同僚どうりょう)” の例文
万一この脚の見つかった日には会社も必ず半三郎を馘首かくしゅしてしまうのに違いない。同僚どうりょうも今後の交際は御免ごめんこうむるのにきまっている。
馬の脚 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
けれども僕はしばしば言いしとおり、僕の同僚どうりょうたる凡人ぼんじんに対して話をするのであるから、よろしく非凡の人々はりょうとしてもらいたい。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
ハバトフは折々おりおり病気びょうき同僚どうりょう訪問ほうもんするのは、自分じぶん義務ぎむであるかのように、かれところ蒼蠅うるさる。かれはハバトフがいやでならぬ。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
しんだりうらやましがる同僚どうりょうもいたが、とくに引きとめようとしないのは、大石先生のことがなんとなく目立ち、問題になってもいたからだ。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
糟谷はへいきで仕事をしてるようなふうをよそおうて、つくえにむかっているときにはわかりきってることをわざわざ立っていって同僚どうりょうに聞いたりしている。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
ごく懇意こんいでありまたごく近くである同じ谷中の夫の同僚どうりょうの中村の家をい、その細君に立話しをして、中村に吾家うちへ遊びに来てもらうことをうたのである。
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ある夜同僚どうりょうに無理矢理さそわれて行き、割前勘定になるかも知れないとひやひやしながら、おずおずと黒ビールを飲んでいる寺田の横に坐った時、一代は気が詰りそうになった。
競馬 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
博士は、ナチスのため祖国を追われて、このベルギーへ移ったが、そのとき、モール博士と同僚どうりょうだった私の父、すなわちヘルマン博士の秘密研究をうばって、逃げてしまったんだ。
人造人間の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
かれは、んだ金魚きんぎょが三びきで一万円まんえんはしたろうということや、自分じぶん月給げっきゅうすくなく、とてもあんなのはえないということを、くりかえし同僚どうりょうはなしたし、また事件発見者じけんはっけんしゃ島本医学士しまもといがくしにまで
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
また同僚どうりょうが、むやみと上役うわやくたいして、機嫌きげんをうかがうのを軽蔑けいべつしながら
兄の声 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、同僚どうりょう達に、そのを建てた王の名と、その功業とを、やはり、低い声で説明した。同僚の諸将は、みな、へんな気持になって顔を見合せた。パリスカス自身もすこぶるへんな顔をしていた。
木乃伊 (新字新仮名) / 中島敦(著)
と内藤さんは同僚どうりょうにもお殿様にも同じように答える。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
その日、同僚どうりょうの士官たちは、M大尉エムたいいをかこんで
国際射的大競技 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
ぼくとはモスクワの役所の同僚どうりょうでしてね。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
同僚どうりょうの名を呼びたてた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
同僚どうりょう上役うわやくの評判は格別いと言うほどではない。しかしまた悪いと言うほどでもない。まず平々凡々たることは半三郎の風采ふうさいの通りである。
馬の脚 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
すぐにその態度が変わり昨日きのうまで同僚どうりょう交際であった者を急に見下したり、にわかに傲慢ごうまん尊大そんだいになる場合も僕はしばしば見た。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
同僚どうりょう田村たむら先生にきくと、しっ というような顔で田村先生はおくまった校長室に、あごをふった。そして小さな声で
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
場長じょうちょう同僚どうりょうと話をしているのに、声がひくくてよく聞きとれないと、胸騒むなさわぎがする。そのかんにも昨夜さくや考えたことをきれぎれに思いださずにはいられない。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
そうしてほどなく或人あるひと世話せわ郡立学校ぐんりつがっこう教師きょうしとなったが、それも暫時ざんじ同僚どうりょうとは折合おりあわず、生徒せいととは親眤なじまず、ここをもまたしてしまう。そのうち母親ははおやぬ。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
同僚どうりょうたちは、みんな見た。田口の顔の半分がまっ赤にそまったのを。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
同僚どうりょうはしきりに秘伝を知りたがる。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
しかし同僚どうりょう瞞着まんちゃくするよりも常子の疑惑を避けることははるかに困難に富んでいたらしい。半三郎は彼の日記の中に絶えずこの困難を痛嘆している。
馬の脚 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
事務所へはいってみると、場長じょうちょうはじめ同僚どうりょうまでに一しゅの目で自分は見られるような気がする。いつもは
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
『百ねんてそうもかんでしょうが、二十ねんやそこらはびますよ。』ハバトフはなぐさがお。『なんんでもありませんさ、なあ同僚どうりょう悲観ひかんももう大抵たいていになさるがいいですぞ。』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
その名がいかに広まるとも、勝利にあらずして敗北なりと思い、これに反し自分の同僚どうりょう友人がいさぎよからざる手段しゅだんろうして巨万の富を積み、高位に上るとも、また名声めいせいを海外にとどろかすとも
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
そのくせ女先生が話しかけようとして近づくと、やっぱり雀のようにぱあっとってしまう。しかたなく職員室にもどると、たったひとりの同僚どうりょうの男先生は、じつにそっけない顔でだまっている。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
同僚どうりょうく。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
私はその時も独り口をつぐんだぎりで、同僚どうりょうの話を聞くともなく聞き流して居りましたが、本願寺の別院の屋根が落ちた話、船町ふなまちの堤防が崩れた話
疑惑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)