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垂下
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たれさが
ふりがな文庫
“
垂下
(
たれさが
)” の例文
写真で知つて居る詩人の
垂下
(
たれさが
)
つた長い
髭
(
ひげ
)
は
最
(
も
)
う白く成つて居るかと云ふ様な事を聞いた。詩人は故郷の
白耳義
(
ベルジツク
)
を旅行して居るのである。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
庭の正面に大きな笠松の枝が低く
垂下
(
たれさが
)
って、
添杭
(
そえぐい
)
がしてあって、下の
雪見灯籠
(
ゆきみどうろう
)
に被っています。松の根元には美しい
篠
(
ささ
)
が一面に
生
(
お
)
い茂っていました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
と思いながらフト足もとを見ますと、一本の
蔦葛
(
つたかずら
)
が
垂下
(
たれさが
)
って、ずうっと崖の下の家の側まで行っております。
オシャベリ姫
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
かぐつちみどり
(著)
するするとおときの指輪の光る指の間から、細く長い皮が
垂下
(
たれさが
)
って、水気のある肉はあからさまになった。それを四つに切って新吉にもすすめ、自分も口に入れた。
果樹
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
どうかすると節子は彼の見ている前で、帯の間から
櫛
(
くし
)
なぞを取出して、彼女の額に
垂下
(
たれさが
)
る髪をときつけたり、束ねた髪のかたちを直したりするほどの親しみを見せる。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
また賽銭箱の上にはだらりと赤、白、紫の交りの紐が
垂下
(
たれさが
)
っていて、青錆の出た鈴が上に吊されていた。
其等
(
それら
)
の紐は、多くの人々の手垢に汚れて下の方が黒くなっていたことを覚えている。
黄色い晩
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
こゝに
年歴
(
としへ
)
たる
藤蔓
(
ふぢづる
)
の大木にまとひたるが谷川へ
垂下
(
たれさが
)
りたるあり、
泊
(
とま
)
り
山
(
やま
)
して水
汲
(
くむ
)
もの
樽
(
たる
)
を
脊
(
せ
)
にくゝし
負
(
お
)
ひ、此ふぢづるをたよりとして谷川へくだり、水をくみてたるの口をつめて
脊
(
せ
)
おひ
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
救いに行った、私の兄の
帆村荘六
(
ほむらそうろく
)
は、その洋館の一室で、足を天井につけ、身は宙ぶらりんに
垂下
(
たれさが
)
っていました。ニュートンの
万有引力
(
ばんゆういんりょく
)
の法則を無視したような
芸当
(
げいとう
)
ですから私は驚きました。
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
唯
(
と
)
、
何
(
なん
)
と、
其
(
そ
)
の
棕櫚
(
しゆろ
)
の
毛
(
け
)
の
蚤
(
のみ
)
の
巣
(
す
)
の
處
(
ところ
)
に、
一人
(
ひとり
)
、
頭
(
づ
)
の
小
(
ちひ
)
さい、
眦
(
めじり
)
と
頬
(
ほゝ
)
の
垂下
(
たれさが
)
つた、
青膨
(
あをぶく
)
れの、
土袋
(
どぶつ
)
で、
肥張
(
でつぷり
)
な
五十
(
ごじふ
)
恰好
(
かつかう
)
の、
頤鬚
(
あごひげ
)
を
生
(
はや
)
した、
漢
(
をとこ
)
が
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
るぢやありませんか。
何
(
なに
)
ものとも
知
(
し
)
れない。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
大空重く
垂下
(
たれさが
)
りて
物
(
もの
)
蔽
(
おお
)
ふ蓋の如く
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
其
(
その
)
少し藪
睨
(
にら
)
みな白い大きな目が赤い紙で包んだ電灯の
下
(
もと
)
で光るのは不気味だが、
其
(
その
)
好い声を聴き、
垂下
(
たれさが
)
つた胡麻塩髭の素直なのを見れば
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
その並木の青葉も岸本が
巴里
(
パリ
)
に着いたばかりの頃から見ると早や緑も濃く、花とも実ともつかない小さな
栗
(
くり
)
のイガのようなものが青い
毬
(
まり
)
を見るように葉蔭から
垂下
(
たれさが
)
った。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それと
遽
(
にはか
)
に
心着
(
こゝろづ
)
けば、
天窓
(
あたま
)
より爪先まで氷を浴ぶる心地して、歯の根も合はず
戦
(
わなゝ
)
きつゝ、不気味に
堪
(
た
)
へぬ顔を
擡
(
あ
)
げて、
手燭
(
ぼんぼり
)
の影
幽
(
かすか
)
に血の
足痕
(
あしあと
)
を
仰見
(
あふぎみ
)
る時しも、天井より糸を引きて
一疋
(
いつぴき
)
の蜘蛛
垂下
(
たれさが
)
り
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
お房は、耳のあたりへ
垂下
(
たれさが
)
る厚い髪の毛を
煩
(
うる
)
さそうにして、うっとりとした眼付で二人の方を見た。
何処
(
どこ
)
か気分のすぐれないこの子供の様子は、余計にその
容貌
(
おもばせ
)
を娘らしく見せた。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ト
頭
(
あたま
)
から
頬
(
ほゝ
)
へ
縱横
(
たてよこ
)
に
繃帶
(
ほうたい
)
を
掛
(
か
)
けて
居
(
ゐ
)
る。
片頬
(
かたほゝ
)
が
然
(
さ
)
らでも
大面
(
おほづら
)
の
面
(
つら
)
を、
別
(
べつ
)
に
一面
(
ひとつ
)
顏
(
かほ
)
を
横
(
よこ
)
に
附着
(
くツつ
)
けたやうに、だぶりと
膨
(
ふく
)
れて、
咽喉
(
のど
)
の
下
(
した
)
まで
垂下
(
たれさが
)
つて、はち
切
(
き
)
れさうで、ぶよ/\して、わづかに
目
(
め
)
と、
鼻
(
はな
)
。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
見れば種牛は
股
(
もゝ
)
から胴へかけて四つの
肉塊
(
かたまり
)
に
切断
(
たちき
)
られるところ。右の前足の股の肉は、既に天井から
垂下
(
たれさが
)
る細引に釣るされて、海綿を持つた一人の屠手が頻と其血を拭ふのであつた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
ちょっと
末
(
うら
)
を余して
垂下
(
たれさが
)
る。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“垂下”の意味
《名詞》
垂下(すいか)(歴史的仮名遣い: すゐか)
垂れ下がること。また、垂れ下げること。
(出典:Wiktionary)
垂
常用漢字
小6
部首:⼟
8画
下
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
“垂”で始まる語句
垂
垂木
垂々
垂井
垂涎
垂髪
垂氷
垂簾
垂水
垂幕