いい)” の例文
人は自分のすべきことをさへすればいい、われわれが貴様を責めるのも、勿論のこと、ひまだからだ、とせんじ詰めた処さういふのだな。
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
斗満から十勝の中川郡本別村ほんべつむらの役場までの十余里はまだいいとして、釧路の白糠しらぬか村役場までは足寄を経て近道の山越えしても中途露宿して二十五里
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
僕は、乞食して行く積りだつて、さう答へた処が、「ソンナ無謀な破廉恥な事はせん方がいいだらう。」と云ひました。
雲は天才である (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
歌ちゃんあれは、あれッてなに、おとぼけでない彼れさ、知らないよ、知らないはずがあるものかねと叱るように早口に云えば、実は七赤儂とはごく不可いけないの、その不可いけないのがいいのだろう
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
そうでないと、あれでも御国みくにのためには、生命いのちおしまないてあいだから、どんなことをしようも知れない。よく思案して請取るんだ、いいか。
海城発電 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
『森川さんの憎いツたらありやしない。那麽あんなに乱暴しなくたつていいのに、到頭「声きく時」を裂いツちまつた。……』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「家を有つなら草葺くさぶきの家、而して一反でもいい、己が自由になる土を有ちたい」
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
何しろ横に転がして使うびんなぞ見た事もないんだからね。……いいかい。それに活計くらしむきに余裕があるとなれば、またどうにもなる。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
初めて聞いた言葉ではないが、お利代は大きい眼をみはつじつと智恵子の顔を見た。何と答へていいか解らないのだ。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
それもいい、時と場合で捕われないにも限らんが、撲られて痛いからって、平気で味方の内情を白状しようとは、呆れはてた腰抜だ。
海城発電 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
願くは、今自分の見て居るうちに、早く何処かの内儀おかみさんが来て、全体みんなでは余計だらうが、アノ一番長い足一本だけでも買つて行つて呉れればいいに、と思つた。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
それもいい、時と場合で捕はれないにも限らんが、なぐられて痛いからつて、平気で味方の内情を白状しやうとは、あきはてた腰抜だ。
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
が兎も角、我が石本君の極めて優秀なる風采と態度とは、決して平凡な一本路を終始並足で歩いて来た人でないといふ事丈けは、完全に表はして居るといつていい
雲は天才である (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
さ、こう断った上でも、やっぱり看護員は看護員で、看護員だけのことをさえすればいい、むしろほかのことはしない方が当前あたりまえだ。
海城発電 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
『新田さん、貴君はそれでいいのですか。よ、新田さん、貴君一人の学校ではありませんよ。人ツ、代用のクセに何だと思つてるだらう。マア御覧なさい。アンナ奴。』
雲は天才である (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
さ、断つた上でも、やつぱり看護員は看護員で、看護員だけのことをさへすればいい、むしろほかのことはしない方が当前あたりまえだ。
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
『だつて、おうちぢや心配してらつしやるわ、屹度。尤も慎次さんも被来いらしつたんだからいいけど……。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
おい、いい加減に巫山戯ふざけておけ。これ知るまいと思うても、先刻さっきちゃんとにらんでおいた、ここを這入って右側の突当つきあたり部室へやの中に匿蔵かくまってあろうがな。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何とか先きに手紙でも来れや、職業くちの方だツて見付けるに都合がいいんだ。昨日は実際僕喫驚びつくりしたぜ。何にも知らずに会社から帰ツて見ると、後藤の肇さんが来てるといふ。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
ただ持って行ってくれればいの、何処どこへッてあてはないの。落したら其処そこでよし、失くしたらそれッきりでいいんだから……ただ心持こころもちだけなんだから……」
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
可愛い児供こどもの生れた時、この児も或は年を老つてから悲惨みじめ死様しにざまをしないとも限らないから、いつそ今うスヤ/\と眠つてる間に殺した方がいいかも知れぬ、などと考へるのは
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
今のように、身体からだかばって、とんだ怪我でもしちゃ不可いかん、気をつけるんだよ、きつと、いいか、分ったかね。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
『怎だえ、君、函館はいいかね。』と、何時しか紙莨を啣へて居た楠野君が口を開いた。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
しかしいい加減な話だ、今時そんなことがある訳のものではないと、ある人が一人の坊さんに申しますと、その坊さんは黙って微笑ほほえみながら、拇指おやゆびを出して見せました
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
道なき道を歩む人とも云へる、コスモポリタンの徒と呼んで見るもいい。ハ………。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
まあ、夜分になりましてからいい塩梅あんばいに風もちとぎましてござりますが、朝ッからの吹通しで、そこいらへ針がこぼれましたように、ちくちくいたしますでござります、へい。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これで了解のみこめたから、私もいい加減にバツを合せた。そして
札幌 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
成程なッいいわえ、それじゃ水心ありの方だの、こう、姉え、そしてお前どこへ行く。」
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これで了解のみこめたから、私もいい加減にバツを合せた。そして
札幌 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「どうしようかしら。お茶をあがるんならいいけれど、お酒をのむんじゃ、可哀相だわ。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
もしか、按摩が尋ねて来たら、堅くらん、と言え、と宿のものへ吩附いいつけた。叔父のすやすやは、上首尾で、並べて取った床の中へ、すっぽり入って、引被ひっかぶって、いい心持に寝たんだが。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「義作さんいい加減におしな。お嬢様は御心配を遊ばしていらっしゃるんですよ。」
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いい心持に、すっと足をのばす、せなかが浮いて、他愛たわいなくこう、その華胥かしょの国とか云う、そこへだ——引入れられそうになると、何の樹か知らないが、萌黄色もえぎいろの葉の茂ったのが、上へかかって
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ななめに甲羅を、板に添って、手を掛けながら、するすると泳ぐ。これが、さおで操るがごとくになって、夥多あまたいい心持に乾いた亀の子を、カラカラとせたままで、水をゆらゆらと流れて辷った。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いい加減におし、あれさ、可いやね、そんなら私が素裸まッぱだかになって着物をつちに敷いて、その上へ貴女あなたを休ませ申すまでも、お前達の世話にゃあならない、どちらへも休みはしないからそう思っておくれ。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「それだから昨日きのうも髪を結わない前に、あんなに芳さんにあやまったものを。邪慳じゃけんじゃあないかね。いいよ、旦那が何といっても、叱られても大事ないよ。私ゃすぐ引毀ひっこわして、結直して見せようわね。」
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いい塩梅あんばいあがりました。……ちと、お熱過ぎはいたしませんか。」
妖術 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「いいえ、いいのよ、」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いいよ、お上りよ。」
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)