰野さんの随筆になりそうだ。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
馘った人間を馘り返せば宜いんだから、大体こんなところで
堪能
(
たんのう
)
する外仕方あるまい
首切り問答
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
今におれの知恵のおそろしさを
堪能
(
たんのう
)
するほど見せてやるから。
妖怪博士
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
両博士とも
西班牙
(
スペイン
)
語も独逸語もすこぶる
堪能
(
たんのう
)
であった。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
机竜之助は、どの程度まで尺八を
堪能
(
たんのう
)
か知らないが、おそらく、この男が、この世における唯一の音楽の知己としては、これを
措
(
お
)
いてはありますまい。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
イタリー人が歌うことに
優
(
すぐ
)
れているように、ボヘミア人はヴァイオリンをひくことに
堪能
(
たんのう
)
で、「旅人がボヘミアで
逢
(
あ
)
う人の二番目はヴァイオリン弾きだ」
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
堪能
(
たんのう
)
したといったように、しきりと
小楊子
(
こようじ
)
で歯をせせくっていましたが、座敷へはいってきた小女の顔をみると、やんわりと、まずこんなふうにいったもので——。
右門捕物帖:07 村正騒動
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「いや、つくづく、女をあわれと思うてのことです。この十日余、かたじけない恩寵の賜物には
堪能
(
たんのう
)
いたしたが、義貞は武人、ひとたび門を立ってみれば、生死のほどは測りがたい」
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
探りを入れて見ると、
皆
(
みな
)
仲人結婚
(
なこうどけっこん
)
だ。これあるかなと思った。持ち込まれると、そう/\贅沢を言えない。大概のところで
堪能
(
たんのう
)
してしまうから、拙いのを貰う。運の好い奴が麗人を引き当てる。
ロマンスと縁談
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
八五郎は一應この説明で
堪能
(
たんのう
)
しましたが、説明した平次自身が、
却
(
かへ
)
つて
覺束
(
おぼつか
)
なさを感じて居る樣子です。
銭形平次捕物控:170 百足屋殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
これまで
堪能
(
たんのう
)
の方々から、鈴慕を聞かせていただいたことは幾度かわかりません、聞かせるには聞かせていただきましたけれど、不敏な私には、どうしても今まで
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
じゃ、おれがふたり分
堪能
(
たんのう
)
してやるから、気を悪くすんなよ。——ねえ、だんな、ないしょにちょっと申しますが、ついでだからころあいなのをひとり見当つけておいたらどうですかい。
右門捕物帖:17 へび使い小町
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
堪
常用漢字
中学
部首:⼟
12画
能
常用漢字
小5
部首:⾁
10画
“堪能”で始まる語句
堪能者