叔母をば)” の例文
ついぞ學資がくし問題もんだいあたまおもうかべたことがなかつたため、叔母をば宣告せんこくけたときは、茫然ぼんやりして兎角とかく挨拶あいさつさへ出來できなかつたのだとふ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さて国経が酔臥ゑひふしたるを叔母をばを車にいだき入れて立かへり、此はらに生れたるを中納言敦忠あつたゞといふ、時平の不道ふだう此一を以て其余そのよるべし。
そして、あき子叔母をばちやんもおうちの人になるので、すゞちやんの生れたおうちではせまくてこまるからでした。
ぽつぽのお手帳 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
すませ立ち歸る時に又叔母をばのお早を尋ねしになほ段々だん/\難儀なんぎはなしをなす故見捨難く近所へあつれいを述べ直に越後へ連歸つれかへりぬ扨傳吉はまづしくらしの中にて叔母と從弟いとこ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
今日きますと、京都から葉書を出して置いた大阪の叔母をばのことも思はずにはゐられなかつた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
かうさんは女ながらに私の知己の一人いちにんだ。牧野さんの細君より一つ年の下な若い叔母をばさんだ。
突貫 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
(おめしうやつてきませう、さあおせなを、あれさ、じつとして。お嬢様ぢやうさま有仰おつしやつてくださいましたおれいに、叔母をばさんが世話せわくのでござんす、おひとわるい、)といつて片袖かたそで前歯まへば引上ひきあ
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
はゝぎみよ乳母うば叔母をばぎみ
おもひで (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
そうさんおこつちや不可いけませんよ。たゞ叔父をぢさんのつたとほりをはなすんだから」と叔母をばことわつた。宗助そうすけだまつてあとをいてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さて国経が酔臥ゑひふしたるを叔母をばを車にいだき入れて立かへり、此はらに生れたるを中納言敦忠あつたゞといふ、時平の不道ふだう此一を以て其余そのよるべし。
こら白痴たはけ者め其方が樣子を見るに傳吉が留守るす不義ふぎ猥婬いたづらを致し居しなるべし傳吉が叔母をばと云は父方が身元を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ぽつぽは、それからこんどのおうちへつきました。そのじぶんには、すゞ子の曾祖母ばあばあは、まだ玉木たまき大叔母おばあちやんのところにいらつしやいました。あき子叔母をばちやんもまだ来てゐませんでした。
ぽつぽのお手帳 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
三年前に叔母をばさんが産後の出血で急に亡くなつたのも、その時計の下だ。
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
なんにしても貴僧あなたには叔母をばさんぐらゐ年紀としですよ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
叔母をばどくさうに、何故なぜ小六ころく世話せわ出來できなくなつたかを、女丈をんなだけに、一時間じかんかつてくはしく説明せつめいしてれたさうである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
此人の乱行らんぎやうの一ツをいはば、叔父をぢたる大納言国経卿くにつねきやう年老としおい叔母をばたる北の方は年若く業平なりひら孫女まごむすめにて絶世ぜつせい美人びじんなり。時平是に恋々れん/\す、夫人ふじんもまたをつとおいたるをきらふの心あり。
三人迄取りけれ共皆離縁になり其後惡き者と欠落かけおちし母方のあと斷絶だんぜつせり此外には親類もあらざれば母は臨終りんじうの時傳吉に向ひ我が妹お早は其方の爲に實の叔母をばなれども先年せんねん村を欠落かけおちなし今は其の在家ありか
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
此人の乱行らんぎやうの一ツをいはば、叔父をぢたる大納言国経卿くにつねきやう年老としおい叔母をばたる北の方は年若く業平なりひら孫女まごむすめにて絶世ぜつせい美人びじんなり。時平是に恋々れん/\す、夫人ふじんもまたをつとおいたるをきらふの心あり。